社会保険労務士の過去問
第55回(令和5年度)
国民年金法 問7

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問題

社労士試験 第55回(令和5年度) 択一式 国民年金法 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 保険料の納付受託者が、国民年金法第92条の5第1項の規定により備え付けなければならない帳簿は、国民年金保険料納付受託記録簿とされ、納付受託者は厚生労働省令で定めるところにより、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれをその完結の日から3年間保存しなければならない。
  • 国民年金・厚生年金保険障害認定基準によると、障害の程度について、1級は、例えば家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできない状態又は行ってはいけない状態、すなわち、病院内の生活でいえば、活動範囲がおおむね病棟内に限られる状態であり、家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られる状態であるとされている。
  • 被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、当該被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなされるとともに、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされ、その子の遺族基礎年金の受給権は被保険者等の死亡当時にさかのぼって発生する。
  • 国民年金法第21条の2によると、年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、その過誤払が行われた年金給付は、債務の弁済をすべき者の年金給付の内払とみなすことができる。
  • 国民年金法附則第5条第1項によると、第2号被保険者及び第3号被保険者を除き、日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上70歳未満の者は、厚生労働大臣に申し出て、任意加入被保険者となることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

本問題は少し難易度が高いです。正解の選択肢が頻出な論点ではなく、他の選択肢でも正誤の判断が難しいものがあります。

選択肢1. 保険料の納付受託者が、国民年金法第92条の5第1項の規定により備え付けなければならない帳簿は、国民年金保険料納付受託記録簿とされ、納付受託者は厚生労働省令で定めるところにより、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれをその完結の日から3年間保存しなければならない。

正しい選択肢です。

書類の保存年数が論点であり、細かい部分ですがたまに出題される分野です。優先度として低いですが出来るだけ対策しておきましょう。

選択肢2. 国民年金・厚生年金保険障害認定基準によると、障害の程度について、1級は、例えば家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできない状態又は行ってはいけない状態、すなわち、病院内の生活でいえば、活動範囲がおおむね病棟内に限られる状態であり、家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られる状態であるとされている。

問題文の記述は、2級についての記述であり1級ではないので誤りです。

かなり細かい部分からの出題であり、わからなくても仕方ありません。他の選択肢で正解を判断していきましょう。

選択肢3. 被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、当該被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなされるとともに、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされ、その子の遺族基礎年金の受給権は被保険者等の死亡当時にさかのぼって発生する。

胎児であった子が生まれた時は、その子の遺族基礎年金の受給権は生まれた日に発生します。

被保険者の死亡の当時まで遡ることはしないので誤りです。

選択肢4. 国民年金法第21条の2によると、年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、その過誤払が行われた年金給付は、債務の弁済をすべき者の年金給付の内払とみなすことができる。

債務を弁済する者に支払うべき年金給付があるときは、その年金給付の内払いとみなすことができるわけではなく、返還金債権の金額に充当することができる取扱いとなるため誤りです。

ざっくり説明するならば、内払は「年金給付の支払が停止・減額・給付の変更されたにもかかわらず停止される分・減額された分が支払われた場合に同一人に対して行われる調整」であるのに対し、充当は「年金の受給権者が死亡し、受給権が消滅しているにもかかわらず年金が支払われた場合に、他の受給権者(遺族)の年金で行われる調整」となります。日本国籍を有し、日本国内に住所を有しない者は、20歳以上65歳未満の間に任意加入被保険者となれるため誤りです。

選択肢5. 国民年金法附則第5条第1項によると、第2号被保険者及び第3号被保険者を除き、日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上70歳未満の者は、厚生労働大臣に申し出て、任意加入被保険者となることができる。

日本国籍を有し、日本国内に住所を有しない者は、20歳以上65歳未満の間に任意加入被保険者となれるため誤りです。

まとめ

難易度が高い問題ですが、障害認定基準以外の選択肢は復習してしっかり押さえておきましょう。

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02

応用論点も含まれますが、基本論点をいかに正確に判断できるかがポイントです。

選択肢1. 保険料の納付受託者が、国民年金法第92条の5第1項の規定により備え付けなければならない帳簿は、国民年金保険料納付受託記録簿とされ、納付受託者は厚生労働省令で定めるところにより、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれをその完結の日から3年間保存しなければならない。

設問のとおりです。納付受託者は、国民年金保険料納付受託記録簿を備え付け、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれをその完結の日から3年間保存しなければなりません。

