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司法書士の過去問 平成28年度 午前の部 問24

問題

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間接正犯に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  Aは、是非弁別能力はあるものの13歳である息子Bに対し、通行人を刃物で脅して現金を奪って小遣いにすればいいと促し、Bは、小遣い欲しさから、深夜、道を歩いていた女性Cにナイフを突きつけて現金2万円を奪った。この場合、Aには、強盗罪の間接正犯は成立しない。

イ  Aは、Bに対し、執拗に暴行を加えながら、車に乗ったまま海に飛び込んで自殺するよう要求し、Aの指示に従うしかないという精神状態にまで追い詰められたBは、Aの目前で、車を運転して漁港の岸壁から海に飛び込んで溺死した。この場合、Aには、自殺教唆罪の間接正犯が成立する。

ウ  Aは、知人Bを殺害しようと考え、毒入りの和菓子が入った菓子折を用意し、その事情を知らないAの妻Cに対し、その菓子折をB宅の玄関前に置いてくるよう頼んだが、Aの言動を不審に思ったCは、B宅に向かう途中でその菓子折を川に捨てた。この場合、Aには、殺人未遂罪の間接正犯は成立しない。

エ  Aは、多額の借金のために将来を悲観し、毒薬を調達した上で、妻Bに心中を持ちかけ、それに同意したBにその毒薬を渡したところ、先にBが毒薬を飲んで死亡し、続いてAも致死量を超える毒薬を飲んだが、嘔吐して死亡することができなかった。この場合、Aには、殺人罪の間接正犯が成立する。

オ  Aは、Bが同人所有の空き地に自動車の中古部品を多数保管していることを知り、Bに無断で、金属回収業者Cに対し、その中古部品が自己のものであるかのように装って売却し、Cは、その中古部品を自己のトラックで搬出した。この場合、Aには、窃盗罪の間接正犯は成立しない。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イエ
   4 .
イオ
   5 .
ウエ
( 平成28年度 司法書士試験 午前の部 問24 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解は 1 です。

正しい選択肢はア及びウなので、1が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 判例は、刑事未成年者であっても、是非弁別の能力のある者の利用については、意志抑圧の程度に達していなければ、間接正犯は成立せず、一定の状況下では、共謀共同正犯が成立する、としています。(最高裁平成13年10月25日決定)。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 判例は、被告人の命令において車ごと海中に飛び込む行為以外の行為を選択することができない、という精神状態に陥っていた被害者に対して、事件当日、漁港の岸壁上から車ごと海中に転落するように命じ、被害者をして、自らを死亡させる現実的危険の高い行為に及ばせたものであるから、被害者に命令して車ごと海に転落させた行為は、殺人罪の実行行為に当たるべきである、としていあmす。(最高裁平成16年1月20日決定)。よって、Aには、自殺教唆罪の間接正犯ではなく、殺人罪の間接正犯が成立するので、本選択肢は誤りです。

ウ. 判例では、他人が食用の結果食中毒に至ることがあることを予見しつつ、毒物をその飲食し得うべき状態に置いた事実がある時に、殺人罪の実行の着手を認めています。(大審院大正7年11月16日判決)。本選択肢では、AがCに託した毒入り和菓子は、B宅に向かう途中で廃棄されており、B宅に届けられておらず、毒物を飲食すべき状態に置かれていません。従って、Aには殺人罪の実行の着手が認められておらず、殺人未遂罪の間接正犯は成立しないので、本選択肢は正しいです。

エ. 人を教唆して自殺させた場合、自殺教唆罪が成立します。(刑法202条前段)。Aは妻Bに心中を持ち掛け、妻Bが同意していることから、当初自殺意思がなかったことを妻Bをさとして、自殺を決意させています。従って、妻Bは、自殺の意味を理解し、自由な意思で自殺を決意しているので、Aには自殺幇助罪が成立し、本選択肢は誤りです。

