社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
労働者災害補償保険法 問5

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問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 択一式 労働者災害補償保険法 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

遺族補償年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。
  • 労働者の死亡当時、負傷又は疾病が治らず、身体の機能又は精神に労働が高度の制限を受ける程度以上の障害があるものの、障害基礎年金を受給していた子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、遺族補償年金の受給資格者ではない。
  • 労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。
  • 労働者が就職後極めて短期間の間に死亡したため、死亡した労働者の収入で生計を維持するに至らなかった遺族でも、労働者が生存していたとすればその収入によって生計を維持する関係がまもなく常態となるに至ったであろうことが明らかな場合は、遺族補償年金の受給資格者である。
  • 労働者の死亡当時、30歳未満であった子のない妻は、遺族補償年金の受給開始から5年が経つと、遺族補償年金の受給権を失う。

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この過去問の解説 (3件)

01

遺族補償年金の受給資格者に関する問題です。

選択肢1. 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。

誤りです。配偶者は受給資格者になり得ますが、障害の状態にない夫の場合は、「55歳」以上でなければ、受給資格者となることはできませんので、50歳である夫は、受給資格者にはなりません。

選択肢2. 労働者の死亡当時、負傷又は疾病が治らず、身体の機能又は精神に労働が高度の制限を受ける程度以上の障害があるものの、障害基礎年金を受給していた子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、遺族補償年金の受給資格者ではない。

誤りです。子が障害基礎年金を受給していたとしても、生計維持関係が認められることがあり、その場合、子は受給資格者となり得ます。

選択肢3. 労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。

誤りです。胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとみなされるため、出生後は受給資格者となります。

選択肢4. 労働者が就職後極めて短期間の間に死亡したため、死亡した労働者の収入で生計を維持するに至らなかった遺族でも、労働者が生存していたとすればその収入によって生計を維持する関係がまもなく常態となるに至ったであろうことが明らかな場合は、遺族補償年金の受給資格者である。

正しいです。生計を維持する関係がまもなく常態となるに至ったであろうことが明らかな場合には、対象の遺族は受給資格者となります。

選択肢5. 労働者の死亡当時、30歳未満であった子のない妻は、遺族補償年金の受給開始から5年が経つと、遺族補償年金の受給権を失う。

誤りです。遺族補償年金には、設問のような規定はありません。30歳未満であった子のない妻が5年で失権することがあるのは「遺族厚生年金」です。

まとめ

遺族補償年金に関する基本的な知識を問う問題ですので、しっかりと得点に繋げましょう。

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02

難易度としては比較的易しい問題ですので、ぜひ得点しておきたい問題です。

基本事項からの出題も多いので間違ったり迷った箇所は確実に復習しておきましょう。

選択肢1. 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。

誤り。障害のない夫が遺族補償年金の受給権者となるには、労働者の死亡当時55歳以上であることが条件です。

選択肢2. 労働者の死亡当時、負傷又は疾病が治らず、身体の機能又は精神に労働が高度の制限を受ける程度以上の障害があるものの、障害基礎年金を受給していた子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、遺族補償年金の受給資格者ではない。

誤り。設問の子は遺族補償年金の受給権者となります。障害基礎年金を受給していることのみをもって、「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたもの」に該当しないわけではありません。具体的にこの生計維持とは「もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる」とされています。

選択肢3. 労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。

誤り。設問の場合の子は、「将来に向かって、その子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなす」とされています。

選択肢4. 労働者が就職後極めて短期間の間に死亡したため、死亡した労働者の収入で生計を維持するに至らなかった遺族でも、労働者が生存していたとすればその収入によって生計を維持する関係がまもなく常態となるに至ったであろうことが明らかな場合は、遺族補償年金の受給資格者である。

正しい。就職後間もなく死亡した場合などは、その収入により遺族が生計を維持していたという事実がなくても、労働者が生存していたならば生計維持があったと客観的に認められる場合は生計維持関係は認められます。

選択肢5. 労働者の死亡当時、30歳未満であった子のない妻は、遺族補償年金の受給開始から5年が経つと、遺族補償年金の受給権を失う。

誤り。遺族補償年金については設問のような規定はない。30歳未満の子のない妻について5年間の有期年金とされるのは厚生年金保険法における遺族厚生年金の規定です。横断的に整理して押さえましょう。

まとめ

労災保険の保険給付については国民年金、厚生年金の給付と比べると学習範囲は狭いです。

今回の遺族補償年金については国民年金、厚生年金の遺族基礎年金、遺族厚生年金と比較しながら横断的に学習すると効率的です。

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03

この問題は、遺族補償年金の受給資格に関するもので、労働者の死亡に伴う遺族の経済的な支援を目的とした労災保険制度の理解が求められます。

遺族補償年金は、労働者の死亡によって生じた遺族の生計を支えるために重要な役割を果たします。

選択肢1. 妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。

誤り

解説:遺族補償年金の受給資格者になるためには、障害の状態にない夫が55歳以上であることが条件です。

選択肢2. 労働者の死亡当時、負傷又は疾病が治らず、身体の機能又は精神に労働が高度の制限を受ける程度以上の障害があるものの、障害基礎年金を受給していた子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、遺族補償年金の受給資格者ではない。

誤り

解説:障害基礎年金を受給していても、労働者の収入によって生計を部分的に維持している場合は遺族補償年金の受給資格者となり得ます。

選択肢3. 労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。

誤り

解説:胎児は、出生後に労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子とみなされ、遺族補償年金の受給資格者となります。

選択肢4. 労働者が就職後極めて短期間の間に死亡したため、死亡した労働者の収入で生計を維持するに至らなかった遺族でも、労働者が生存していたとすればその収入によって生計を維持する関係がまもなく常態となるに至ったであろうことが明らかな場合は、遺族補償年金の受給資格者である。

正しい

解説:労働者が就職後短期間で死亡した場合でも、その収入によって生計を維持する関係がまもなく常態となることが明らかな場合、遺族は遺族補償年金の受給資格者となります。

選択肢5. 労働者の死亡当時、30歳未満であった子のない妻は、遺族補償年金の受給開始から5年が経つと、遺族補償年金の受給権を失う。

誤り

解説:遺族補償年金においては、30歳未満で子のない妻が5年経過で受給権を失うという規定はありません。

これは厚生年金保険の遺族厚生年金に関する規定です。

まとめ

遺族補償年金に関する問題を解く際には、受給資格者の条件を正確に理解することが重要です。

特に、生計維持の関係や受給資格者の年齢、障害の有無など、具体的な条件を把握する必要があります。

また、厚生年金保険法との違いを明確に理解することも大切です。

遺族補償年金の受給資格者は、労働者の収入によって生計を維持していた遺族に限られ、その判断基準は具体的な事情に基づいて行われます。

特に、胎児の場合や短期間の就労後の死亡の場合など、特殊な状況においても遺族補償年金の受給資格が認められる可能性があることを理解することが重要です。

このように、労災保険法における遺族補償年金に関する知識は、労働者及びその遺族の経済的保護を考慮する上で必要不可欠です。

遺族補償年金の受給資格に関する基準を正確に把握し、適用することが、遺族の権利保護と支援を実現する上で不可欠と言えます。

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