社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
国民年金法 問8

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問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 択一式 国民年金法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 令和5年度の老齢基礎年金の額は、名目手取り賃金変動率がプラスで物価変動率のプラスを上回ったことから、令和5年度において67歳以下の人(昭和31年4月2日以降生まれの人)は名目手取り賃金変動率を、令和5年度において68歳以上の人(昭和31年4月1日以前生まれの人)は物価変動率を用いて改定され、満額が異なることになったため、マクロ経済スライドによる調整は行われなかった。
  • 令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。
  • 保険料の4分の3免除、半額免除及び4分の1免除の規定により、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、追納を行うためには、その免除されていない部分である残余の額が納付されていなければならない。
  • 昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。
  • 保険料の全額免除期間については、保険料の全額免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料をその後追納しなくても老齢基礎年金の年金額に反映されるが、それは免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用について国庫が負担しているからであり、更に、平成15年4月1日以降、国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたことから年金額の反映割合も免除の種類に応じて異なっている。

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この過去問の解説 (3件)

01

やや、難しい問題ですので解答は難しいかもしれません。

後半3問はできれば正誤判断がしたいところです。

選択肢1. 令和5年度の老齢基礎年金の額は、名目手取り賃金変動率がプラスで物価変動率のプラスを上回ったことから、令和5年度において67歳以下の人(昭和31年4月2日以降生まれの人)は名目手取り賃金変動率を、令和5年度において68歳以上の人(昭和31年4月1日以前生まれの人)は物価変動率を用いて改定され、満額が異なることになったため、マクロ経済スライドによる調整は行われなかった。

誤り。

令和5年度の年金額の改定については、「マクロ経済スライドによる調整は行われています」。年金額の改定ルールは複雑なルールですので、試験対策として全てを理解するというのは無理があります。

最低限押さえる点は、

①新規裁定者の場合は名目手取り賃金変動率を基準とし、既裁定者の場合は物価変動率を基準とする

②名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、改定方法が異なる

大まかに言うと、この2点くらいです。

実際の改定率は法改正のテキストなどで直前期に確認すると良いでしょう。

選択肢2. 令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。

誤り。

国民年金の保険料の法定額は17,000円とされています。実際の保険料は法定額である17,000円に保険料改定額を乗ずることにより改定されます。なお、令和5年度の実施の保険料は16,500円とされています。

選択肢3. 保険料の4分の3免除、半額免除及び4分の1免除の規定により、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、追納を行うためには、その免除されていない部分である残余の額が納付されていなければならない。

設問の通り正しい。

保険料一部免除期間については、免除されていない残り(残余の額)を納付してはじめて保険料免除期間とされます。免除されていない残り(残余の額)を納付していなければその期間については保険料未納期間となりますので、混同しないようにしましょう。

選択肢4. 昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。

誤り。

一読すると正しい記述ですが、20歳以上60歳未満の学生であった期間が合算対象期間とされるのは平成3年3月31日までの期間です。なお、合算対象期間が年金額に反映されないという記述については設問の通りです。

選択肢5. 保険料の全額免除期間については、保険料の全額免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料をその後追納しなくても老齢基礎年金の年金額に反映されるが、それは免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用について国庫が負担しているからであり、更に、平成15年4月1日以降、国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたことから年金額の反映割合も免除の種類に応じて異なっている。

誤り。

国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたたのは、平成15年4月1日以降ではなく、平成21年4月1日以降です。なお、その他は全て正しい記述です。

また、参考までに平成15年4月という点ですが厚生年金保険法においては平成15年4月1日以降、総報酬制の導入が行われています。

まとめ

年金額、保険料の改定については毎年変わりますので法改正のテキストなどで最新の数字だけは確認しておくと良いでしょう。

後半2問は年金制度の沿革を知っていれば分かるかもしれませんが「いつから」「いつまで」という点が論点です。問題文を一読し正しいと判断できても、よく読むと誤りの記述がある場合もあります。落ち着いて問題文を読むようにしましょう。

参考になった数9

02

かなり細かい部分からの出題が多く難しい問題です。

選択肢1. 令和5年度の老齢基礎年金の額は、名目手取り賃金変動率がプラスで物価変動率のプラスを上回ったことから、令和5年度において67歳以下の人(昭和31年4月2日以降生まれの人)は名目手取り賃金変動率を、令和5年度において68歳以上の人(昭和31年4月1日以前生まれの人)は物価変動率を用いて改定され、満額が異なることになったため、マクロ経済スライドによる調整は行われなかった。

