通関士 過去問
第55回(令和3年)
問28 (通関業法 問28)
問題文
次の記述は、通関業法第10条に規定する通関業の許可の消滅及び同法第11条に規定する通関業の許可の取消しに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選びなさい。
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問題
通関士試験 第55回(令和3年) 問28(通関業法 問28) (訂正依頼・報告はこちら)
次の記述は、通関業法第10条に規定する通関業の許可の消滅及び同法第11条に規定する通関業の許可の取消しに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選びなさい。
- 法人である通関業者の役員が通関業法第6条第10号に規定する通関業の許可に係る欠格事由に該当するに至った場合において、当該通関業者が、当該欠格事由に該当した役員を更迭し、役員の変更の届出を行ったときは、当該欠格事由に関連し、当該通関業者が通関業者に対する監督処分を受けることはない。
- 財務大臣は、通関業者が偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したときは、当該許可を取り消すことができることとされており、この「偽りその他不正の手段」とは、例えば、許可申請に当たって通関業法第5条に規定する通関業の許可の基準に係る事項についての偽った書類(定款、財務諸表、履歴書、宣誓書等)を提出し、当該許可の可否に関する税関の判断を誤らせるに至った場合がこれに該当する。
- 法人である通関業者の従業者が関税法第110条(関税を免れる等の罪)の規定に該当する違反行為をした場合において、当該通関業者が、同法第117条の両罰規定の適用により通告処分を受けたときは、財務大臣は、当該通関業者が通関業法第6条に規定する通関業者の許可に係る欠格事由に該当するに至ったものとして、同法第11条の規定に基づき通関業の許可を取り消すことができる。
- 法人である通関業者が合併により消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、合併後存続する法人又は合併により設立された法人が引き続き通関業の許可を受けているものとみなすこととされている。
- 財務大臣は、通関業者が破産手続開始の決定を受けたときは、通関業法第11条の規定に基づき通関業の許可を取り消すことができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解】
2.4
【解説】
1.誤った記述です
法人である通関業者の役員が通関業法6条10号に規定する通関業の許可に
係る欠格事由に該当するに至った場合において、当該通関業者が当該欠格事由
に該当した役員を更迭し、役員の変更の届出を行ったときは許可の存続が
認められることがありますが、この場合においても通関業者に対する監督処分
の対象となり得ます。(基本通達11―3)
2.正しい記述です
3.誤った記述です
法人である通関業者の従業者が関税法110条(関税を免れる等の罪)の規定に
該当する違反行為をした場合において、当該通関業者が、同法117条の両罰規定
の適用により通告処分を受けたときは、財務大臣は、当該通関業者が通関業法
6条に規定する通関業者の許可に係る欠格事由に該当するに至ったものとして
通関業の許可を取り消すことはできません。欠格事由に該当することとなるのは
行為者としてこれらの罰条に該当して罰金の刑等に処せられた場合をいい、
両罰規定の適用により、罰金の刑等に処せられた場合は含まれません。
4.正しい記述です
5.誤った記述です
通関業者が破産手続開始の決定を受けたときは、通関業法の許可は消滅します。
通関業の許可の取消しの対象ではありません。(業法10条1項4号)
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02
通関業法に規定されている、通関業の許可の消滅及び取消しに関する問題です。
誤った内容です。
法人である通関業者が欠格事由に該当するに至った場合であっても、当該通関業者が、通関業の許可が取り消される前に欠格事由に該当した役員等を更迭し、変更等の届出を行ったときは、の通知書の送付をすることなく、許可の存続を認めて差し支えありません。
ただし、この場合においても法第34条の通関業者に対する監督処分に規定する監督処分の対象となり得ることがあるので、留意すると規定されております。
(通関業法基本通達11-3)
正しい内容です。
「偽りその他不正の手段」とは、例えば、許可申請に当たって法第5条各号に掲げる事項についての偽った内容の書類(定款、財務諸表、履歴書、宣誓書等)を提出し、又は説明することにより許可の可否に関する税関の判断を誤らせるに至った場合がこれに該当すると規定されております。
(通関業法基本通達11-1)
誤った内容です。
欠格事由に該当することとなるのは、行為者としてこれらの各号に規定する罰条に該当して罰金の刑に処せられ、又は通告処分を受けた場合をいい、両罰規定の適用により罰金の刑に処せられ、又は通告処分に付された場合は含まれないと規定されております。
(通関業法基本通達6-2)
正しい内容です。
