社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
健康保険法 問5

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問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 択一式 健康保険法 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 健康保険の被保険者が、労働協約又は就業規則により雇用関係は存続するが会社より賃金の支給を停止された場合、例えば病気休職であって実務に服する見込みがあるときは、賃金の支払停止は一時的なものであり使用関係は存続するものとみられるため、被保険者資格は喪失しない。
  • 訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとされている。指定訪問看護を受けられる者の基準は、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者であって、主治医が訪問看護の必要性について、被保険者の病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態に適合すると認めた者である。なお、看護師等とは、看護師、保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士をいう。
  • 高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づき支給する。この場合において、保険者は、診療報酬請求明細書(家族療養費が療養費払いである場合は当該家族療養費の支給申請書に添付される証拠書類)に基づいて高額療養費を支給するものであり、法令上、請求書に証拠書類を添付することが義務づけられている。
  • 任意継続被保険者が任意の資格喪失の申出をしたが、申出のあった日が保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していなかった場合、健康保険法第38条第3号の規定に基づき、当該月の保険料の納付期日の翌日から資格を喪失する。
  • 健康保険法第172条によると、保険料は、納付義務者が破産手続開始の決定を受けたときは、納期前であっても、すべて徴収することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

一部やや難しい選択肢がありますが、過去に出題されている論点も含まれています。

過去問を繰り返し解くことで知識が定着しますので、できれば解答を2つほどまで絞りたいところです。

選択肢1. 健康保険の被保険者が、労働協約又は就業規則により雇用関係は存続するが会社より賃金の支給を停止された場合、例えば病気休職であって実務に服する見込みがあるときは、賃金の支払停止は一時的なものであり使用関係は存続するものとみられるため、被保険者資格は喪失しない。

設問の通り正しい。

病気休職であって実務に服する見込みがあるときとありますが、この場合は被保険者の資格は喪失しません。なお、この場合、被保険者資格は継続する訳ですから当然、事業主に保険料の納付義務も発生します。

選択肢2. 訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとされている。指定訪問看護を受けられる者の基準は、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者であって、主治医が訪問看護の必要性について、被保険者の病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態に適合すると認めた者である。なお、看護師等とは、看護師、保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士をいう。

設問の通り正しい。

訪問看護療養費についての出題ですが、ポイントは「主治の医師が病状が安定しかつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態に適合すると認めた者」という点です。どんな場合に対象になるか押さえておきましょう。

また、この場合の看護師等には医師は含まれませんのであわせて確認しておいて下さい。

選択肢3. 高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づき支給する。この場合において、保険者は、診療報酬請求明細書(家族療養費が療養費払いである場合は当該家族療養費の支給申請書に添付される証拠書類)に基づいて高額療養費を支給するものであり、法令上、請求書に証拠書類を添付することが義務づけられている。

誤り。

少し実務的な内容ですが、高額療養費の支給の際請求書に領収書などの証拠書類の添付は義務付けられていません。実務的な内容ですので知らないと迷うかもしれませんがこの問題を通して参考程度に覚えておいて下さい。

選択肢4. 任意継続被保険者が任意の資格喪失の申出をしたが、申出のあった日が保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していなかった場合、健康保険法第38条第3号の規定に基づき、当該月の保険料の納付期日の翌日から資格を喪失する。

設問の通り正しい。

この選択肢は難しかったと思います。お手持ちのテキストなどには記載がないかもしれません。任意継続被保険者が資格喪失の申出をした場合は「申し出が受理された日の属する月の翌月の初日に資格を喪失する」これが原則です。今回の設問では「申出のあった日が保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していなかった場合」とありますが、この場合は記述の通り「当該月の保険料の納付期日の翌日」に資格を喪失します。

今後も、出題される可能性がないとは言えませんので今回の問題をきっかけにおぼえておきましょう。

選択肢5. 健康保険法第172条によると、保険料は、納付義務者が破産手続開始の決定を受けたときは、納期前であっても、すべて徴収することができる。

設問の通り正しい。

保険料の繰り上げ徴収についてですが、納付義務者が破産手続開始の決定を受けたときは納期前でも徴収することができます。どのような場合に納期前でも徴収することができるかという点を押さえておきましょう。他の選択肢でも解説していますがイメージとしては、早く徴収しないと保険料が徴収できなくなるおそれがある場合です。

まとめ

やや、難易度の高い問題ですので解答は難しかったかもしれません。今回解けなくても気にする必要はありませんが、再度出題されることも考えられますのでこの問題をきっかけに確認しておくとよいでしょう。

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02

この問題は、健康保険法に関連する複数の項目について正誤を問う内容です。

選択肢ごとに、健康保険法の特定の条文や実務上の取り扱いに関する知識が必要となります。

具体的には、被保険者資格の継続、訪問看護療養費の支給基準、高額療養費の支給方法、任意継続被保険者の資格喪失時期、保険料の繰り上げ徴収などが問われています。

選択肢1. 健康保険の被保険者が、労働協約又は就業規則により雇用関係は存続するが会社より賃金の支給を停止された場合、例えば病気休職であって実務に服する見込みがあるときは、賃金の支払停止は一時的なものであり使用関係は存続するものとみられるため、被保険者資格は喪失しない。