令和5年度はマクロ経済スライドによる調整は行われたので誤りです。

論点を探すのも困難で、かなり難しい選択肢と言えるでしょう。年金額の改定はとても複雑な分野であり、すべてを理解するには膨大な労力と時間を要しますが、試験対策上コストパフォーマンスが良いとは言えません。深追いはせず広く浅い対策を心がけましょう。

選択肢2. 令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。

難易度の高い選択肢です。

国民年金保険料の月額上限は16,900円ではなく、「17,000円」であるため誤りです。

なお、国民年金保険料は17,000円に保険料改定率を乗じて得た額です。

保険料改定率は、前年度の保険料改定率に名目賃金変動率を乗じて得た率を基準として改定されます。

選択肢3. 保険料の4分の3免除、半額免除及び4分の1免除の規定により、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、追納を行うためには、その免除されていない部分である残余の額が納付されていなければならない。

正しい選択肢です。

追納を行うためには、免除されていない部分である残余の額を納付されていなければなりません。それを納めていない保険料未納付期間については追納することができません。

選択肢4. 昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。

「平成4年3月31日まで」ではなく「平成3年3月31日まで」なので誤りです。

合算対象期間は、頻出分野なので覚えるのは大変ですがしっかり押さえておきましょう。

選択肢5. 保険料の全額免除期間については、保険料の全額免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料をその後追納しなくても老齢基礎年金の年金額に反映されるが、それは免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用について国庫が負担しているからであり、更に、平成15年4月1日以降、国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたことから年金額の反映割合も免除の種類に応じて異なっている。

「平成15年4月1日以降」ではなく「平成21年4月1日以降」なので誤りです。少し細かい部分が論点で、わかりづらかったかもしれません。

なお、それ以外の保険料全額免除や国庫負担の割合等の記述は全て正しいものとなっております。

まとめ

正解の選択肢は基本的な論点です。本問題のような複雑な論点が多く出た場合も、焦らず基本的な知識で解けるところを解いていきましょう。

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03

分野横断的な問題であり、やや応用的な論点も含まれます。

選択肢1. 令和5年度の老齢基礎年金の額は、名目手取り賃金変動率がプラスで物価変動率のプラスを上回ったことから、令和5年度において67歳以下の人(昭和31年4月2日以降生まれの人)は名目手取り賃金変動率を、令和5年度において68歳以上の人(昭和31年4月1日以前生まれの人)は物価変動率を用いて改定され、満額が異なることになったため、マクロ経済スライドによる調整は行われなかった。

「マクロ経済スライドによる調整は行われなかった」の部分が誤りです。令和5年度の老齢基礎年金の額については、マクロ経済スライドが行われました。なお、満額が異なることとマクロ経済スライドが行われることの間に相関関係はありません。

選択肢2. 令和5年度の実際の国民年金保険料の月額は、平成29年度に引き上げが完了した上限である16,900円(平成16年度水準)に、国民年金法第87条第3項及び第5項の規定に基づき名目賃金の変動に応じて改定された。

「16,900円」の部分が誤りです。平成31年4月から、産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、保険料の法定額が100円引き上げられ、平成31年度以降は「17,000円」とされました。

選択肢3. 保険料の4分の3免除、半額免除及び4分の1免除の規定により、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、追納を行うためには、その免除されていない部分である残余の額が納付されていなければならない。

設問のとおりです。免除された保険料の追納を行うためには、その免除されていない部分である残余の額が納付されていなければなりません。

選択肢4. 昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。

「平成4年3月31日」の部分が誤りです。学生であった期間が合算対象期間とされるのは、昭和36年4月1日から「平成3年3月31日」までです。

選択肢5. 保険料の全額免除期間については、保険料の全額免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料をその後追納しなくても老齢基礎年金の年金額に反映されるが、それは免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用について国庫が負担しているからであり、更に、平成15年4月1日以降、国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたことから年金額の反映割合も免除の種類に応じて異なっている。

「平成15年4月1日以降」の部分が誤りです。国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたのは「平成21年4月1日以降」です。

まとめ

応用論点に惑わされず、基本論点を正確に判断し得点に繋げましょう。

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