通関士の過去問 第50回(平成28年) 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 問86
この過去問の解説 (2件)
2・・買手が売手に分配する利潤が明らかではない場合は関税定率法第4条第1項の規定に基づく課税価格の決定の原則により当該輸入貨物の課税価格を決定することができませんが、「明らかである」とされているので課税価格を決定することができます。
3・・関税定率法第4条第1項第1号に規定されている「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」に当該輸入貨物の買手により運送人に支払われる為替相場の変動による補てん金も含まれるため正解。
4・・データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの課税価格は、当該ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場合、当該ソフトウェアの価格は課税価格に算入せずにキャリアメディア自体の価格を課税価格とすることとなっているため正解です。
(誤:1・5)
1・・当該細菌株を本邦において純粋培養する権利は、当該輸入貨物を本邦において複製する権利に該当するため課税価格に含めることはできません。
5・・航海用船契約に基づき輸入貨物の運送をした船舶の復路の空船回送料は、その額が明らかであれば、当該輸入貨物の課税価格に含まれません。
なぜなら輸入貨物の輸入港到着後の運賃等になるためです。
正答は2・3・4です。
2・・買手が売手に分配する利潤が明らかではない場合は関税定率法第4条第1項の規定に基づく課税価格の決定の原則により当該輸入貨物の課税価格を決定することができませんが、「明らかである」とされているので課税価格を決定することができます。
3・・関税定率法第4条第1項第1号に規定されている「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」に当該輸入貨物の買手により運送人に支払われる為替相場の変動による補てん金も含まれます。
「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用をいい、その輸入貨物の輸出港までの運送費用を含みます。
ただし、運送が特殊な事情の下(天災、港湾ストライキ等)において行われたことにより
実際に要した輸入港までの運賃の額が通常必要とされるその輸入港までの運賃の額を著しく超えるものとなった場合は通常必要とされる運賃となります。
4・・データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの課税価格は
当該ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場合、当該ソフトウェアの価格は課税価格に算入せずにキャリアメディア自体の価格を課税価格とすることとなっているため正解です。
「キャリアメディア」には集積回路、半導体及び類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイスを組み込んだ物品を含まず、「ソフトウェア」にはサウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まないことに注意が必要です。
(誤:1・5)
1・・当該細菌株を本邦において純粋培養する権利は、当該輸入貨物を本邦において複製する権利に該当するため課税価格に含めることはできません。
複製する権利には上記の他に
・特許発明が実施されている機械が輸入された場合において、これと同じものを本邦において製造する権利
・ 著作権の対象である写真が輸入された場合において、当該写真を使用した写真集を作成するため、当該写真を本邦において印刷する権利
・ 著作権の対象である音楽が編集された録音テープが輸入された場合において、当該録音テープを本邦においてダビングする権利
・ 回路基盤を効率的に利用するため開発された、回路配置利用権の対象である回路図が輸入された場合において、当該回路図を利用して、回路基盤を本邦において作成する権利
・ 著作権の対象である小説の原稿が輸入された場合において、当該原稿を使用して当該小説を本邦において書籍化する権利
・ 著作権の対象である映画が収録されたフィルムが輸入された場合において、当該フィルムを使用して当該映画を本邦において上映する権利
などがあります。(関税定率法基本通達:4-13-(5))
5・・航海用船契約に基づき輸入貨物の運送をした船舶の復路の空船回送料は、その額が明らかであれば、当該輸入貨物の課税価格に含まれません。輸入貨物の輸入港到着後の運賃・保険料等になるためです。
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