通関士 過去問
第54回(令和2年)
問99 (通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問99)
問題文
次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

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問題
通関士試験 第54回(令和2年) 問99(通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問99) (訂正依頼・報告はこちら)
次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

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この過去問の解説 (3件)
01
【正解】
6,252,000
【解説】
1.現実支払価格
値引きは確定しているため、売買契約月が2月の場合の値引き率が適用され、
基本的な現実支払価格は5,000枚×1,080円/枚=5,400,000となります。
ただし、本邦の輸入者M(買手)はA国の輸出者X(売手)の工場に作業員を派遣し、
輸入貨物である衣類の製造作業に従事させ、その費用(450,000円+200,000円
+150,000円=800,000円)を負担しています。(設問4)
この費用は製造コストに含まれるべきもので本来Xが負担すべきものであるため
現実支払価格に含まれます。(定率法基本通達4-2の3)
したがって、5,400,000円+800,000円=6,200,000円・・・①
2.加算要素
(1)MがXに無償提供した乾燥剤に要する費用(設問5)(定率法4条1項3号イ)
38,000円+6,000円=44,000円・・・②
(2)輸入港までの運送に要する保険料(設問6)(定率法4条1項1号)
8,000円・・・③
3.課税価格に算入しない費用等
設問6の販促販売活動費用はMの自己のために行う活動費用であるため
課税価格には算入しません。(定率法基本通達4-2(4))
4.課税価格の計算
①+②+③=6,252,000円となります。
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02
関税法等に規定されている、輸入貨物の課税価格に関する問題です。
①CFR価格 : 5,000枚×1,080円/枚=5,400,000円
②作業の対価 : 450,000円
渡航費用 : 200,000円
滞在費用 : 150,000円
輸入者M(買手)が本邦のZに対して支払う作業員の派遣費用については、Xの工場にて、製造作業に従事しているため、全て現実支払価格に加算する必要があります。
③乾燥剤に要する費用:44,000円(38,000円+6,000円)
輸入貨物を本邦に運送するために必要な費用に該当するため、運送に関連する費用として、全て現実支払価格に加算する必要があります。
④輸入港までの運送に要する保険料:8,000円
輸入港までの保険料は、現実支払価格に加算する必要があります。
⑤販促販売活動費用:67,000円
販促販売活動費用はMの自己のために行う活動費用であるため課税価格には算入しません。
買手が自己のために行う活動のうち定率法第4条第1項(加算要素)に規定する加算の対象となる活動以外の活動に係わる支払い(例えば、買手のための広告宣伝、販売促進、アフターサービス等に係わる費用)は、売手の利益になると認められる活動に係わるものであっても、売手に対する間接的な支払いに該当しないものとする、とされております。
①+②+③+④=6,252,000円が答えとなります。
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03
課税価格の構成は下記の通りです。(【関税定率法】第四条(課税価格の決定の原則)の内容を要約)
これに基づき、設問の各費用がどれに該当するかを検討していきましょう。
輸入貨物の課税価格=①現実支払価格 +②加算要素
①現実支払価格(現実に支払われた又は支払われるべき価格)を構成するもの
A. 仕入書価格
B. 仕入書価格以外の現実支払価格の構成要素 (+)
C. 控除すべき費用等 (-)
D. 価格調整条項付契約により調整される仕入書価格(+・-)
②加算要素になるもの(定率法第4条第1項各号に掲げる運賃等の額)
a. 輸入港までの運賃等 (+)
b 輸入貨物の輸入取引に関し買手により負担される手数料等 (+)
c 輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して買手により無償で又は値引きをして 直接又は間接に提供された物品又は役務の費用 (+)
d. ロイヤルティ又はライセンス料等(+)
e. 売手帰属収益 (+)
【正解】6,252,000円
