社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
健康保険法 問8

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問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 択一式 健康保険法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 令和4年10月1日より、弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業に該当する個人事業所のうち、常時5人以上の従業員を雇用している事業所は、健康保険の適用事業所となったが、外国法事務弁護士はこの適用の対象となる事業に含まれない。
  • 強制適用事業所が、健康保険法第3条第3項各号に定める強制適用事業所の要件に該当しなくなった場合において、当該事業所の被保険者の2分の1以上が任意適用事業所となることを希望したときは、当該事業所の事業主は改めて厚生労働大臣に任意適用の認可を申請しなければならない。
  • 事業所の休業にかかわらず、事業主が休業手当を健康保険の被保険者に支給する場合、当該被保険者の健康保険の被保険者資格は喪失する。
  • 被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱いについて、当該被害者が被扶養者から外れるまでの間の受診については、加害者である被保険者を健康保険法第57条に規定する第三者と解することにより、当該被害者は保険診療による受診が可能であると取り扱う。
  • 保険料の免除期間について、育児休業等の期間と産前産後休業の期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されることから、育児休業等から引き続いて産前産後休業を取得した場合は、産前産後休業を開始した日の前日が育児休業等の終了日となる。この場合において、育児休業等の終了時の届出が必要である。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、健康保険法に関連するさまざまなシナリオを扱っており、被保険者の資格や保険給付の条件に関する理解が必要です。

選択肢は、個人事業所の健康保険適用、強制適用事業所から任意適用事業所への変更、休業手当の影響、家族暴力の影響、保険料免除期間の取り扱いなどに関する内容を含んでいます。

選択肢1. 令和4年10月1日より、弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業に該当する個人事業所のうち、常時5人以上の従業員を雇用している事業所は、健康保険の適用事業所となったが、外国法事務弁護士はこの適用の対象となる事業に含まれない。

誤り

解説:令和4年10月1日より、特定の職業を行う個人事業所(弁護士、公認会計士等)が健康保険の適用事業所となる規定が導入されました。

この規定は、事業所が常時5人以上の従業員を雇用している場合に適用されます。

外国法事務弁護士もこの規定の対象となりますので、設問の「外国法事務弁護士はこの適用の対象とならない」という記述は誤りです。

選択肢2. 強制適用事業所が、健康保険法第3条第3項各号に定める強制適用事業所の要件に該当しなくなった場合において、当該事業所の被保険者の2分の1以上が任意適用事業所となることを希望したときは、当該事業所の事業主は改めて厚生労働大臣に任意適用の認可を申請しなければならない。

誤り

解説:健康保険法第3条第3項に基づく強制適用事業所がその要件を満たさなくなった場合、事業所は自動的に任意適用事業所となります。

その際、被保険者の2分の1以上の同意があれば、事業主が改めて任意適用の認可を申請する必要はありません。

選択肢3. 事業所の休業にかかわらず、事業主が休業手当を健康保険の被保険者に支給する場合、当該被保険者の健康保険の被保険者資格は喪失する。

誤り

解説:事業所が休業しても、事業主が休業手当を支給する場合、被保険者の資格は維持されます。

休業手当は、従業員が一時的に業務を行わない期間にも支払われるため、被保険者資格の喪失にはつながりません。

選択肢4. 被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱いについて、当該被害者が被扶養者から外れるまでの間の受診については、加害者である被保険者を健康保険法第57条に規定する第三者と解することにより、当該被害者は保険診療による受診が可能であると取り扱う。

正しい

解説:被保険者から暴力を受けた被扶養者に関しては、被害者が被扶養者から外れるまでの間、加害者である被保険者を第三者と見なして、被害者は保険診療を受けることができます。

この取扱いは、被害者が必要な医療を受けられるようにするための措置です。

選択肢5. 保険料の免除期間について、育児休業等の期間と産前産後休業の期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されることから、育児休業等から引き続いて産前産後休業を取得した場合は、産前産後休業を開始した日の前日が育児休業等の終了日となる。この場合において、育児休業等の終了時の届出が必要である。

誤り

解説:育児休業等の期間と産前産後休業が一部重なるケースでは、産前産後休業に伴う保険料の免除が優先される仕組みになっています。

具体的には、育児休業等を取得している被保険者が産前産後休業に入る場合、産前産後休業の開始日の直前の日が育児休業等の終了日とみなされます。

育児休業等の終了に関して、別途届出の手続きを行う必要がありません。

これは、保険料免除の適用に関わる手続きが、休業状況の変化に基づき自動的に行われるためです。

このシステムは、被保険者が複数の休業制度を利用する際に、必要な手続きを最小限に抑えるための配慮と言えます。

まとめ

この問題は、健康保険法に関する具体的なシナリオに基づいています。

法改正や新しい規定に注意し、実務的な側面を考慮しながら正確な知識を身につけることが重要です。

特に、被保険者資格の維持や喪失、保険給付の条件、保険料の免除に関する規定を理解していることが必要です。

また、実際の職場や家庭で起こり得る状況を想像しながら問題にアプローチすると良いでしょう。

参考になった数7

02

「適用事業所」や「被保険者資格」といった複数の分野からの出題です。

選択肢1. 令和4年10月1日より、弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業に該当する個人事業所のうち、常時5人以上の従業員を雇用している事業所は、健康保険の適用事業所となったが、外国法事務弁護士はこの適用の対象となる事業に含まれない。

