通関士の過去問
第53回(令和元年)
通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問45
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問題
通関士試験 第53回(令和元年) 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問45 (訂正依頼・報告はこちら)
日本とA国とを締約国とする二国間の経済連携協定が締結されており、当該協定に以下の原産地規則が定められている場合において、次に掲げる産品のうち、当該経済連携協定に基づくA国の原産品とされるものはどれか。以下の原産地規則を参考にし、A国の原産品とされるものすべてを選び、その番号をマークしなさい。
(原産地規則)
≪原産品≫
この協定の適用上、次のいずれかの産品は、締約国の原産品とする。
(a)当該締約国において完全に得られる、又は生産される産品
(b)当該締約国の原産材料のみから当該締約国において完全に生産される産品
(c)非原産材料を使用して当該締約国において生産される産品であって、下記の≪品目別原産地規則≫を満たすもの
≪完全に得られる産品≫
次に掲げる産品は、締約国において完全に得られ、又は生産される産品とする。
(a)当該締約国において収穫され、採取され、又は採集される植物及び植物生産品
(b)当該締約国において(a)に規定する産品のみから得られ、又は生産される産品
≪累積≫
一方の締約国の原産品であって、他方の締約国において産品を生産するための材料として使用されるものについては、当該他方の締約国の原産品とみなす。
(原産地規則)
≪原産品≫
この協定の適用上、次のいずれかの産品は、締約国の原産品とする。
(a)当該締約国において完全に得られる、又は生産される産品
(b)当該締約国の原産材料のみから当該締約国において完全に生産される産品
(c)非原産材料を使用して当該締約国において生産される産品であって、下記の≪品目別原産地規則≫を満たすもの
≪完全に得られる産品≫
次に掲げる産品は、締約国において完全に得られ、又は生産される産品とする。
(a)当該締約国において収穫され、採取され、又は採集される植物及び植物生産品
(b)当該締約国において(a)に規定する産品のみから得られ、又は生産される産品
≪累積≫
一方の締約国の原産品であって、他方の締約国において産品を生産するための材料として使用されるものについては、当該他方の締約国の原産品とみなす。
- 日本で収穫したトマト(第07.02項)がA国に輸入され、当該トマトを使用してA国で生産されたトマトケチャップ(第21.03項)。ただし、トマト以外の材料はA国の原産材料とする。
- B国で収穫したトマト(第07.02項)がA国に輸入され、当該トマトを使用してA国で生産されたトマトケチャップ(第21.03項)。ただし、トマト以外の材料はA国の原産材料とする。
- C国で生産された綿(第52.03項)がA国に輸入され、当該綿を使用してA国で生産された綿糸(第52.05項)。ただし、綿以外の材料はA国の原産材料とする。
- C国で生産された綿(第52.03項)がA国に輸入され、当該綿を使用してA国で生産された綿織物(第52.08項)。ただし、綿以外の材料はA国の原産材料とする。
- C国で生産された綿糸(第52.05項)がA国に輸入され、当該綿糸を使用してA国で生産された綿織物(第52.08項)。ただし、綿糸以外の材料はA国の原産材料とする。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は1,4となります。
【解説】
経済連携協定上の原産品資格が与えられるか否かの理解度を図る出題意図になります。現在経済連携協定は19協定あり、それぞれに原産品資格が与えられるか否かの品目別原産地規則が存在します。この規則は、相手国の産業構造や貿易の推進を意図して作られているので、各協定特色があります。この場合のA国は架空の国なので、問題の条件をしっかり読み解けば解決できます。必ず取るように心掛けましょう。
1. 正解です。
設問の累積より、一方の締約国(この場合は日本)の原産品であって、他方の締約国(A国)において産品を生産するための材料として使用されるものについては、当該他方の締約国の原産品とみなすとあるので、日本で生産されたトマト(第07.02項)を使用してA国で製造されたトマトケチャップ(第21.03項)はA国の原産品としてみなすことができます。
2. 誤りです。
締約国と関係ない第三国のB国で収穫したトマト(第07.02項)を使用してA国で生産されたトマトケチャップ(第21.03項)は、品目別原産地規則の第21.03項に第7類または第20類からの変更を除いた産品への他の類からの変更とあるので、原産品資格を与えることはできません。
3. 誤りです。
締約国と関係ない第三国のC国で生産された綿(第52.03項)を使用してA国で生産された綿糸 (第52.05項)は、品目別原産地規則の第52.05項のかっこ書きに第52.03項からの変更を除くとあるので、当該綿糸はA国の原産品資格を与えることはできません。
4. 正解です。
締約国と関係ない第三国のC国で生産された綿(第52.03項)を使用してA国で生産された綿織物 (第52.08項)は、品目別原産地規則の第52.08項の産品の他の項からの変更とあるので(かっこ書きの除外規定には当てはまらない)、当該綿織物はA国の原産品資格を与えられることとなります。
