社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
健康保険法 問6
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 健康保険法 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものを2つ選びなさい。
- 保険者は、健康保険において給付事由が第三者の行為によって生じた事故について保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
- 日雇特例被保険者に係る傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して6か月(厚生労働大臣が指定する疾病に関しては、1年6か月)を超えないものとする。
- 保険者は、特定健康診査等以外の事業であって、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者及びその被扶養者(以下「被保険者等」という。)の健康の保持増進のために必要な事業を行うに当たって必要があると認めるときは、労働安全衛生法その他の法令に基づき保存している被保険者等に係る健康診断に関する記録の写しの提供を求められた事業者等(労働安全衛生法第2条第3号に規定する事業者その他の法令に基づき健康診断(特定健康診査に相当する項目を実施するものに限る。)を実施する責務を有する者その他厚生労働省令で定める者をいう。)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該記録の写しを提供しなければならない。
- 健康保険の適用事業所と技能養成工との関係が技能の養成のみを目的とするものではなく、稼働日数、労務報酬等からみて、実体的に使用関係が認められる場合は、当該技能養成工は被保険者資格を取得する。
- 被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができるが、被保険者が数日前に闘争しその当時はなんらかの事故は生じなかったが、相手が恨みを晴らす目的で、数日後に不意に危害を加えられたような場合は、数日前の闘争に起因した闘争とみなして、当該給付事由に係る保険給付はその全部又は一部を行わないことができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
健康保険法については、まず身近にイメージしやすい個人にかかる規定を学習・理解し、徐々に組織(健康保険組合など)にかかる規定についても学習の幅を広げていく、という順番で足場固めをしていくとよいでしょう。それでは問題文を見ていきましょう。
本設問文については、簡単に言うと、順序としてまず保険者は「損害賠償の請求権を取得」し、その後当該請求権を取得したことにより、保険給付を行う責を免れることになります。
本設問文は、根拠条文の第1項と第2項をまとめて記載することにより、完全な正しい文章になりえない(例外が存在してしまう)ものとなってしまったことに試験後気づいたため、誤り(正答となる選択肢)になったと思われます。
ただ、このレベルはかなり細かい点と筆者は考えており、正しい記述と判断しても問題なく(しかたなく)、気にしないでよいと考えます。
本設問文のとおりです。
日雇特例被保険者に係る各種条件を、簡単にまとめておくとよいでしょう。
学習の優先度はそれほど上げなくてよいと筆者は考えています。
本設問文のとおりです。
簡単に言うと、被保険者及びその被扶養者を守るために、本設問文のような規定を事業者等に課すこととしていると理解しておくとよいでしょう。
本設問文のとおりです。
被保険者・労働者保護の観点から、このような形式面ではなく実態面から判断がなされる点は、他制度においても同様である点を、理解しておくとよいでしょう。
本設問文の場合、保険給付の制限は行われません。
本設問文において、闘争した時点における危害等については、保険給付が行われない場合があるが、その後間があいた場合には、因果関係の証明等も容易でない等をふまえ、保険給付の制限はされないと理解しておくとよいでしょう。
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02
正解肢の論点は条文からの出題であれば暗記で対応できそうですが、事例に近い内容で確実に誤りと判断しづらい内容です。他選択肢の代位取得、健康診断の写しの提供は括弧書きを含んだ文章も長く正誤の判断が難しい問題です。
誤:損害賠償請求権の代位取得に関する条文からの出題です。「第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する」という記載がなく、代位取得から求償の部分が抜けています。出題者の意図としては本肢を正解肢としたと思われますが、事後に誤りとなりました。
本肢:
・・・その給付の価額(中略)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(中略)が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは・・・
条文:
(損害賠償請求権)
第五十七条 保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(中略)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(中略)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
正:日雇特例被保険者に係る傷病手当金の支給期間に関する問です。
(傷病手当金)第百三十五条
3 日雇特例被保険者に係る傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して六月(厚生労働大臣が指定する疾病に関しては、一年六月)を超えないものとする。
正:法改正事項からの出題です。40歳未満の者は特定健康診査の対象外ですが、40歳未満の者にも健康指導を行う必要がある場合について求められた場合には、事業主が実施した健康診断の結果を提供しなければならいとされました。
(保健事業及び福祉事業)第百五十条
3 前項の規定により、労働安全衛生法その他の法令に基づき保存している被保険者等に係る健康診断に関する記録の写しの提供を求められた事業者等は、厚生労働省令で定めるところにより、当該記録の写しを提供しなければならない。
正:通達からの出題で正しい内容ですが、「・・・実体的に使用関係が認められる場合は、当該技能養成工は被保険者資格・・・」問題文に実態的に使用関係があると記載があります。この通達を知らなくても、例えば当初から自宅待機とされる場合の取扱いなどを想起して正しいと判断できると思います。
誤:闘争が発生したその際に起因する給付事由に係る保険給付は給付制限の対象となりますが、その後の給付事由に係る保険給付は給付制限の対象にはなりません。
「・・・数日後に不意に危害を加えられたような場合は、数日前の闘争に起因した闘争とみなして、当該給付事由に係る保険給付はその全部又は一部を行わないことができる」非常に古い通達からの出題です。
闘争又ハ泥酔ニ因リテ生セシメタル保険事故ニ関スル件
(昭和二年四月二七日 保理第一九五六号)(服部桜田健康保険組合理事長あて 社会局保険部長回答)
昭和二年四月十九日付発第七五号ヲ以テ伺出相成候標記ノ件右ハ健康保険法第六十一条ニ規定スル闘争又ハ泥酔ニ因リ事故ヲ生セシメタル云々トアル事故ハ闘争又ハ泥酔ニ因リ其ノ際生セシメタル事故ヲ謂フ義ニ有之故ニ例示ノ場合ハ右ニ該当セサルモノト認メラレ候
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta2873&dataType=1&pageNo=1
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03
通則からの出題ですが、一つ一つの選択肢ごとにキーワードをいかに見つけることができるかが正解を導くための鍵となります。
誤り:(根拠)法57条
保険者は、第三者行為災害によって生じた事故について保険給付を行った場合は、その保険給付の価格の限度において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者より同一の事由について損害賠償を受けたときは、「保険給付を受ける権利を有する者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。」この場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
正しい:(根拠)法135条3項
日雇労働被保険者に係る傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して6か月(厚生労働大臣が指定する疾病に関しては、1年6か月)を超えません。
正しい:(根拠)法150条1~3項
保険者は、被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うにあたって必要があると認めるときは、労働安全衛生法その他の法令に基づき保存している被保険者等に係る健康診断に関する記録の写しの提供を求められた事業者等は、厚生労働省令で定めるところにより、当該記録の写しを提供しなければならない。
正しい:(根拠)法3条1項、S26.11.2保文発4602号
実体的に使用関係が認められる場合は、技能養育成工は被保険者資格を取得します。
誤り:(根拠)法117条、S2.4.27保理発1956号
原則として、闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができます。
しかし、被保険者が数日前に闘争しその当時はなんらかの事故は生じなかったが、相手が恨みを晴らす目的で、数日後に不意に危害を加えられたような場合は、数日前の闘争に起因した闘争とは「みなしません。」そのため、給付制限の対象にはなりません。
通則などからの出題でしたが、基本的な考え方などをしっかりと押さえておけば、難なく正答を導くことはできます。今回は複数正答(A・E)となりますので、できれば、両方の誤りを見抜けるようになっていただきたいです。
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