通関士の過去問
第53回(令和元年)
通関業法 問27

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問題

通関士試験 第53回(令和元年) 通関業法 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、通関業法第15条に規定する更正に関する意見の聴取及び同法第16条に規定する検査の通知に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  • 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第67条の輸出又は輸入しようとする貨物についての必要な検査をさせるため、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知を当該通関業者に行った場合において、当該通関業者又はその従業者が立ち会わないときは、立会いのないまま検査を行って差し支えないこととされている。
  • 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第62条の3第2項の保税展示場に入れようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない。
  • 通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、計算の誤りに基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該誤りに関し意見を述べる機会を与えなければならない。
  • 通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
  • 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第75条において準用する同法第67条の本邦から外国に向けて積戻ししようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者に対し、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知をすることを要しない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1,2,4です。

1→○

関税法基本通達16-1(2)より、”通関業者又はその従業員が立ち会わないときは、立会いのないまま検査を行って差支えない”としています。(一部改正:平29第570号)

正しい記述です。

2→○

通関業法第16条、検査の通知の内容に則しています。

正しい記述です。

3→×

通関業法第15条において、意見を述べる機会を与えるものとして、”額の増加が計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因するものである場合は、この限りではない。”としています。

よって、計算の誤りに基因するものについては意見を述べる機会を与えるものではありません。

4→○

通関業法第15条において、”当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属又は課税価格の相違その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。”とあります。

正しい記述です。

5→×

関税法第75条において、外国貨物の積戻しは、輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類、貨物の検査に係る権限の委任・貨物の検査場所…等々、第67条などの規定を準用するとしています。積戻ししようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者に対し、当該通関業者又はその従業員の立会いを求めるための通知を要します。

(通関業法第16条 ”税関長は通関業者の行う通関手続きに関し、税関職員の関税法第67条の検査その他これに準ずる関税に関する法律の規定に基づく検査で政令で定めるものをさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、当該通関業者に通知しなければならない。)

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02

通関業法に規定する更正に関する意見の聴取及び検査の通知に関する問題です。

選択肢1. 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第67条の輸出又は輸入しようとする貨物についての必要な検査をさせるため、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知を当該通関業者に行った場合において、当該通関業者又はその従業者が立ち会わないときは、立会いのないまま検査を行って差し支えないこととされている。

正しい内容です。

通関業法基本通達第16条の内容です。

第16条の内容(検査の通知)の運用については、次による。

⑴ 検査の立会いを求めるための通知は、口頭又は書面のいずれでも差し支えないものとし、また、検査指定票の交付をもってこれに代えることができる。

⑵ 法第16条の規定に基づく通知に対し、通関業者又はその従業者が立ち会わないときは、立会いのないまま検査を行って差し支えない。

選択肢2. 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第62条の3第2項の保税展示場に入れようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない。

正しい内容です。

通関業法第16条に、税関長は、通関業者の行なう通関手続に関し、税関職員に関税法第六十七条の検査その他これに準ずる関税に関する法律の規定に基づく検査で政令で定めるものをさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならないと規定されております。

選択肢3. 通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、計算の誤りに基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該誤りに関し意見を述べる機会を与えなければならない。

誤った内容です。

関税の額の増加が計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因するものである場合は、通関業者に対し、意見を述べる機会を与えなければならないとはされておりません。

選択肢4. 通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。

正しい内容です。

通関業法第十五条に、通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属又は課税価格の相違その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならないと規定されております。

選択肢5. 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第75条において準用する同法第67条の本邦から外国に向けて積戻ししようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者に対し、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知をすることを要しない。

誤った内容です。

積戻ししようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者に対し、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知を要します。

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03

本問は、更正に関する意見の聴取、検査の通知がどのような場合に必要とされるか、について問う問題です。

選択肢1. 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第67条の輸出又は輸入しようとする貨物についての必要な検査をさせるため、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知を当該通関業者に行った場合において、当該通関業者又はその従業者が立ち会わないときは、立会いのないまま検査を行って差し支えないこととされている。

正しい。

通関業法16条で、「税関長は、通関業者の行なう通関手続に関し、税関職員に関税法第67条の検査(中略)をさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない」と規定されています。

そして、通関業法基本通達16-1(2)では、この通知に対し、「通関業者又はその従業者が立ち会わないときは、立会いのないまま検査を行って差し支えない」と規定されています。

よって、税関長は、関税法67条の検査をさせる場合は通関業者に対して立会いを求めるための通知をする必要があるものの、通関業者またはその従業者が立会わない場合は、立会いなしで検査を行うことが可能です。

選択肢2. 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第62条の3第2項の保税展示場に入れようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない。

正しい。

通関業法施行令7条3号によって、通関業法16条で通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない検査に、関税法62条の3第2項の検査が含まれると規定されています。

選択肢3. 通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、計算の誤りに基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該誤りに関し意見を述べる機会を与えなければならない。

誤り。

更正が計算の誤りに基因して納付すべき関税の額を増加するものである場合は、通関業者に対して意見を述べる機会を与えなくてもよいとされています。

 

通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について更正すべき場合で、通関業者に対して意見を述べる機会を与えなければならないとされているのは、「当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属又は課税価格の相違その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるとき」です(通関業法15条本文)。そして、「関税の額の増加が計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因するものである場合」は意見を述べる機会を与えなくてもよいものとされています(通関業法15条但書)。

選択肢4. 通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。

正しい。

通関業法15条本文の文言の通りです。

通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について更正すべき場合で、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属又は課税価格の相違その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるとき、税関長は、通関業者に対して意見を述べる機会を与えなければならないとされています(通関業法15条本文)。

選択肢5. 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第75条において準用する同法第67条の本邦から外国に向けて積戻ししようとする外国貨物についての必要な検査をさせるときは、当該通関業者に対し、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるための通知をすることを要しない。

誤り。

本肢の場合、通関業者に対し、検査への立会いを求めるための通知をすることを要します。

 

通関業法16条で「税関長は、通関業者の行なう通関手続に関し、税関職員に関税法第67条の検査その他これに準ずる関税に関する法律の規定に基づく検査で政令で定めるものをさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない」と規定されています。

本肢の「関税法第75条において準用する同法第67条の検査」は通関業法施行令7条1号により、通関業法16条に規定する政令で定める検査とされています。

まとめ

意見聴取の手続きが必要とされるのは、通関業者の依頼者に、納付すべき関税の額の増加という不利益が生ずる場合に、更正が恣意的に、不意打ちでなされることを防ぎ、通関業者の依頼者を保護するためです。そのことからは、単なる計算の誤りによる更正については恣意的になされる危険性は低いため意見聴取の手続きを要しないと考えられます。

 

また、検査への立会いを求めるための通関業者に対する通知を要する場合について、以下にまとめておきます。

 

<通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、当該通関業者に通知しなければならない場合>

通関業者の行なう通関手続に関し、下の検査をさせるとき(通関業法16条、通関業法施行令7条)

 ・税関職員に関税法第67条(輸出または輸入の許可)の検査(通関業法16条)

 ・外国貨物の積戻し(関税法第75条)の際の、輸出または輸入の許可(通関業法第67条)のための検査

 ・外国貨物を置くことの承認等の際の検査(関税法第43条の4第1項)

  (保税工場、総合保税地域についての場合を含む。)

 ・保税展示場で、博覧会等の施設の建設、維持若しくは撤去又は博覧会等の運営のため、外国貨物について行う、積卸、運搬又は蔵置、内容の点検又は改装、仕分けその他の手入れ、展示又は使用、その他これに類する行為(関税法第62条の2第3項)の承認を受けるための検査(関税法第62条の3第2項)

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