誤りです。「外国法事務弁護士」も適用の対象に含まれますので、常時5人以上の従業員を雇用している事業所である場合には、健康保険の適用事業所となります。

選択肢2. 強制適用事業所が、健康保険法第3条第3項各号に定める強制適用事業所の要件に該当しなくなった場合において、当該事業所の被保険者の2分の1以上が任意適用事業所となることを希望したときは、当該事業所の事業主は改めて厚生労働大臣に任意適用の認可を申請しなければならない。

誤りです。設問の場合には、任意適用事業所となるための認可があったものと「みなされます」ので、別途、認可の申請をする必要はありません。

選択肢3. 事業所の休業にかかわらず、事業主が休業手当を健康保険の被保険者に支給する場合、当該被保険者の健康保険の被保険者資格は喪失する。

誤りです。事業主が休業手当を支給する場合であっても、被保険者がその資格を喪失することは「ありません」。

選択肢4. 被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱いについて、当該被害者が被扶養者から外れるまでの間の受診については、加害者である被保険者を健康保険法第57条に規定する第三者と解することにより、当該被害者は保険診療による受診が可能であると取り扱う。

正しいです。被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者については、加害者である被保険者を「第三者」と解することにより、保険診療による受診が可能であると取り扱うこととされています。

選択肢5. 保険料の免除期間について、育児休業等の期間と産前産後休業の期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されることから、育児休業等から引き続いて産前産後休業を取得した場合は、産前産後休業を開始した日の前日が育児休業等の終了日となる。この場合において、育児休業等の終了時の届出が必要である。

誤りです。育児休業等から引き続いて産前産後休業を取得した場合は、産前産後休業を開始した日の前日が育児休業等の終了日となりますが、当該育児休業等の終了時の届出は「不要」です。

まとめ

少し細かな論点も含まれますが、これを機におさえるようにしましょう。

参考になった数2

03

通達や、細かい点からの出題がありますので難易度はやや難といったところでしょうか。

確実に得点というのは難しいかもしれませんが、一通り復習しておきましょう。

選択肢1. 令和4年10月1日より、弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業に該当する個人事業所のうち、常時5人以上の従業員を雇用している事業所は、健康保険の適用事業所となったが、外国法事務弁護士はこの適用の対象となる事業に含まれない。

誤り。

設問の外国法事務弁護士は適用事業の範囲に含まれます。

事業主の国籍を問わず適用されるという点が思いつけば正誤判断ができるかもしれません。

選択肢2. 強制適用事業所が、健康保険法第3条第3項各号に定める強制適用事業所の要件に該当しなくなった場合において、当該事業所の被保険者の2分の1以上が任意適用事業所となることを希望したときは、当該事業所の事業主は改めて厚生労働大臣に任意適用の認可を申請しなければならない。

誤り。

適用事業所が要件に該当しなくなった場合ですが、この場合はその事業所については任意適用の認可があったものとみなされるため、同意や申請は不要とされています。

つまり、被保険者の資格も喪失することなく継続します。

選択肢3. 事業所の休業にかかわらず、事業主が休業手当を健康保険の被保険者に支給する場合、当該被保険者の健康保険の被保険者資格は喪失する。

誤り。

設問のような規定はありません、事業主が休業手当を支給するような場合であっても被保険者の資格は喪失することはありません。

選択肢4. 被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱いについて、当該被害者が被扶養者から外れるまでの間の受診については、加害者である被保険者を健康保険法第57条に規定する第三者と解することにより、当該被害者は保険診療による受診が可能であると取り扱う。

設問の通り正しい。

比較的新しい通達からの出題ですが設問の通りです。この場合被扶養者から外れている状態ではないため、当然に保険診療を受けることが可能です。

※参考 令和3年3月29日保保発0329第1号

選択肢5. 保険料の免除期間について、育児休業等の期間と産前産後休業の期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されることから、育児休業等から引き続いて産前産後休業を取得した場合は、産前産後休業を開始した日の前日が育児休業等の終了日となる。この場合において、育児休業等の終了時の届出が必要である。

誤り。

一読すると正しい文章ですが、問題文最後が誤りです。設問の場合は育児休業等の終了時の届出は不要です。

まとめ

やや難しい問題だったと思いますが、出題された箇所は比較的新しい法改正や通達からのものもありましたので今後も出題の可能性があります、可能な限り押さえておきましょう。

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