通関業の許可が消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、当該許可を受けていた者が引き続き当該許可を受けているものとみなすと規定されております。
(通関業法第10条第3項)
誤った内容です。
通関業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該通関業の許可は、消滅すると規定されております。
一 通関業を廃止したとき。
二 死亡した場合で、第十一条の二第二項の規定による申請が同項に規定する期間内にされなかつたとき、又は同項の承認をしない旨の処分があつたとき。
三 法人が解散したとき。
四 破産手続開始の決定を受けたとき
(通関業法第10条)
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03
本問は、通関業の許可の取消事由や消滅についての知識を問う問題です。
誤り。
「欠格事由に該当した役員を更迭し、役員の変更の届出を行ったときは、当該欠格事由に関連し、当該通関業者が通関業者に対する監督処分を受けることはない」としている部分が誤りです。
通関業者に対して監督処分がなされるのは、「通関業者の役員その他通関業務に従事する者につき、この法律、この法律に基づく命令若しくは関税法その他関税に関する法令の規定に違反する行為があつた場合又は通関業者の信用を害するような行為があつた場合」で「その通関業者の責めに帰すべき理由があるとき」です(通関業法34条1項2号)。
本肢の「法人である通関業者の役員が通関業法第6条第10号に規定する通関業の許可に係る欠格事由に該当するに至った場合」には、通関業法等への違反が含まれます(通関業法6条4号、5号)。
また、「通関業者の責めに帰すべき理由があるとき」とは、「違反につき、通関業者に選任、監督上の故意、過失がある」場合とされています(通関業法基本通達34-1(3))。
よって、事後に本肢のように「役員を更迭し、役員の変更の届出」を行っても、通関業者の責めに帰すべき理由はなくならず、監督処分の対象となります。
正しい。
財務大臣は、通関業者が「偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したとき」はその許可を取り消すことができます(通関業法11条1項1号)。
そして、「偽りその他不正の手段」とは、「法第5条《許可の基準》を適用するに際しての判断を誤らせるような重要事項に関する偽りその他不正行為」とされ、例として「許可申請に当たって法第5条各号に掲げる事項についての偽った内容の書類(定款、財務諸表、履歴書、宣誓書等)を提出し、又は説明することにより許可の可否に関する税関の判断を誤らせるに至った場合」が挙げられています(通関業法基本通達11-1)。
誤り。
「法人である通関業者の従業者が関税法第110条(関税を免れる等の罪)の規定に該当する違反行為をした場合」としている部分などが誤りです。
通関業者の許可の取消事由は、①偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したとき、②第六条第一号、第三号から第七号まで、第十号又は第十一号のいずれかに該当するに至ったときです(通関業法11条1項)。
このうち、②について、欠格事由に通関業者自身が該当しなくても通関業者の許可が取り消されうるのは、「法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの」(通関業法6条10号)のみです。
本肢のような「関税法第110条(関税を免れる等の罪)の規定に該当する違反行為をした場合」は通関業法6条4号イに該当する行為ですが、本肢で違反行為をしたのは「従業者」であり、通関業法6条10号には該当しません。
また、違反行為をしたのが役員である場合も、通関業者の許可の取消事由には本肢のような「通関業者が、同法第117条の両罰規定の適用により通告処分を受けた」ことは含まれていません。
正しい。
「法人が解散したとき」は当該通関業者の通関業の許可は、消滅しますが(通関業法10条1項3号)、「現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、当該許可を受けていた者((中略)法人が合併により消滅した場合には、合併後存続する法人又は合併により設立された法人とする。)が引き続き当該許可を受けているものとみなす」とされています(通関業法10条3項)。
誤り。
通関業者が破産手続開始の決定を受けた場合について、財務大臣が「通関業の許可を取り消すことができる」としている部分が誤りです。
「破産手続開始の決定を受けたとき」は「通関業の許可は、消滅する」とされています(通関業法10条1項4号)。
許可の消滅と取消については、以下の違いがあります。
消滅:財務大臣の行為なしで効果が発生。
・通関業の廃止や死亡(通関業務が継続できないことが明らか)
・破産手続開始の決定を受けたとき(裁判所の決定があり明らか)
取消:財務大臣の取消という行為によって消滅の効果を発生させる。
要件に該当するかの判断が必要、審査委員の意見を聴いて行われる
・偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したとき
・欠格事由に該当するに至つたとき
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