社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
厚生年金保険法 問6
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 厚生年金保険法 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
加給年金額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 障害等級1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、当該受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子)があるときは、加給年金額が加算された額となる。
- 昭和9年4月2日以後に生まれた障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、受給権者の生年月日に応じた特別加算が行われる。
- 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の受給権者が、受給権を取得した以後に初めて婚姻し、新たに65歳未満の配偶者の生計を維持するようになった場合には、当該配偶者に係る加給年金額が加算される。
- 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の年金額には、加給年金額は加算されない。また、本来支給の老齢厚生年金の支給を繰り上げた場合でも、受給権者が65歳に達するまで加給年金額は加算されない。
- 老齢厚生年金の加給年金額の対象となっている配偶者が、収入を増加させて、受給権者による生計維持の状態がやんだ場合であっても、当該老齢厚生年金の加給年金額は減額されない。
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この過去問の解説 (3件)
01
加給年金(本来の年金に加えて、家族構成によって上乗せされるもの)については、続柄(配偶者/子)ごと、支給事由(老齢/障害)ごと、年金の種類(基礎年金/厚生年金)ごとに分類し、受給可否・条件を整理しておくと、実生活でも役に立つでしょう。
誤った記述です。
障害「厚生」年金においては、加給年金の加算対象となるのは配偶者のみで、子は対象となりません。
なお、障害「基礎」年金においては、加算対象となるのは子のみで、配偶者は対象となりません。
障害年金を受給できる場合に、家族の誰に加給年金が加算されるかの条件を整理して理解しておくとよいでしょう。
誤った記述です。
本設問文のような、生年月日に応じた特別加算が行われるのは「老齢」厚生年金についてであり、「障害」厚生年金に対しては特別加算の制度はありません。
特別加算の規定は、その前段にある加給年金の額が、年齢が若くなるほど減少する点を補う(減少幅を小さくし影響を小さくする)ものであり、年齢を根拠とするものであることから、年齢による影響を受けない「障害」年金に適用される制度ではない、と理解しておくとよいでしょう。
誤った記述です。
加給年金額が支給されるためには、受給権を取得する「前」に生計維持関係がある配偶者がいることが必要であり、本設問文の場合、受給権取得「後」に婚姻・生計維持関係が成り立っているため、加算対象となりません。
この前後関係は他の規定でも同様の場合がほとんどである(受給権発生時点の家族構成等で判断され、その後の家族構成の変動は受給額増加の方向には影響されない)ため、理解しておきましょう。
(大きな例外の1つとして、受給権発生当時胎児であった子が生まれた場合には、増加することになります)
正しい記述です。
簡単に言うと、本設問文のような「報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金」や「本来支給の老齢厚生年金の支給を繰り上げた場合」は、65歳より前に受給するものであり、65歳到達(以降)を支給要件とする加算年金の対象とはなりえない、と理解しておくとよいでしょう。
誤った記述です。
加給年金の制度は、簡単に言うと、生計維持関係にある程度に収入が少ない人を支援する制度であり、生計維持の状態がやんだ程度に収入がある人に対しては、支援がなされないと理解しておくとよいでしょう。
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02
正解肢が基本事項からの出題で他の選択肢の正誤が多少曖昧でも特定できる問題です。
誤:障害厚生年金の加給年金額の支給要件に関する問です。障害厚生年金の加給年金額に子の加算はありません(子の加算は障害基礎年金)。「・・・当該受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者又は子・・・」
第五十条の二 障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によつて生計を維持しているその者の六十五歳未満の配偶者があるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。
誤:特別加算に関する問です。昭和9年4月2日以降という日付より特別加算の話であると想起できます。しかし、特別加算は障害厚生年金ではなく老齢厚生年金につくもののため誤りです。
「・・・昭和9年4月2日以後に生まれた障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、・・・」
誤:加給年金額の支給要件に関する問です。老齢厚生年金の加給年金は受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたことが要件となります。「・・・受給権者が、受給権を取得した以後に初めて婚姻し・・・」
(加給年金額)
第四十四条 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第二項又は第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。
正:特別支給の老齢厚生年金の額(原則)では報酬比例部分相当の年金額を支給します。特例として定額部分+報酬比例部分+加給年金額が支給され、報酬比例部分相当の年金のみが支給される場合には加給年金額の加算はありません(法附則9条)。また加給年金は繰上げてはもらえません。65歳から支給されます。
誤:加給年金額の改定に関する問です。受給権者による生計維持の状態がやんだ場合には該当するに至った月の翌月から年金額が減額されます。「・・・収入を増加させて、受給権者による生計維持の状態がやんだ場合であっても、当該老齢厚生年金の加給年金額は減額されない」
(加給年金額)
第四十四条 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(中略)その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。
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03
この問題で覚えておくポイントは加給年金の「時期」「条件」になります。
(×)
障害厚生年金の加給年金は、65歳未満の「配偶者」が対象で、「子」は対象ではありません。
(×)
障害厚生年金の加給年金額には、特別加算は行われません。
(×)
老齢厚生年金の受給権を取得した以後に婚姻しても、加給年金額は加算されません。
「老齢厚生年金の受給権を取得した当時」または「被保険者期間の月数が240以上に至った当時」に65歳未満の配偶者をその者によって生計を維持していた場合に加給年金額が加算されます。
(〇)
報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の年金額には、加給年金額は加算されません。
また、本来支給の老齢厚生年金の支給を繰り上げた場合でも、受給権者が65歳に達するまで加給年金額は加算されません。
(×)
老齢厚生年金の加給年金額の対象となっている配偶者が、生計維持の状態がやんだ場合は、加給年金の改定の対象となり減額されます。
加給年金額は、
老齢厚生年金では、65歳未満の配偶者と子(18歳に達する日以降最初の3月31日までの間にある子及び20未満で障害等級1級もしくは2級に該当する障害のある子)で生計を維持している方が対象です。
障害厚生年金では、65歳未満の配偶者で生計を維持している方が対象です。
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