オ. 判例は、被告人が、他人の所有管理に係る物件をあたかも自己の所有物のごとく装って第三者に売却し、搬出させたという事案において、窃盗罪の間接正犯が成立するとしています。(最高裁昭和31年7月3日決定)。従って、本選択肢は誤りです。

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6
正解は1です。間接正犯は、他人を道具として使い、犯罪を行わせた人物に成立するものをいいます。教唆犯とは、犯罪の意思のない他人をそそのかして犯罪を行わせるように仕向けることをいいます。

ア…正しいです。母Aが息子Bに強盗を行うよう教唆し、Bが強盗を実行した事件において、Bは刑事未成年者ではあるものの、是非弁別能力を有し、かつAに意思を抑圧されている状態にはなく、自己の判断で臨機応変に対処し強盗を完遂したことから、Aには教唆犯や間接正犯ではなく、共同正犯が適用された判例があります(最判平13・10・25)。なお、実際に犯罪を犯した者に是非弁別能力があるというだけでは十分でなく、意思の抑圧などにより、窃盗などの犯罪の道具として扱われていたのであれば、犯罪を行わせた人物に間接正犯が成立します(最判昭58・9・21)。本問でも、Bは強盗の方法について具体的な指示を受けたとはいえ、小遣いという自己の利益を目的に行動していますので、Aは共同正犯になると考えられます。

イ…誤りです。被害者Bを自殺させて保険金を得る目的で、執拗な暴行や脅迫を加えながら車ごと海に飛び込ませたAについて、Bをして極めて死ぬ危険性の高い行為を実行するほかないと思い込ませる精神状態に追い込んだことは、殺人罪の実行行為にあたるとし、被害者が死ななかったとしても殺人未遂罪が成立するとされた判例があります(最判平16・1・20)。したがって本問のAには殺人罪が成立するといえます。

ウ…正しいです。毒入りの砂糖を郵送して殺人をはかった事件において、それが「飲食し得うべき状態」に置かれた時点で、間接正犯が成立する、とした判例があります(大審院大7・11・16、毒入り砂糖郵送事件)。したがって、間接正犯の実行において、その着手時期には到達主義がとられているといえることから、本問で毒入り和菓子はそもそもB宅に届けられず、AはBが食せる状態に持って行くことをしなかったので、間接正犯は成立しないと考えられます。

エ…誤りです。本問のBは自分の意思で毒薬を飲んでおり、心中に同意しているので毒薬を飲むことの意味も理解していたと考えられます。したがって単なる道具ではありませんので、間接正犯にはなりません。一方、毒薬を準備したのはAであり、Bの自殺を容易にしたという点で、自殺幇助の従犯になると考えられます。

オ…誤りです。他人の所有する掘削機につき、管理処分権のない他人が金属回収業者にこれを屑鉄として搬出させた事件において、単に動産につき自己に管理処分権のない者が、第三者と当該動産の売買契約を結んだだけでは窃盗にならないが、売却のために動産を解体し、その解体費用を差し引いた価額を売却価格として設定して、業者に解体された動産を搬出させた場合は、窃盗罪を構成するとされた判例があります(最判昭31・7・3)。運搬を実際に行ったのは業者なので、本問のAは窃盗罪の間接正犯です。

6
アとウが正しい肢ですので、1が正解です。

ア. Bは意思を抑圧されておらず自分の意思で犯行に及んだので道具とは評価されない、という判例があります。よって、間接正犯は成立しません。

イ. Bは意思を抑圧されており自分の意思で海に飛び込んでいないので、Bを道具とした殺人罪の間接正犯が成立する、という判例があります。

ウ. 実行の着手時期が問題となりますが、実際に毒入り和菓子がBの手元に届いていないため、実行の着手はない、とする判例があります。

エ. Bは自殺の意味を理解しており、道具ではありません。よって間接正犯は成立しません。

オ. 事情をしらないCに、自分のものであることを装いBの占有を奪う行為において間接正犯が成立する、という判例があります。

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