測量士補の過去問
平成27年度(2015年)
問8
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問題
測量士補試験 平成27年度(2015年) 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文は、GNSS測量における誤差について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
- GNSS衛星の配置が片寄った時間帯に観測すると、観測精度が低下することがある。
- 観測点の近くに強い電波を発する構造物などがあると、観測精度が低下することがある。
- 仰角の低いGNSS衛星を使用すると、多重反射(マルチパス)などの影響を受けやすいため、観測精度が低下することがある。
- 2周波の観測により、電離層や対流圏の影響による誤差を軽減できる。
- 同一機種のGNSSアンテナでは、向きをそろえて整置することにより、アンテナの特性による誤差を軽減できる。
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この過去問の解説 (4件)
01
解説
GNSS測量の誤差に関する問題です。
1.正しい
GNSS観測では、片寄った配置のGNSS衛星を使用すると精度が低下するため、事前に衛星配置を衛星の軌道情報(アルマナックデータ)で確認する必要があります。
衛星配置は、GPS衛星を用いる場合、4つの衛星が造る四面体の体積が最大になる配置が良いとされています。
2.正しい
GNSS測量は衛星からの電波を受信して行うものであり、電波障害となる電波発信源の近傍での観測は避けなければなりません。
3.正しい
対流圏遅延誤差やマルチパスの影響を軽減するため、GNSS衛星の最低高度角が設定されています。
作業規程の準則では、GNSS衛星の最低高度角は15°を標準としています。
4.間違い
2周波の観測により軽減できるのは電離層遅延誤差のみで、対流圏遅延誤差は基線解析ソフトのデフォルト値を用いて気象補正が行われます。
5.正しい
異機種のアンテナを用いる場合は、PCV補正を行う事により機種間のアンテナ位相特性を軽減できますが、同一機種では向きを揃える事によってアンテナ位相特性を軽減できます。
なお、アンテナの向きは「北」とするのが原則です。
アンテナに入射する電波の方向により、電波の位相がずれる性質があるため、この位相のずれは観測値に影響を与えます。
したがって、明らかに間違っているのは「4」となります。
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02
1.〇
GNSS衛星は、偏った時間帯に観測すると、観測精度が低下することがあるため、事前に衛星位置をアルマナックデータ(衛星の軌道情報)を確認し、観測します。正しいです。
2.〇
GNSS測量は衛星から出ている電波を受信器で受信します。電波を発する構造物や機械があると、観測精度が低下する可能性がある為、その近くには設置しないようにしましょう。正しいです。
3.〇
仰角の低い(高度が低い)衛星を使用すると、受信の際に構造物に当たったり、対空圏の遅延誤差が大きくなることがある為、なるべく仰角が高い方が精度が上がります。最低高度角は15°が標準となっています。
4.×
電波が地上に届くまでの伝搬経路には、電離層と地球を取り囲む大気の層があります。電波が電離層中を通過するとき、電子の量に基づき電波の速度が遅くなります。したがって、 その遅延量を補正する必要があります。
2周波以上の電波を使用して補正することができるのは電離層のみで、対流圏遅延は補正できません。ただ対流圏遅延は大きく変化しない為、モデル化して基準値で補正を行う方法をとります。問題文は電離層や対流圏の影響誤差を軽減できるとありますので、間違いです。
5.〇
同一のアンテナを用いる場合は、向きを揃えて設置することにより、アンテナ方向による誤差を軽減できます。異機種のアンテナを用いる場合は、PCV補正(電波の入射角に応じてズレが生じる為、各高度ごとに修正する方法)にて修正を行います。
よって問の答えは 4 となります。
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03
解説
1:正しい
GNSS衛星が片寄った時間に観測すると、精度が低下するため、事前に衛星配置を衛星の軌道情報で確認して観測する必要があります。
2:正しい
GNSS測量測量機は衛星からの電波を受信するので、近くに強い電波を発する構造物があると、衛星からの搬送波位相に影響を与えて観測精度が低下します。
3:正しい
仰角の低いGNSS衛星を使用すると、直接到達する電波以外に電波が構造物などの当たって反射されたものが受信されてしまうため、観測精度が低下することがあります。
4:間違い
GNSS衛星から観測点までに電波が伝搬する過程で、電離層遅延誤差と対流圏遅延誤差が生じます。
対流圏遅延誤差は周波数に依存しないため、2周波の観測をしても誤差を軽減できません。このことから、4は間違いとなります。
ちなみに、対流圏遅延誤差は基線解析ソフトウェアで採用している標準値を用いて近似的な補正を行います。
5:正しい
GNSSアンテナは位相特性があります。
同じ機種のアンテナは同じ特性を示すので、向きを特定の方向にそろえると位相特性の影響を軽減できます。
異なる機種のアンテナでは、PCV補正を行うことで位相特性の影響を軽減します。
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04
GNSS測量の誤差に関する問題です。
GNSS観測では、片寄った配置のGNSS衛星を使用すると精度が低下するため、事前に衛星配置をアルマナックデータ(衛星の軌道情報)で確認しなければなりません。
GNSS測量とは衛星からの電波を受信して行うものであるため、電波障害となるような電波発信源の近傍での観測は避けるべきです。
対流圏遅延誤差やマルチパスの影響を軽減するために、GNSS衛星の最低高度角が設定されています。作業規程の準則では、GNSS衛星の最低高度角は15°を標準としています。
2周波の観測により軽減できるのは、電離層遅延誤差のみです。対流圏遅延誤差は、基線解析ソフトのデフォルト値を用いて気象補正を行います。
異機種のアンテナを用いる場合、PCV補正を行う事により機種間のアンテナ特性を軽減できます。同一機種では問題文のように向きを揃えます。
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