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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問17

問題

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債権譲渡に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

ア  Aが種類物である商品甲をBに売却することによって将来有することになる一切の代金債権をCに譲渡したとしても、その債権譲渡契約は、譲渡の目的が特定されていないから、無効である。

イ  将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は、その目的とされる債権が発生する相当程度の可能性が契約締結時に認められないときは無効である。

ウ  債権の譲受人が譲渡人の委託を受け、債務者に対し、譲渡人の代理人として債権の譲渡の通知をしたときは、譲受人は、その債権の譲渡を債務者に対抗することができる。

工  譲渡禁止特約が付された債権が譲渡された場合において、譲受人がその特約を知っていたときは、譲渡人は、譲渡が無効であることを主張して、債務者に対し、その債務の履行を請求することができる。

オ  譲渡禁止特約が付された債権について差押えをした者は、その特約を知っていた場合であっても、転付命令を得て当該債権を取得することができる。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イエ
   4 .
イオ
   5 .
ウオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問17 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解:5

ア:誤
債権譲渡の目的となる債権の特定性について、判例は、債権者及び債務者が特定され、発生原因が特定の商品についての売買取引とされていることによって、他の債権から識別ができる程度に特定されているということができる(最判平12.4.21)としています。
よって、本肢の債権譲渡契約は、譲渡の目的が特定されているといえるので有効です。

イ:誤
判例は、将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において、当該債権発生の可能性が低かったことは、債権譲渡契約の効力を、当然に左右するものではない(最判平11.1.29)としています。

ウ:正
本人(譲渡人)の委託を受けてなした代理行為の効果は本人に帰属します。譲渡人の代理人として、債権の譲受人がした債権譲渡の通知は、譲渡人が通知したことになるので、当該通知も有効とされます。

エ:誤
判例は、債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は,債務者の利益を保護するために付されるものと解される。そうすると、譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されないと解するのが相当である(最判平21.3.27)としています。
よって、譲渡人は、譲渡が無効であることを主張して、債務者に対し、その債務の履行を請求することができません。

オ:正
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」)をした場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができます(民466ⅡⅢ)。しかし、当該規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用されません(民466の4Ⅰ)。

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6
正解:5

ア:誤
判例は、債権者及び債務者が特定され、譲渡の目的である債権の発生原因がこたつ、羊毛・羽毛ふとん、暖卓台及びこれらのセット等の売買取引に基づき第三債務者に対して現に有し又は将来有することのある一切の商品売掛代金債権とされていた場合に、「発生原因が特定の商品についての売買とされていることによって、他の債権から識別できる程度に特定されている」として譲渡の目的の特定性を認めています。
よって、誤った記述です。

イ:誤
判例は、「契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではない」としています。将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約について、契約当事者は、譲渡の目的とされる債権の発生の基礎を成す事情下における債権発生の可能性の程度を考慮した上、債権が見込みどおり発生しなかった場合に譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべきであるからです(最判平成11年1月29日民集53巻1号151頁)。
よって、誤った記述です。

なお、平成29年民法466条の6第1項は「債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない」と定め、将来債権の譲渡が有効であることを明文化しています。

ウ:正
指名債権譲渡の通知は、特定の債権が特定の譲受人に譲渡されたことを明確にしてなされるのであれば、譲渡人から委任を受けた代理人によって行うことも許されます(最判昭和46年3月25日判時628号44頁)。
よって、正しい記述です。

なお、これとは異なり、譲受人を詐称する者からの虚偽の通知を防ぐ趣旨から譲受人が譲渡人に代位して(民法423条)通知をすることは許されない(大判昭和5年10月10日民集9巻948頁)ことにも注意してください。

エ:誤
平成29年改正後の民法466条2項は「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない」と規定しています。
これに対して、同条3項は、この場合には、「譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる」と規定していますが、これは譲渡の目的となった債権の債務者を保護するための規定ですので、譲渡人が、譲渡禁止特約に違反することを理由として譲渡が無効であると主張することはできません。
また、平成29年民法改正前の判例は、「譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって,債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,その無効を主張することは許されない」としています(最判平成21年3月27日民集第63巻3号449頁)。
よって、誤った記述です。

オ:正
判例は、「譲渡禁止の特約のある債権であっても、差押債権者の善意・悪意を問わず、これを差し押え、かつ、転付命令によって移転することができるものであって、これにつき、」改正前民法466条2項の適用ないし類推適用をなすべきではないとしています。私人がその意思表示によって、差押禁止財産を生み出すことになってしまうからです(最判昭和45年4月10日民集24巻4号240頁)。
したがって、譲渡禁止特約が付されており、その特約を知っていたとしても、その債権を差押え、転付命令を得て取得することができます。
よって、正しい記述です。

3
正解は5です。債権譲渡は、意思表示の際に債権が現に存在していることを要しません(466条の6第1項、将来債権譲渡)。将来債権は以前から使われていましたが、平成29年の改正で明文化されたものです。この場合、対象となる債権がどの程度特定されていたかが問題となります。

ア…誤りです。判例では、甲が乙との売買契約に基づき、将来有することになる売掛代金債権を目的として、丙との間で譲渡の予約をした場合、譲渡予約完結時において、譲渡の目的である債権が甲の有する他の債権と識別される程度に特定されているため、譲渡は有効に成立するとしています(最判平12・4・21)。

イ…誤りです。将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において、目的債権の発生の可能性が低かったことは、契約の効力を当然に左右するわけではないという判決があります(最判平11・1・29)。債権の特定性については、債権の発生原因、譲渡に係る額、債権の発生または弁済期の到来する期間の始期と終期を明確にする、などの方法による特定が求められており、債権が予定通り発生しなかったときの譲受人に生じた不利益は、譲渡人の契約上の責任追及により行うべきであるとされています。

ウ…正しいです。債権譲渡においては、必ず譲渡人から債務者への通知を必要とします。譲受人から債務者への通知については、代位行使することは認められませんが(大判昭5・10・10)、委託により通知することは認められています(大判昭12・11・9)。債権譲渡は意思表示に準じる扱いとされ、譲受人を代理人(99条1項)として使ったに過ぎないためです。

エ…誤りです。譲渡禁止特約が付された債権が譲渡された場合でも、その譲受人が善意かつ重大な過失がないときに限り、譲渡が有効になり、善意の第三者に対抗できます(466条2項ただし書、最判昭48・7・19)。しかし、譲渡禁止特約は債務者を保護するためのもので、債権者は譲渡の無効を主張することによる利益を有しないので、(債務者に特別の利益が認められない限り)債権者(譲渡者)からの無効を主張することは許されないとされます(最判平21・3・27)。

オ…正しいです。譲渡禁止特約が付されていた場合であっても、差押債権者の善意・悪意を問わず、転付命令によって差押債権者に債権を移転することができます(最判昭45・4・10)。譲渡禁止特約は私人間効力しかもたないため、強制執行制度が優先されます。

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