5. 誤りです。
締約国と関係ない第三国のC国で生産された綿糸(第52.05項)を使用してA国で生産された綿織物 (第52.08項)は、品目別原産地規則の第52.08項のかっこ書きに第52.05項からの変更を除くとあるので、当該綿糸はA国の原産品資格を与えることはできません。
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02
経済連携協定に基づく原産品認定に関する問題です。
原産品とされる
日本で収穫されたトマト(第07.02項)は累積規定によりA国の原産品とみなされるため、これを使用してA国で生産されたトマトケチャップ(第21.03項)はA国の原産品とされる。
原産品とされない
締約国外の第三国B国で収穫したトマト(第07.02項)を使用して、A国で生産されたトマトケチャップ(第21.03項)は、品目別原産地規則の規定に、「第7類または第20類からの変更を除いた産品」とあるので、原産品資格を与えることはできない内容となっております。
原産品とされない
締約国外の第三国C国で生産された綿(第52.03項)を使用して、A国で生産された綿糸 (第52.05項)は、品目別原産地規則の規定に、「第52.03項からの変更を除く」とあるので、原産品資格を与えることはできない内容となっております。
原産品とされる
締約国外のC国で生産された綿(第52.03項)を使用して、A国で生産された綿織物 (第52.08項)は、品目別原産地規則の規定にあてはまらない内容ですので、原産品と認められます。
原産品とされません。
締約国外のC国で生産された綿糸(第52.05項)を使用して、A国で生産された綿織物 (第52.08項)は、品目別原産地規則の例外規定に該当する内容です。
したがって、当該綿糸原産品として、認められません。
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03
本問のように、経済連携協定が締結されている場合、原産地基準は当該協定によって決定されるので、問題に挙げられている協定を読んで原産品資格が認められるか判断することになります。
問題の原産地規則は以下の通りです。
(a) 完全生産品
・当該締約国において収穫され、採取され、又は採集される植物及び植物生産品
・当該締約国において上の産品のみから得られ、又は生産される産品
(b) 原産材料のみから生産される産品
(c) 実質的変更基準(「品目別原産地規則」)を満たす産品
※みなし規定:一方の締約国の原産品であって、他方の締約国において産品を生産するための材料として使用されるものは、当該他方の締約国の原産品とみなす。
A国の原産品とされます。
本肢のトマトケチャップに使用された材料のトマトは日本の原産品(原産地規則(a))ですが、みなし規定により、A国の原産品とみなされます。
そして、他の材料はA国の原産材料なので、本肢のトマトケチャップはA国の原産材料のみで生産されたものとして、A国の原産品ということになります(原産地規則(b))。
A国の原産品とされません。
本肢のトマトケチャップに使用された材料のトマトはB国で収穫されたものなので、原産地規則(c)の非原産材料を使用して生産したもの、に該当します。
そこで「品目別原産地規則」を満たすかが問題となりますが、トマトケチャップの第21.03項を確認すると、第7類からの変更を除くと規定されています。
よって、本肢のトマトケチャップは原産地規則を満たさないため、A国の原産品と認められないことになります。
A国の原産品とされません。
本肢の綿糸は、C国で生産された綿を材料としており、原産地規則(c)の非原産材料を使用して生産したもの、に該当します。
そこで「品目別原産地規則」を満たすかが問題となりますが、綿糸の第52.05項を確認すると、第52.03項からの変更を除くと規定されています。
よって、本肢の綿糸は原産地規則を満たさないため、A国の原産品と認められないことになります。
A国の原産品とされます。
本肢の綿織物は、C国で生産された綿を材料としており、原産地規則(c)の非原産材料を使用して生産したもの、に該当します。
そこで「品目別原産地規則」を満たすかが問題となりますが、綿織物の第52.08項を確認すると、第52.03項からの変更は除かれていません。
よって、本肢の綿織物は原産地規則(c)に該当し、A国の原産品と認められます。
A国の原産品とされません。
本肢の綿織物は、C国で生産された綿糸を材料としており、原産地規則(c)の非原産材料を使用して生産したもの、に該当します。
そこで「品目別原産地規則」を満たすかが問題となりますが、綿織物の第52.08項を確認すると、第52.05項からの変更を除くと規定されています。
よって、本肢の綿織物は原産地規則を満たさないため、A国の原産品と認められないことになります。
経済連携協定による原産地基準は問題によって異なる部分はありますが、基本的な枠組みは変わらないものと思われます。(現実の経済連携協定についても、税関サイトでそのように説明されているため。)
原産地規則を読んで素早く整理できるようにしておきましょう。
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