通関士 過去問
第54回(令和2年)
問98 (通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問98)

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問題

通関士試験 第54回(令和2年) 問98(通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問98) (訂正依頼・報告はこちら)

次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

1. 本邦の輸入者M(買手)は、A国の輸出者X(売手)との間において、機械部品200個に係る売買契約を締結し、当該売買契約により当該機械部品200個を輸入する。
2. MとXとの間の当該売買契約における当該機械部品200個の価格(EXW価格)は3,200,000円である。
3. Xは、当該機械部品の輸入取引に関連して、当該機械部品を製造するための金型を450,000円で購入する。Mは、当該機械部品の売買契約の代金とは別に、Xに当該金型の代金450,000円全額を支払う。
なお、当該金型は、当該機械部品200個の製造のみに使用され、当該機械部品の製造後に廃棄される。
4. Xは、Mの要請に基づき、Mに対し当該機械部品の仕様等に関する研修を実施する。Mは、Xとの間において、当該機械部品の売買契約とは別に当該研修の受講に係る契約を締結し、当該研修の受講に係る契約に基づき50,000円を支払う。
5. Mは、上記費用とは別に当該機械部品の輸入に関し、次に掲げる費用を負担する。
イ 当該機械部品のA国のXの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81,000円
ロ船積予定船の到着遅延に伴う当該機械部品の輸出港における船積み前の一時保管に要する費用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35,000円
ハ当該機械部品の輸出港における船積みに要する費用・・・・・・・43,000円
ニ当該機械部品の輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・204,000円
ホ当該機械部品の輸入港における船卸しに要する費用・・・・・・・52,000円
ヘ当該機械部品の輸入港からMの工場までの運送に要する運賃及び保険料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22,000円
6. MとXとの間には、特殊関係はない。
  • 4581000
  • 4432000
  • 4013000
  • 3650000
  • 3854000

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解】

4,013,000円

【解説】

1.現実支払価格

 本邦の輸入者M(買手)はA国の輸出者X(売手)が購入した輸入貨物である

機械部品を製造するための金型の費用(450,000円)を当該機械部品の売買価格

とは別にXに対し支払っています。(設問3)これは別払い金に該当するため

現実支払価格に含まれます。(定率法基本通達4-2の2)

したがって3,200,000円+450,000円=3,650,000円・・・①

2.加算要素

 (1)A国のX工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料(設問5イ)

  (定率法4条1項1号、定率法基本通達4-8(3)):81,000円・・・② 

 (2)船積予定船舶の到着遅延に伴う一時保管費用(設問5ロ)

  (定率法基本通達4-8(5)イ):35,000円・・・③

 (3)輸出港における船積費用(設問5ハ)

  (定率法基本通達4-8(5)ロ):43,000円・・・④

 (4)輸入港までの運送に要する運賃及び保険料(設問5ニ)

  (定率法4条1項1号):204,000円・・・⑤

3.課税価格に算入しない費用等

 設問4の研修費用はMの自己のために行う活動であるため、課税価格には

算入しません。(定率法基本通達4-2(4))

設問5(ホ)および(ヘ)の費用は輸入貨物の輸入港到着後の費用であるため

課税価格に算入しません(定率令1条の4第2号)

4.課税価格の計算

①+②+③+④+⑤=4,013,000円となります。 

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02

関税法等に規定されている、輸入貨物の課税価格についての金額を計算する実務問題です。

選択肢3. 4013000

①EXW価格 : 3,200,000円

②金型の費用 : 450,000円

輸入者M(買手)は輸出者X(売手)が購入した輸入貨物である機械部品を製造するための金型の費用 を契約代金とは別に支払いっているため、輸入貨物の輸入取引をするために支払う費用に該当しますので、課税価格に算入します。

③研修費用 : 50,000円

部品売買とは別に研修の契約が締結されており、輸入者Mの自己のために行う活動であるため、課税価格には算入しません。

④加算費用

 イ 国のX工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料:81,000円

 ロ 船積予定船舶の到着遅延に伴う一時保管費用:35,000円

 ハ 輸出港における船積費用:43,000円

 二 輸入港までの運送に要する運賃及び保険料:204,000円

⑤加算しない費用(輸入貨物が本邦に到着した後の費用は加算する必要はない)

 ホ 当該機械部品の輸入港における船卸しに要する費用:52,000円

 へ 当該機械部品の輸入港からMの工場までの運送に要する運賃及び保険料:22,000円

①+②+④=4,013,000円となります

参考になった数5

03

課税価格の計算に関する実務問題です。

現実支払価格の意味及び含まれるものor含まないもの、加算要素の意味を理解しておく必要があります。

 

