社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
厚生年金保険法 問7

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 択一式 厚生年金保険法 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 老齢厚生年金に係る子の加給年金額は、その対象となる子の数に応じて加算される。1人当たりの金額は、第2子までは配偶者の加給年金額と同額だが、第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額となる。
  • 昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、配偶者の加給年金額に更に特別加算が行われる。特別加算額は、受給権者の生年月日によって異なり、その生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる。
  • 甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。
  • 乙は、視覚障害で障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする。)を受給している。現在も、厚生年金保険の適用事業所で働いているが、新たな病気により、障害等級3級に該当する程度の聴覚障害が生じた。後発の障害についても、障害厚生年金に係る支給要件が満たされている場合、厚生年金保険法第48条の規定により、前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。
  • 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額である。ただし、その額が、障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額が障害手当金の額となる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

一部に事例のような問題が出題されています、少し難しいかもしれませんが何を問われているかという点を読み取れれば正誤判断はできるでしょう。

選択肢1. 老齢厚生年金に係る子の加給年金額は、その対象となる子の数に応じて加算される。1人当たりの金額は、第2子までは配偶者の加給年金額と同額だが、第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額となる。

誤り。

老齢厚生年金の子の加給年金額の金額は2人目までは224,700円、3人目以降は74,900円となります。

設問では3分の2とありますが、正しくは3分の1となりますので誤りです。

選択肢2. 昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、配偶者の加給年金額に更に特別加算が行われる。特別加算額は、受給権者の生年月日によって異なり、その生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる。

誤り。

配偶者加給年金額の特別加算は生年月日が遅いほど金額が多くなります。

なお、老齢基礎年金の振替加算額については生年月日が遅い(若い)ほど金額が少なくなります。比較しておきましょう。

選択肢3. 甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。

設問の通り正しい。

この事例では、既に障害等級2級の障害基礎年金、障害厚生年金を受給しています。そして国民年金加入中に事故により障害等級2級の障害基礎年金を支給すべき事由が生じたとあります。この場合は後発の障害については障害厚生年金は支給されませんが、従前の障害厚生年金が1級に改定されます。やや難しい範囲ですので、時間的な余裕がなければ深入せず後回しで結構でしょう。

選択肢4. 乙は、視覚障害で障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする。)を受給している。現在も、厚生年金保険の適用事業所で働いているが、新たな病気により、障害等級3級に該当する程度の聴覚障害が生じた。後発の障害についても、障害厚生年金に係る支給要件が満たされている場合、厚生年金保険法第48条の規定により、前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

誤り。

設問の場合は併合認定は行われず、従前の障害厚生年金の受給権は消滅しません。

併合認定は障害等級が2級以上の場合に行われますが設問では、

障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする。)

とあり前発、後発の障害ともに3級ですので併合認定は行われません。

なお、過去に1級又は2級に該当していたが現在3級であるような場合は併合認定の対象となります。

事例ですので少し難しいですが、併合認定が行われる場合の要件が論点です。

時間に余裕があれば復習しておきましょう。

選択肢5. 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額である。ただし、その額が、障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額が障害手当金の額となる。

誤り。

障害手当金の最低保障額は「障害基礎年金2級の額に4分の3を乗じて得た額」に2を乗じて得た額とされています。

なお、障害基礎年金2級の額に4分の3を乗じて得た額というのは障害厚生年金3級の最低保障額ですのでその2倍と考えておくと良いでしょう。

まとめ

事例の問題については深く読み込んで解答するよりは、何が問われているのか、何の制度について聞かれていいるのかを意識して問題文を読むようにしましょう。

また、深入りはしなくて結構ですので時間的な余裕がなければ学習は後回しで良いでしょう。

参考になった数14

02

厚生年金に関する分野横断的な問題です。各ジャンルの論点を正確に押さえる必要があります。

選択肢1. 老齢厚生年金に係る子の加給年金額は、その対象となる子の数に応じて加算される。1人当たりの金額は、第2子までは配偶者の加給年金額と同額だが、第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額となる。

