測量士補の過去問
令和元年度(2019年)
問24

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問題

測量士補試験 令和元年度(2019年) 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文は、地理空間情報を用いたGIS(地理情報システム)での利用について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
  • 50mメッシュ間隔の人口メッシュデータと避難所の点データを用いて、避難所から半径1kmに含まれるおおよその人口を計算した。
  • ネットワーク化された道路中心線データを利用し、消防署から火災現場までの最短ルートを表示した。
  • 航空レーザ測量で得た数値地形モデル(DTM)と基盤地図情報の建築物の外周線データを用いて、建物の高さ15m以上の津波避難ビルの選定を行った。
  • 公共施設の点データに含まれる種別属性と建物の面データを用いて、公共施設である建物面データを種別ごとに色分け表示した。
  • 浸水が想定される区域の面データと地図情報レベル2500の建物の面データを用いて、浸水被害が予想される概略の家屋数を集計した。

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この過去問の解説 (3件)

01

解答:3

1:〇

人口メッシュデータによりその避難所を利用するおおよその人数を想定することができます。

2:〇

ベクタデータであるため、道路中心線データにより線の交点間の距離が解るため最短ルートの計算が行えます。

3:✕

数値地形モデル(DTM)は建物や樹木の高さを除いた地表面の高さです。

したがって、建物の高さを得ることはできません。

4:〇

種別属性が解っているため種別分類が可能である。

また、面データも含まれているため、色分け表示を行うことができます。

5:〇

地図情報レベル2,500であれば家屋数はほぼ正確に得ることができます。

さらに浸水想定区域の面データにより浸水区域の確定を行えば、浸水被害が想定される家屋数を得ることができます。

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02

解答:3

解説
1:正しい
GISの機能として、点や線、面などの図形から等しい距離にある領域を特定することで、勢力圏の設定が可能です。
したがって、50mメッシュ間隔の人口メッシュデータと避難所の点データを用いて、避難所から半径1kmに含まれるおおよその人口を計算することは可能です。

2:正しい
GISでは、空間解析機能によって最短経路の探索などのネットワーク分析ができます。
したがって、ネットワーク化された道路中心線データを利用し、消防署から火災現場までの最短ルートを表示できます。

3:間違い
数値地形モデル(DTM)は、建物や樹木などの高さを取り除いた地表そのものの高さのモデルです。
したがって、数値地形モデル(DTM)と基盤地図情報の建築物の外周線データを用いて、建物の高さ15m以上の津波避難ビルの選定は、数値地形モデル(DTM)に建物の高さが含まれていないので、行うことはできません。

4:正しい
GISは、複数の異なるレイヤーを重ねて、新しい主題図を作成することができます。
したがって、公共施設の点データに含まれる種別属性と建物の面データを用いて、公共施設である建物面データを種別ごとに色分け表示することができます。

5:正しい
GISの地図を表示する機能を使い、地図と情報の重ね合わせができます。
したがって、浸水が想定される区域の面データと地図情報レベル2500の建物の面データを用いて、浸水被害が予想される概略の家屋数を集計できます。

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03

GIS(地理情報システム)での利用に関する問題です。GISは、地図を使って多様な情報源から大量の空間データを取り込み、地図情報を主体としたデータベースを作成し、それを効果的に蓄積、検索、変換、解析して、地図出力や意思決定支援などができるように設計されています。

選択肢1. 50mメッシュ間隔の人口メッシュデータと避難所の点データを用いて、避難所から半径1kmに含まれるおおよその人口を計算した。

人口メッシュデータにより、その避難所を利用するおおよその人数を想定できます。よって、正しいです。

選択肢2. ネットワーク化された道路中心線データを利用し、消防署から火災現場までの最短ルートを表示した。

道路中心線データを使えば、線の交点(交差点)間の距離が分かるため、2点間の最短ルートを計算できます。よって、正しいです。

選択肢3. 航空レーザ測量で得た数値地形モデル(DTM)と基盤地図情報の建築物の外周線データを用いて、建物の高さ15m以上の津波避難ビルの選定を行った。

数値地形モデル(DTM)は、建物や樹木を除いた地表面の高さのデータです。これに、構築物の外周線データを組み合わせても、高さ15m以上の構築物の抽出データは得ることはできないため、誤りです。

選択肢4. 公共施設の点データに含まれる種別属性と建物の面データを用いて、公共施設である建物面データを種別ごとに色分け表示した。

種別属性が分かっていれば、その種別属性と建物面データを組み合わせて、公共施設である建物面データを種別ごとに色分けして表示することも可能なため、正しいです。

選択肢5. 浸水が想定される区域の面データと地図情報レベル2500の建物の面データを用いて、浸水被害が予想される概略の家屋数を集計した。

地図情報レベル2500の地図の最大実寸誤差は約1.75mのため、この精度であれば地図内の建物の家屋数を正確に把握できます。従って、それと浸水区域の面データを組み合せれば、浸水被害が想定される区域内の家屋数を得られるため、正しいです。

まとめ

この分野では、ラスタデータ(面データ)とベクタデータ(線データ)の名称と性質をわざと入れ替えて、誤りの選択肢とする問題がよく出題されます。双方のデータの特徴を正確に覚えていないと、このひっかけ問題に引っかかってしまいますので、注意しましょう。

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