正解:4,013,000円

 

EXW価格=3,200,000円現実支払価格

金型450,000円加算要素(定率法4条1項3号、定率法基本通達4-12(2))

研修費用50,000円…現実支払価格に含まれない(定率法基本通達4-2(4))

 

イ 当該機械部品のA国のXの工場から輸出港までの運送に要する運賃及び保険料 

 →加算要素 81,000円

 (定率法4条1項1号、定率法基本通達4-8(3))

 

ロ 船積予定船の到着遅延に伴う当該機械部品の輸出港における船積み前の一時保管に要する費用

 →加算要素 35,000円定率法4条1項1号、定率法基本通達4-8(5)イ)

 

ハ 当該機械部品の輸出港における船積みに要する費用

 →加算要素 43,000円定率法4条1項1号、定率法基本通達4-8(5)ロ)

 

ニ 当該機械部品の輸出港から輸入港までの運送に要する運賃及び保険料

 →加算要素 204,000円定率法4条1項1号)

 

ホ 当該機械部品の輸入港における船卸しに要する費用

 →現実支払価格に含まれない(非加算) 52,000円定率法4条1項1号、定率法基本通達4-8(2)(3))

  ※「輸入港に到着する」とは、単に輸入港の港域に到着することを意味するのではなく、輸入貨物の船卸し等ができる状態になることをいいます。

 船卸しはこの後の作業になるため非加算となります。

 

ヘ 当該機械部品の輸入港からMの工場までの運送に要する運賃及び保険料 

 →現実支払価格に含まれない(非加算) 22,000円(定率令1条の4  1項第2号)

 ※輸入港到着後に発生する費用は、課税価格に含まれません。

 

3,200,000円+450,000円+81,000円+35,000円+43,000円+204,000円=4,013,000円
 

 

選択肢1. 4581000

誤りです。

選択肢2. 4432000

誤りです。

選択肢3. 4013000

正解です。

選択肢4. 3650000

誤りです。

選択肢5. 3854000

誤りです。

まとめ

課税価格の計算根拠については下記に規定されています。

各用語の詳細については、関税基本通達に掲載されているので、合わせて確認しておきましょう。

 

【関税定率法】第四条(課税価格の決定の原則)

 輸入貨物の課税標準となる価格(以下「課税価格」という。)は、次項本文の規定の適用がある場合を除き、当該輸入貨物に係る輸入取引(買手が本邦に住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものを有しない者であるものを除く。以下同じ。)がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格(輸出国において輸出の際に軽減又は払戻しを受けるべき関税その他の公課を除くものとする。)に、その含まれていない限度において次に掲げる運賃等の額を加えた価格(以下「取引価格」という。)とする。

 

一 当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用(次条及び第四条の三第二項において「輸入港までの運賃等」という。)

 

二 当該輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料又は費用のうち次に掲げるもの

イ 仲介料その他の手数料(買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるものを除く。)

ロ 当該輸入貨物の容器(当該輸入貨物の通常の容器と同一の種類及び価値を有するものに限る。)の費用

ハ 当該輸入貨物の包装に要する費用

 

三 当該輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務のうち次に掲げるものに要する費用

 

イ 当該輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの

ロ 当該輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型又はこれらに類するもの

ハ 当該輸入貨物の生産の過程で消費された物品

ニ 技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務で政令で定めるもの

 

四 当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(当該輸入貨物を本邦において複製する権利を除く。)で政令で定めるものの使用に伴う対価で、当該輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接又は間接に支払われるもの


五 買手による当該輸入貨物の処分又は使用による収益で直接又は間接に売手に帰属するものとされているもの

 

上記内容を簡単にまとめると以下の通りとなります。

 輸入貨物の課税価格=①現実支払価格 +②加算要素

 

①現実支払価格(現実に支払われた又は支払われるべき価格)を構成するもの

 A. 仕入書価格

 B. 仕入書価格以外の現実支払価格の構成要素 (+)

 C. 控除すべき費用等 (-)

 D. 価格調整条項付契約により調整される仕入書価格(+・-)


 

②加算要素になるもの(定率法第4条第1項各号に掲げる運賃等の額)

 a. 輸入港までの運賃等 (+)

 b 輸入貨物の輸入取引に関し買手により負担される手数料等 (+)

 c 輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して買手により無償で又は値引きをして 直接又は間接に提供された物品又は役務の費用 (+)

 d. ロイヤルティ又はライセンス料等(+)

 e. 売手帰属収益 (+)


 

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