通関士 過去問
第55回(令和3年)
問100 (通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問100)

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問題

通関士試験 第55回(令和3年) 問100(通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問100) (訂正依頼・報告はこちら)

次の情報に基づき、輸入者Mが輸入するサングラス400個について、関税定率法第4条の2に規定する同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定方法により課税価格を計算しなさい。

1 本邦の輸入者Mは、A国の生産者Xから無償でサングラス400個を輸入する。
2 上記1のサングラスと同種又は類似の輸入貨物に係る取引価格について、次に掲げるものが確認されている。これらはいずれも当該サングラスの本邦への輸出の日に近接する日に貨物が本邦へ輸出されており、かつ、関税定率法第4条第1項の規定を適用して課税価格が計算された事例であり、単価については取引数量により変わらないものであり、いずれも工場渡し条件(EXW)の価格である。
  イ MがXから類似の貨物400個を輸入した時の当該貨物の取引価格・・・・・・・18,000円/個
  ロ MがA国の生産者Yから類似の貨物400個を輸入した時の当該貨物の取引価格
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14,000円/個
  ハ 輸入者NがA国の生産者Zから同種の貨物400個を輸入した時の当該貨物の取引価格
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20,000円/個
  ニ 輸入者LがXから同種の貨物400個を輸入した時の当該貨物の取引価格・・・・17,000円/個
  ホ 輸入者NがXから同種の貨物400個を輸入した時の当該貨物の取引価格・・・・15,000円/個
3 Mは、当該サングラスのA国のXの工場から本邦の倉庫までの運送費用150,000円を負担するが、当該運送費用には、当該サングラスの輸入港到着後の国内運送に要する費用も含まれている。ただし、当該輸入港到着後の国内運送に要する費用の額は明らかではない。
4 当該サングラスに係る輸入取引と当該同種又は類似の輸入貨物に係る輸入取引との間における差異は、これらの貨物の価格に影響を及ぼしていない。
  • 6,110,000円
  • 6,120,000円
  • 6,130,000円
  • 6,140,000円
  • 6,150,000円

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解】

615,0000

【解説】

1.当該輸入貨物は、無償の貨物であるため、輸入取引によらない貨物であり

原則的決定方法により課税価格を決定することはできません。

よって、同種の貨物に係る取引価格による課税価格の決定方法により、

課税価格の決定を行います。

2.同種または類似の貨物に係る取引価格の適用の優先順位

(2イ、ロ、ハ、ニ、ホ) 同種の貨物に係る取引価格が類似の貨物に係る取引価格に対して優先します。

よって、この時点で同種の貨物である 2ハ,ニ,ホのいずれかとなります。

また、輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格と他の生産者が

生産した同種の貨物に係る取引価格の双方があるときは、

当該輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物の取引価格が優先します。

よって、Xが生産した2ニ、ホのいずれかとなります。

生産者が輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格が

2以上あるときは、それらの取引価格のうち、最小のものが優先します。

したがって、生産者Xから輸入する同種の貨物の取引価格である

単価17,000円/個と単価15,000円/個のうち小さい方の15,000円/個を適用します。

15,000円×400個=6,000,000円を課税価格の計算の基礎とします。

3.Xの工場から本邦の倉庫までの運送費用(3)…算入(150,000円加算)

150,000円には、輸入港到着後の国内運送の費用も含まれていますが、

その額は明らかでないため、これらを含んだ総額である150,000円を加算します。

以上より、課税価格は以下のようになります。

6,000,000円+150,000円=6,150,000円

参考になった数17

02

今回無償の貨物であるため、原則的な決定方法で課税価格を決定することができません。

よって、同種の貨物に係る取引価格による課税価格の決定方法により、課税価格の決定を行います。

優先順位は

①同種の貨物に係る取引価格、②類似の貨物に係る取引価格となります。

また同種の貨物に取引価格は

①当該輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物の取引価格

②他の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格

が優先順位であり

さらに生産者が輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格が

2つ以上あるときは、最小のものが優先します。

よって、生産者Xから輸入する同種の貨物の取引価格である

単価17,000円/個と単価15,000円/個のうち、小さい方の15,000円/個を適用します。

15,000円×400個=6,000,000円が課税価格の計算の基礎となります。

Xの工場から本邦の倉庫までの運送費用150,000円は加算します。

*150,000円には、輸入港到着後の国内運送の費用も含まれていますが、金額が明らかでないため、これらを含んだ総額である150,000円を加算します。

以上より、課税価格は以下になります。

6,000,000円+150,000円=6,150,000円

参考になった数3

03

本問のサングラスは無償貨物であり、「(関税定率法4条)1項の規定により輸入貨物の課税価格を計算することができない場合」に当たります(関税定率法4条の2、関税定率法基本通則4-1の2(1)イ)。

そのため、課税価格を決定するには、関税定率法4条の2によります。

本問では問題文に「同種又は類似の貨物に係る取引価格」(関税定率法4条の2第1項)が複数挙げられており、優先順位をどのように考えるか、が問題となります。

 

優先順位は以下の通りです(関税定率法基本通則4の2-1(5)参照)。

①  同種の貨物に係る取引価格と類似の貨物に係る取引価格の双方があるとき

前者が優先(法4条の2第1項)。

②  輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格と他の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格の双方があるとき

前者が優先(関税定率法施行令1条の10第1項)

③  なお競合する同種取引価格があるとき

最小のものが優先(関税定率用施行令1条の10第2項)

選択肢5. 6,150,000円

1 本問で、課税価格を計算するための基礎となる価格は

 ①   同種貨物価格が優先→問題文2のハ、ニ、ホが該当

 ② 本問のサングラスの生産者Xが生産した同種貨物の価格→問題文2のニ、ホが該当

 ③ 最小の価格なのは問題文2のホ

となり、15,000円/個です。

 

2 以上より、現実支払価格は

 15,000円×400個=6,000,000円

 

3 次に、加算要素を検討します。

 問題文3の運送費用 150,000円

 →加算要素に該当

「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃(中略)保険料」(関税定率法4条1項1号)に該当

「輸入港到着後の運賃等の額が明らかでなく、当該明らかでない額を含んだものとしてでなければ把握できない場合は、当該明らかでない額を含んだ額を輸入港までの運賃等として取り扱う」と規定されています(関税定率法基本通則4-8(7))。

 

4 課税価格は現実支払価格+加算要素に該当する費用の合計額なので、

 6,000,000+150,000=6,150,000円となります

参考になった数0