司法書士の過去問
平成25年度
午後の部 問40
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問題
平成25年度 司法書士試験 午後の部 問40 (訂正依頼・報告はこちら)
確定判決に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 金銭の支払請求を認容する判決が確定した場合でも、その金銭支払請求権について他に時効中断の方法がないときは、再度、その金銭支払請求権の履行を求める訴えを提起することができる。
イ 口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命ずる判決が確定した場合においては、口頭弁論終結後に損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じたときであっても、当該判決の変更を求める訴えを提起することができない。
ウ 所有権に基づく抹消登記手続請求を認容した確定判決は、その理由中で原告の所有権の存在を認定していても、所有権の存否について既判力を有しない。
エ 当事者が前訴の既判力を援用しなかった結果、後訴の裁判所が誤って既判力に抵触する判断をした場合には、当該判決は、無効となる。
オ 土地の所有権確認の訴えを提起して敗訴した者が、再度、同じ土地の所有権確認の訴えを提起した場合には、前訴の口頭弁論終結後の事情を主張しているときであっても、前訴判決の既判力により、後訴は不適法な訴えとして却下される。
ア 金銭の支払請求を認容する判決が確定した場合でも、その金銭支払請求権について他に時効中断の方法がないときは、再度、その金銭支払請求権の履行を求める訴えを提起することができる。
イ 口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命ずる判決が確定した場合においては、口頭弁論終結後に損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じたときであっても、当該判決の変更を求める訴えを提起することができない。
ウ 所有権に基づく抹消登記手続請求を認容した確定判決は、その理由中で原告の所有権の存在を認定していても、所有権の存否について既判力を有しない。
エ 当事者が前訴の既判力を援用しなかった結果、後訴の裁判所が誤って既判力に抵触する判断をした場合には、当該判決は、無効となる。
オ 土地の所有権確認の訴えを提起して敗訴した者が、再度、同じ土地の所有権確認の訴えを提起した場合には、前訴の口頭弁論終結後の事情を主張しているときであっても、前訴判決の既判力により、後訴は不適法な訴えとして却下される。
- アウ
- アエ
- イオ
- イウ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢はアとウなので、1が正解となります。
各選択肢の解説は以下のとおりです。
ア. 判例は、給付判決確定後の時効中断のための再訴は、権利の保護を裁判所に要求する利益があるとして、再度の訴えを提起する利益を認めています。(大審院昭和6年11月24日判決参照)。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 民事訴訟法117条1項本文では「口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命じた確定判決について、口頭弁論終結後に、後遺障害の程度、賃金水準その他の損害償の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じた場合には、その判決の変更を求める訴えを提起することができる」と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。
ウ. 民事訴訟法114条1項では「確定判決は、主文に包含する者に限り、既判力を有する」と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。
エ. 後訴の裁判所が、前訴の既判力に抵触する判決を下した場合でも、その判決は当然には無効になりません。当事者は上訴によって争うことができるし、確定しても、再審の訴えでその取消しを求めることができます。従って、上訴で争うべきとするところを、無効であるとしているので、本選択肢は誤りです。
オ. 事実審の口頭弁論終結の時点が、既判力の基準時となるので、敗訴した者が、後訴で、口頭弁論終結時後の事情を主張しているときは、後訴は、前訴えの既判力に抵触せず、後訴は却下されません。従って、本選択肢は誤りです。
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02
ア 正しい。
確定判決後は既判力が生じ、同一の事案については再審理がなされないことが原則ですが、金銭支払請求権につき他に時効中断の方法がないときは再度の提訴が認められるというのが判例の立場です(大判昭和6・11・24)。
イ 誤り。
民訴法117条は「口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命じた確定判決について、口頭弁論終結後に、後遺障害の程度、賃金水準その他の損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じた場合には、その判決の変更を求める訴えを提起することができる。ただし、その訴えの提起の日以後に支払期限が到来する定期金に係る部分に限る。」と規定しています。よって本選択肢は誤りです。
ウ 正しい。
既判力は判決主文に包含するものに限り生じます(民訴法114条)。よって、判決理由中に述べられた所有権の存否については既判力は発生しません。
エ 誤り。
既判力に抵触する判決は再審の申立事由となります(民訴法338条)。当然に無効となるものではありません。
オ 誤り。
既判力の基準時は口頭弁論終結時となり、それ以降の新事実は既判力に拘束されません。よって、本選択肢の訴えが不適法として却下されることはありません。
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03
正解は1。
ア:正
金銭の支払請求を認容する判決が確定した場合でも、その金銭支払請求権について他に時効の更新の方法がないときは、例外的に、再度、同一の金銭支払請求権の履行を求める訴えを提起することにも訴えの利益が認められます。したがって、この場合には、適法に訴え提起をすることができます。
よって、正しい記述です。
なお、時効中断については、平成29年民法改正により時効の更新となっています。
イ:誤
民事訴訟法117条1項本文は、「口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命じた確定判決について、口頭弁論終結後に、後遺障害の程度、賃金水準その他の損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じた場合には、その判決の変更を求める訴えを提起することができる」と規定していますので、このような訴えを提起することができます。
よって、誤った記述です。
なお、「ただし、その訴えの提起の日以後に支払期限が到来する定期金に係る部分に限る」(同項ただし書)とされていることにも注意するとよいでしょう。
ウ:正
既判力は、「主文に包含するものに限り」生じますので(民事訴訟法114条1項)、所有権に基づく抹消登記手続請求を認容した確定判決の理由中で原告の所有権の存在を認定しても、所有権の存否について既判力は生じません。
よって、正しい記述です。
エ:誤
前訴判決の既判力ある判断に抵触する判断をした判決も、無効となるわけではありません。
この瑕疵について、当事者は上訴で後訴の判決の取消しを求めることができます。確定してしまった場合には、「不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること」(民事訴訟法338条1項10号)を理由として、再審の訴えにより、取消を求めることになります。
よって、誤った記述です。
オ:誤
既判力の作用は、後訴を不適法とするのではなく、後訴での一定の主張を排斥することにあるので、前訴判決の既判力により後訴が不適法な訴えとして却下されるというのは誤りです。
さらに、既判力の基準時は、事実審の口頭弁論終結時であり(民事執行法35条2項参照)、後訴において、基準時たる口頭弁論終結時後の事情を主張することは、前訴判決の既判力によっては何ら妨げられるところはありません。
よって、いずれにせよ誤った記述です。
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