選択肢2. 国民年金・厚生年金保険障害認定基準によると、障害の程度について、1級は、例えば家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできない状態又は行ってはいけない状態、すなわち、病院内の生活でいえば、活動範囲がおおむね病棟内に限られる状態であり、家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られる状態であるとされている。

「1級は」の部分が誤りです。設問の内容は、障害等級「2級」の障害の程度に関する説明です。

選択肢3. 被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、当該被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなされるとともに、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされ、その子の遺族基礎年金の受給権は被保険者等の死亡当時にさかのぼって発生する。

「その子の遺族基礎年金の受給権は被保険者等の死亡当時にさかのぼって発生する」の部分が誤りです。胎児であった子が生まれたときは、「将来に向かって」、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなされます。つまり、出生した日に受給権が発生します。

選択肢4. 国民年金法第21条の2によると、年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、その過誤払が行われた年金給付は、債務の弁済をすべき者の年金給付の内払とみなすことができる。

「内払とみなすことができる」の部分が誤りです。年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、当該年金給付の支払金の金額の当該過誤払による返還金債権の金額に「充当」することができます。

選択肢5. 国民年金法附則第5条第1項によると、第2号被保険者及び第3号被保険者を除き、日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上70歳未満の者は、厚生労働大臣に申し出て、任意加入被保険者となることができる。

「20歳以上70歳未満」の部分が誤りです。日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない「20歳以上65歳未満」の者は、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができます。

まとめ

応用論点に惑わされず、基本論点をしっかりと押さえて得点に繋げましょう。

参考になった数2

03

前半の2問はやや、細かいですが、後半の3問は基本論点です。

選択肢を絞ることはある程度可能でしょう。

選択肢1. 保険料の納付受託者が、国民年金法第92条の5第1項の規定により備え付けなければならない帳簿は、国民年金保険料納付受託記録簿とされ、納付受託者は厚生労働省令で定めるところにより、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれをその完結の日から3年間保存しなければならない。

設問の通り正しい。

書類の保存という少し細かい点からの出題ですが、設問の通りです。

このような問題については、1つ1つ、どれが何年などと覚えるのは無謀です。

法律ごとに原則何年、例外としてこの規定は何年などと押さえるとよいでしょう。

選択肢2. 国民年金・厚生年金保険障害認定基準によると、障害の程度について、1級は、例えば家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできない状態又は行ってはいけない状態、すなわち、病院内の生活でいえば、活動範囲がおおむね病棟内に限られる状態であり、家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られる状態であるとされている。

誤り。

設問の記述は、障害等級2級についての記述です。

1級については、「病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである(国民年金・厚生年金保険障害認定基準 (昭和61年3月31日)

(庁保発第15号)(各都道府県知事あて社会保険庁年金保険部長通知)ほか。)」とされています。

この記述を全て覚えるのは無理がありますので、暗記する必要はありません。

大まかなイメージとして活動の範囲がベット周辺に限られる→日常生活がかなり困難のようなイメージです。いずれにしても細かい点ですので、深追いは不要です。

選択肢3. 被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、当該被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなされるとともに、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされ、その子の遺族基礎年金の受給権は被保険者等の死亡当時にさかのぼって発生する。

誤り。

設問の場合は「将来に向かって」その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなすとされています。

つまり、子の出生の日に受給権が発生し、その翌月からの支給となります。

選択肢4. 国民年金法第21条の2によると、年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、その過誤払が行われた年金給付は、債務の弁済をすべき者の年金給付の内払とみなすことができる。

誤り。

設問の場合は「当該年金給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる(国民年金法第21条の2)」とされています。内払と充当については、労災保険法でも同じような規定がありますので、あわせて押さえておきましょう。

選択肢5. 国民年金法附則第5条第1項によると、第2号被保険者及び第3号被保険者を除き、日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上70歳未満の者は、厚生労働大臣に申し出て、任意加入被保険者となることができる。

誤り。

任意加入被保険者となることができるのは65歳未満の者です。

国民年金の任意加入は原則、65歳までとされています。任意加入被保険者の要件は

基本論点ですので必ず押さえておきましょう。

なお、任意加入被保険者は本来の任意加入被保険者のほかに、特例による任意加入被保険者があります。

この、特例による任意加入被保険者は老齢年金の受給資格期間を満たさない者が特例的に受給資格期間を満たすまで加入することができる制度で、本来の任意加入とは異なりますので注意しましょう。

まとめ

少し難しい問題もありますので、確実に解答とまではできないかもしれませんが、選択肢を絞ることは可能です。基本論点を中心に押さえ、細かな論点は後回しで良いでしょう。

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