A.仕入書価格
契約の時点で条件値引きが成立してい場合は、条件に合う価格が仕入価格となります。
【関税基本通達】4-4(現実支払価格と決済条件との関係) ※一部抜粋
(1)法第4条第1項に規定する現実支払価格は、輸入取引における実際の決済条件に対応する価格である。したがって、輸入貨物に係る輸入取引の決済条件が当該輸入貨物若しくはその船積書類の受領と同時又はそれ以前に代金を支払う条件である場合には、当該決済条件に基づき現実に支払われる価格が現実支払価格となる。
本問の場合、2月に契約が成立しているため、10%値引きが適用されます。
仕入書価格=1080円/枚 × 5,000枚 =5,400,000円①
B. 仕入書価格以外の現実支払価格の構成要素 (+)
現実支払価格には、現実支払価格に含まれるべき仕入書価格以外に支払われたものも含まれます。
特殊作業をするためにMがZに支払った、A国(売手の国)に派遣した作業員の渡航費・滞在費及び作業対価は当該貨物に関わる費用であり「別払金」に相当するため、加算します。
【関税基本通達】4-2の2(別払金等がある場合の現実支払価格の算出)
(1)輸入貨物の輸入取引に係る仕入書価格と現実支払価格が一致しないこととなる場合の取扱いは、前記4―2(3)によるほか、次に定めるところによる。輸入貨物に係る仕入書価格の支払に加えて、当該輸入貨物の輸入取引の条件として買手により売手に対し又は売手のために行われる何らかの支払(以下「別払金」という。)がある場合の現実支払価格は、当該仕入書価格に別払金を加えた価格である。
特殊作業費 450,000円(+)②
渡航費用 200,000円(+)③
滞在費用 150,000円(+)④
a.【加算要素】 輸入港までの運賃等 (+)
Xの工場から輸入港までの運送に際して必要となる乾燥剤の費用は、輸入港までの運賃等に含まれるため、加算します。
【関税基本通達】4-8(課税価格に含まれる輸入港までの運賃等) ※一部抜粋
法第4条第1項第1号((課税価格に含まれる輸入港までの運賃等))の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(3)「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送費用を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
イ 輸入貨物が運送契約に基づき運送された場合は、当該運送契約に基づき当該運送の対価として運送人又は運送取扱人等に最終的に支払われる費用をいい、次の(イ)から(ニ)に掲げる費用を含む。
(イ) 輸入貨物を運送するために要した積付資材費、船舶改装費(運送終了後に復旧する場合にあっては、当該復旧に要する費用を含む。)等の費用
乾燥剤及びその運送費用 38,000円+6,000円(+)⑤
Xの工場から輸入港までの運送に要する保険料も輸入港までの運賃等に含まれるため、加算します。
【関税基本通達】4-8(課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)※一部抜粋
法第4条第1項第1号((課税価格に含まれる輸入港までの運賃等))の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(4)「保険料」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送に係る保険料を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
保険料 8,000円(+)⑥
①~⑥の合計=6,252,000円
誤りです。
誤りです。
誤りです。
正しい課税価格です。
誤りです。
なお、Mが自己のために行う当該衣類の販売促進活動に係る費用については、現実支払価格に含まれません。
【関税定率法基本通達】4―2(売手、買手及び現実支払価格の意義及び取扱い)
法第4条第1項《課税価格の決定の原則》に規定する「売手」、「買手」及び「現実に支払われた又は支払われるべき価格」(以下「現実支払価格」という。)の意義及び取扱いについては、次による。
(4) 買手が自己のために行う活動のうち法第4条第1項各号((加算要素))に規定する加算の対象となる活動以外の活動に係る支払(例えば、買手のための広告宣伝、販売促進、アフターサービス等に係る支払)は、売手の利益になると認められる活動に係るものであっても、売手に対する間接的な支払に該当しないものとする。したがって、当該活動に係る費用は、現実支払価格に加算しない。
また、買手による売手への配当金の移転その他の支払であって輸入貨物と関係のないもの(例えば、売手から受けた融資に対する金利の支払)は、当該輸入貨物の課税価格に算入しない。
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