正しい

解説:労働協約や就業規則に基づき賃金の支給が一時的に停止されても、雇用関係が存続する限り、被保険者資格も継続します。

特に病気休職のように実務に復帰する見込みがある場合は、この原則が適用されます。

選択肢2. 訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとされている。指定訪問看護を受けられる者の基準は、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者であって、主治医が訪問看護の必要性について、被保険者の病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態に適合すると認めた者である。なお、看護師等とは、看護師、保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士をいう。

正しい

解説:訪問看護療養費の支給は、被保険者が居宅での継続的な療養が必要で、かつ主治医により訪問看護の必要性が認められた場合に限られます。

この際、看護師や他の専門家の介入が必要と判断される状態が対象となります。

選択肢3. 高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づき支給する。この場合において、保険者は、診療報酬請求明細書(家族療養費が療養費払いである場合は当該家族療養費の支給申請書に添付される証拠書類)に基づいて高額療養費を支給するものであり、法令上、請求書に証拠書類を添付することが義務づけられている。

誤り

解説:高額療養費の支給に関して、診療報酬請求明細書や証拠書類の添付は必ずしも法令で義務づけられているわけではありません。

請求書の提出は必要ですが、それに証拠書類を添付することは法的に必須ではない点に注意が必要です。

選択肢4. 任意継続被保険者が任意の資格喪失の申出をしたが、申出のあった日が保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していなかった場合、健康保険法第38条第3号の規定に基づき、当該月の保険料の納付期日の翌日から資格を喪失する。

正しい

解説:任意継続被保険者が資格喪失の申出を行い、保険料の納付期日前にその申出があった場合、その翌日から資格を喪失するとされています。

これは、保険料の納付状況に応じた柔軟な対応を可能にするための規定です。

選択肢5. 健康保険法第172条によると、保険料は、納付義務者が破産手続開始の決定を受けたときは、納期前であっても、すべて徴収することができる。

正しい

解説:納付義務者が破産手続開始の決定を受けた場合、保険料は納期前であってもすべて徴収することができます。

これは、保険料の確実な徴収を保証するための措置です。

まとめ

この問題を解く際は、各選択肢が健康保険法の具体的な条文や実務上の慣行に即しているかを検討することが重要です。

法律の条文や実務上の取り扱いについては、正確な知識と理解が必要となります。

また、新しい法改正や政策の変更にも敏感である必要があります。

それぞれの選択肢を注意深く読み、健康保険法に関する基本的な原則や規定を基に判断を下すことが求められます。

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03

「任意継続被保険者」や「保険給付」といった複数の分野からの出題です。

選択肢1. 健康保険の被保険者が、労働協約又は就業規則により雇用関係は存続するが会社より賃金の支給を停止された場合、例えば病気休職であって実務に服する見込みがあるときは、賃金の支払停止は一時的なものであり使用関係は存続するものとみられるため、被保険者資格は喪失しない。

正しいです。病気休職であっても、「実務に服する見込みがあるとき」は、使用関係は存続するものとみられるため、被保険者資格は喪失しません。

選択肢2. 訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとされている。指定訪問看護を受けられる者の基準は、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者であって、主治医が訪問看護の必要性について、被保険者の病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態に適合すると認めた者である。なお、看護師等とは、看護師、保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士をいう。

正しいです。指定訪問看護を受けられる者の基準は、「疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者」であって、主治医が訪問看護の必要性について、「被保険者の病状が安定し、又はこれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要する状態に適合すると認めた者」です。

選択肢3. 高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づき支給する。この場合において、保険者は、診療報酬請求明細書(家族療養費が療養費払いである場合は当該家族療養費の支給申請書に添付される証拠書類)に基づいて高額療養費を支給するものであり、法令上、請求書に証拠書類を添付することが義務づけられている。

誤りです。高額療養費の支給を受けるための請求書に証拠書類を添付することは義務付けられていません。

選択肢4. 任意継続被保険者が任意の資格喪失の申出をしたが、申出のあった日が保険料納付期日の10日より前であり、当該月の保険料をまだ納付していなかった場合、健康保険法第38条第3号の規定に基づき、当該月の保険料の納付期日の翌日から資格を喪失する。

正しいです。設問の場合の任意継続被保険者の資格喪失日は、「当該月の保険料の納付期日の翌日」です。

選択肢5. 健康保険法第172条によると、保険料は、納付義務者が破産手続開始の決定を受けたときは、納期前であっても、すべて徴収することができる。

正しいです。保険料は、納付義務者が「破産手続開始の決定」を受けたときは、「納期前」であっても、「すべて」徴収することができます。

まとめ

分野横断の問題ですが、いずれも基本論点ですので、しっかりとおさえて得点に繋げましょう。

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