通関士の過去問
第53回(令和元年)
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問44
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問題
通関士試験 第53回(令和元年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問44 (訂正依頼・報告はこちら)
次に掲げる物品が関税暫定措置法第8条の2第1項の特恵関税に係る特恵受益国(A国)において生産された場合、A国を原産地とする物品(特恵受益国原産品)とされるものはどれか。以下の関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)の規定の抜すいを参考にし、特恵受益国原産品とされるものすべてを選び、その番号をマークしなさい。なお、問題文に記載されているものを除き、当該物品に使用されうるその他の材料については、考慮しないものとする。
- 特恵受益国でない第三国から輸入した当該第三国で生産された第8類の果実及び第17類の砂糖を使用して製造した第20.06項の砂糖により調製した果実
- A国で生産された第8類の果実を使用して製造した第20.07項のジャム
- 日本から輸入した第7類の野菜とA国で生産された第8類の果実とを使用して製造した第20.09項のジュース
- 特恵受益国でない第三国から輸入した当該第三国で生産された第8類のぶどうを使用してA国で第20.09項のぶどうジュースを製造し、当該ぶどうジュースを使用して製造した第22.04項のスパークリングワイン
- A国で生産された第11類の小麦粉と特恵受益国でない第三国から輸入した当該第三国で生産された第11類の小麦粉とを7対3の割合で使用して製造した第19.02項のスパゲッティ
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この過去問の解説 (3件)
01
【解説】
原産品資格が与えられるか否かの理解度を図る出題意図になります。この原産地品資格の考え方は、特恵関税適応だけではなく、経済連携協定に係る関税の税恩典にも関わります。しっかり考え方を自分のものにすれば、試験問題としての応用が利くだけでなく、通関士として就労後も使うことができます。今のうちから理解を深めておきましょう。
1. 誤りです。
関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)(抜すい)より、特恵受益国(A国)で生産された第20.06項の砂糖により調整した果実は、原産品としての資格を与えるための条件として、特恵受益国ではない第三国で製造された第8類の果実及び第17類の砂糖を使用してはいけないとされています。
2. 正解です。
特恵受益国(A国)で生産された第20.07項のジャムで、その材料の第8類の果実もA国で生産されているため原産資格を与えることができます。
3. 正解です。
特恵受益国(A国)で生産された第20.09項の野菜及び果実の混合ジュースで、その材料の第8類の果実はA国で生産されているのは上記の設問2からも原産資格を与える条件に合致すると考えられます。さらに、関税暫定法施行令第26条第2項より、第7類の野菜が日本で生産されている場合も、特恵受益国(A国)で生産されたものとみなされ原産資格が与えられます。
4. 誤りです。
関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)(抜すい)より、特恵受益国(A国)で生産された第22.04項のスパークリングワインは、原産品としての資格を与えるための条件として、特恵受益国ではない第三国で製造された第8類のぶどうを使用してはいけないとされています。
5. 誤りです。
関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)(抜すい)より、特恵受益国(A国)で生産された第19.02項のスパゲッティは、原産品としての資格を与えるための条件として、特恵受益国ではない第三国で製造された第11類の小麦粉を使用してはいけないとされています。設問のように割合は関係ありません。
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02
関税暫定措置法施行規則別表の規定に関する、原産品判定についての問題です。
原産品とされない
関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)の規定により、A国以外の第三国で生産された第8類の果実及び第17類の砂糖を使用して製造することは、A国の原産品とみなされない内容となっております。
原産品とされる
A国で生産された第8類の果実を使用して製造した第20.07項のジャムはA国の完全生産品として、原産品と認定されます。
原産品とされる
日本から輸入した第7類の野菜とA国で生産された第8類の果実とを使用し第20.09項のジュースを使用した場合はA国の完全生産品とみなされ、A国の原産品とされる。
原産品とされない
関税暫定措置法施行規則別表22.04項の規定により、第三国で生産された第8類の果実からA国で生産された第20類の果実ジュースを使用することは出来ないので、A国の原産品とされません。
原産品とされない
特恵受益国ではない第三国で製造された第11類の小麦粉を一切使用してはいけないとされています。
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03
本問は、原産地基準についての知識を問う問題です。
特恵受益国原産品とされません。
関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)の規定の抜すいのうち、第20.06項の「原産品としての資格を与えるための条件」を見ると、(特恵受益国ではない第三国で製造された)第8類や第17類に該当する物品から製造したものは原産品と認められないことが分かります。
特恵受益国原産品とされます。
ジャムの原料の果実もA国で生産されているため、完全生産品(関税暫定措置法8条の2第1項、関税暫定措置法施行令26条1項1号、関税暫定措置法施行規則8条10号)に該当します。
特恵受益国原産品とされます
完全生産品に該当します(関税暫定措置法8条の2第1項、関税暫定措置法施行令26条1項1号、2項1号、関税暫定措置法施行規則8条10号)。
本肢の製品は、日本から輸入された原料と当該特恵受益国において収穫された植物性生産品(関税暫定措置法施行規則8条2号)で生産されています。
「その生産された物品が当該本邦から輸出された物品又はこれと前項第一号に掲げる物品※のみを原料又は材料として生産された場合には、当該生産された物品は、当該国又は地域において完全に生産された物品とみなす。」と規定されているため(関税暫定措置法施行令26条2項1号)、本肢の製品はA国の完全生産品とみなされます。
※ 関税暫定措置法施行規則8条で規定されている完全生産品
特恵受益国原産品とされません
まず、本肢のスパークリングワインの原料であるぶどうジュースは、第三国で生産された原料を輸入して生産したものであり、A国の原産品とは認められません。そして、表の関税率表の番号から、ジュースは20類に属することが確認できます。
次に、製品のスパークリングワインについて、関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)の規定の抜すいのうち、第22.04項の「原産品としての資格を与えるための条件」を見ると、第20類に該当する物品から製造した製品は原産品資格が認められないことが分かります。
よって、本肢のスパークリングワインはA国の原産品とは認められません。
特恵受益国原産品とされません
関税暫定措置法施行規則別表(第9条関係)の規定の抜すいのうち、第19.02項の「原産品としての資格を与えるための条件」を見ると、(特恵受益国ではない第三国で製造された)第11類に該当する物品から製造したものは原産品と認められないことが分かります。
一般特恵関税制度の原産地基準について、1.完全生産品、2.実質的変更基準を満たす産品の内容、関税暫定措置法施行令26条2項によって1、2とみなされる場合があること、を確認しておきましょう。
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