問題
このページは問題閲覧ページです。正解率や解答履歴を残すには、 「条件を設定して出題する」をご利用ください。
[ 設定等 ]
次の対話は、特定責任追及の訴えの制度に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
教授 : 株式会社A(以下「A社」という。)を最終完全親会社等とする株式会社B(以下「B社」という。)が、株式会社C(以下「C社」という。)と取引をした結果、B社の代表取締役Dの責任により、B社が10億円の損害を被り、C社が10億円の利益を得たという事例を考えてみましょう。B社C社間の取引がされた日において、B社の株式の帳簿価額は、A社の総資産額の5分の1を超えていたものとします。まず、A社の株主であるEが、代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えの提起の請求(以下「提訴請求」という。)をする場合には、どのように提訴請求をすることとなりますか。
学生 : ア 提訴請求は、A社を介してB社にする必要があります。株主Eは、提訴請求をするに当たり、一定数のA社の議決権等を有していることなどが必要となりますが、これらを確認することができるのは、A社だからです。
教授 : B社C社間の取引により、代表取締役Dの責任でA社に損害が生じていない場合でも、株主Eは、提訴請求をすることができますか。
学生 : イ その場合には、株主Eは、提訴請求をすることができません。株主Eが有するA社の株式の価値に変動は生じておらず、株主Eは、B社の損害に係る代表取締役Dに対する特定責任の追及について利害関係を有しないからです。
教授 : B社が、代表取締役Dの損害賠償責任を株主総会の決議によって一部免除するには、どの会社の株主総会の決議が必要となりますか。
学生 : ウ その場合には、代表取締役Dの損害賠償責任を一部免除することについて、B社の株主総会の決議に加えて、A社の株主総会の決議も必要となります。
教授 : 株主Eが、代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えを提起した場合には、株主Eが訴訟告知をしなければならない範囲はどうなりますか。
学生 : エ 株主Eは、B社に加えA社に対しても、訴訟告知をしなければなりません。
教授 : では、B社C社間の取引がされた後、株主Eが提訴請求をする前に、株式交換が行われ、A社が株式会社F(以下「F社」という。)の完全子会社等となり、株主Eが、新たにA社の最終完全親会社等となったF社の株主となったとしましょう。B社C社間の取引がされた日以後、B社の株式の帳簿価額がF社の総資産額の5分の1を下回っていた場合には、A社がF社の完全子会社等となったことは、株主Eによる提訴請求の可否に影響しますか。
学生 : オ その場合でも、代表取締役Dの特定責任の有無は、B社C社間の取引がされた日におけるA社の総資産額が基準となるため、A社がF社の完全子会社等となったことは、株主Eによる提訴請求の可否に影響しません。
教授 : 株式会社A(以下「A社」という。)を最終完全親会社等とする株式会社B(以下「B社」という。)が、株式会社C(以下「C社」という。)と取引をした結果、B社の代表取締役Dの責任により、B社が10億円の損害を被り、C社が10億円の利益を得たという事例を考えてみましょう。B社C社間の取引がされた日において、B社の株式の帳簿価額は、A社の総資産額の5分の1を超えていたものとします。まず、A社の株主であるEが、代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えの提起の請求(以下「提訴請求」という。)をする場合には、どのように提訴請求をすることとなりますか。
学生 : ア 提訴請求は、A社を介してB社にする必要があります。株主Eは、提訴請求をするに当たり、一定数のA社の議決権等を有していることなどが必要となりますが、これらを確認することができるのは、A社だからです。
教授 : B社C社間の取引により、代表取締役Dの責任でA社に損害が生じていない場合でも、株主Eは、提訴請求をすることができますか。
学生 : イ その場合には、株主Eは、提訴請求をすることができません。株主Eが有するA社の株式の価値に変動は生じておらず、株主Eは、B社の損害に係る代表取締役Dに対する特定責任の追及について利害関係を有しないからです。
教授 : B社が、代表取締役Dの損害賠償責任を株主総会の決議によって一部免除するには、どの会社の株主総会の決議が必要となりますか。
学生 : ウ その場合には、代表取締役Dの損害賠償責任を一部免除することについて、B社の株主総会の決議に加えて、A社の株主総会の決議も必要となります。
教授 : 株主Eが、代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えを提起した場合には、株主Eが訴訟告知をしなければならない範囲はどうなりますか。
学生 : エ 株主Eは、B社に加えA社に対しても、訴訟告知をしなければなりません。
教授 : では、B社C社間の取引がされた後、株主Eが提訴請求をする前に、株式交換が行われ、A社が株式会社F(以下「F社」という。)の完全子会社等となり、株主Eが、新たにA社の最終完全親会社等となったF社の株主となったとしましょう。B社C社間の取引がされた日以後、B社の株式の帳簿価額がF社の総資産額の5分の1を下回っていた場合には、A社がF社の完全子会社等となったことは、株主Eによる提訴請求の可否に影響しますか。
学生 : オ その場合でも、代表取締役Dの特定責任の有無は、B社C社間の取引がされた日におけるA社の総資産額が基準となるため、A社がF社の完全子会社等となったことは、株主Eによる提訴請求の可否に影響しません。
1 .
アイ
2 .
アエ
3 .
イオ
4 .
ウエ
5 .
ウオ
( 平成28年度 司法書士試験 午前の部 問34 )