「第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額となる」の部分が誤りです。老齢厚生年金に係る子の加給年金額は、第1子・第2子は「224,700円×改定率」、第3子以降は「74,900円×改定率」です。

選択肢2. 昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、配偶者の加給年金額に更に特別加算が行われる。特別加算額は、受給権者の生年月日によって異なり、その生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる。

「その生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる」の部分が誤りです。配偶者の特別加算額は、昭和9年4月2日〜昭和15年4月1日までの間に生まれた者については「33,200円×改定率」、昭和18年4月2日以降に生まれた者については「165,800円×改定率」と、生年月日が遅いほど特別加算額は「多く」なります。

選択肢3. 甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。

設問のとおりです。障害厚生年金(その権利を取得した当時から障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。)の受給権者(障害基礎年金の受給権者に限る。)に新たに障害基礎年金の受給権が生じた場合には、前後の障害の程度を併合して、「障害厚生年金」の額が改定されます。なお、「障害基礎年金」が併合されても、それに伴い、新たな「障害厚生年金」の受給権が発生するわけではありません。

選択肢4. 乙は、視覚障害で障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする。)を受給している。現在も、厚生年金保険の適用事業所で働いているが、新たな病気により、障害等級3級に該当する程度の聴覚障害が生じた。後発の障害についても、障害厚生年金に係る支給要件が満たされている場合、厚生年金保険法第48条の規定により、前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

「前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する」の部分が誤りです。前後の障害が併合されるのは、その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある受給権者に限られ、障害等級3級に該当する障害の状態にある受給権者に係るものは併合認定の対象からは除かれます。

選択肢5. 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額である。ただし、その額が、障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額が障害手当金の額となる。

「その額が障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは」の部分が誤りです。正しくは「障害厚生年金の最低保証額に2を乗じて得た額」です。なお、障害基礎年金2級の額が「780,900円×改定率」なのに対し、障害厚生年金の最低保証額は「780,900円×改定率×3/4」です。

まとめ

各論点は基本的な論点と言えます。しっかりと押さえて得点に繋げましょう。

参考になった数3

03

横断的な問題ですが、いずれも基本的な論点です。

選択肢1. 老齢厚生年金に係る子の加給年金額は、その対象となる子の数に応じて加算される。1人当たりの金額は、第2子までは配偶者の加給年金額と同額だが、第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額となる。

配偶者の加給年金額は「224,700円×改定率」です。第2子までは同額ですが、第3子以降は「74,900円×改定率」です。配偶者の加給年金額の3分の2ではないので、誤りです。

選択肢2. 昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、配偶者の加給年金額に更に特別加算が行われる。特別加算額は、受給権者の生年月日によって異なり、その生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる。

生年月日により特別加算額が異なりますが、生年月日が遅いほど特別加算額が多くなるため誤りです。

選択肢3. 甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。

正しい選択肢です。障害基礎年金との併合による年金額の改定となります。本肢のとおり、併合時には厚生年金保険の被保険者である必要はありません。

選択肢4. 乙は、視覚障害で障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする。)を受給している。現在も、厚生年金保険の適用事業所で働いているが、新たな病気により、障害等級3級に該当する程度の聴覚障害が生じた。後発の障害についても、障害厚生年金に係る支給要件が満たされている場合、厚生年金保険法第48条の規定により、前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

障害厚生年金の併合認定は、その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものを「除く」とされていますので、誤りです。

また、新たに生じた障害も障害等級1級又は2級に「限る」とされているので、その点でも誤りです

選択肢5. 障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額である。ただし、その額が、障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額が障害手当金の額となる。

障害手当金の最低保障額は、「障害基礎年金を受けることが出来ない場合の障害厚生年金の最低保障の額に2を乗じて得た額に満たない時は、当該額」とされているので誤りです。

まとめ

どの選択肢も基本的な論点で、得点源となる問題です。しっかり押さえておきましょう。

参考になった数0