通関士の過去問
第57回(令和5年)
通関業法 問28
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問題
通関士試験 第57回(令和5年) 通関業法 問28 (訂正依頼・報告はこちら)
次の記述は、通関業法第15条に規定する更正に関する意見の聴取及び同法第16条に規定する検査の通知に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選びなさい。
- 税関長は、通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について更正をすべき場合であっても、当該更正が当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属の相違に基因して納付すべき関税の額を増加するものであるときは、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えることを要しない。
- 税関長は、通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について更正をすべき場合において、当該更正が計算の誤りに基因して納付すべき関税の額を増加するものであるときは、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
- 税関長は、通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について更正をすべき場合において、当該更正が当該申告に係る貨物の課税価格の相違に基因して納付すべき関税の額を減少するものであるときは、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
- 通関業法第15条の規定に基づく更正に関する意見の聴取は、通関士が設置されている場合にあっては、原則として通関士から行い、その他の場合にあっては、営業所の責任者又はこれに準ずる者から行うこととされている。
- 税関長は、通関業者の行う通関手続に関し、税関職員に関税法第43条の4第1項の保税蔵置場に外国貨物を置くことの承認の際の検査をさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
通関業法に規定する更正に関する意見の聴取、検査の通知に関する問題です。
更正の主語は、税関長になりますので、「輸入者の利益が守られてるか」という考えで判断しましょう。
✖
納付すべき関税の額を増加する場合、輸入者にとって、もっと関税を納付することになりますので、不利なことです。
だから、「通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない」と規定されております。
😃輸入者が、多額の関税を払いたくないですね。
✖
当該更正が計算の誤りに基因して納付すべき関税の額を増加するものであるときは、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えることを要しないと規定されております。
😃計算が誤ってるので、輸入者が納付すべき関税額に異議はありませんね。
✖
納付すべき関税の額を減少するものであるときは、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えことは要しないと規定されております。
😃納付すべき関税額が少なくなりますので、輸入者にとって、いいことですね。利益が侵害されてないです。
◯
正しい記述です。
更正に関する意見の聴取は、通関士か営業所の責任者から行います。
◯
正しい記述です。
「その旨を当該通関業者に通知しなければならない」という内容が、重要です。
😃通知の対象は、通関業者です。通関士ではありません。
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02
通関業法に規定されている、更正に関する意見の聴取及び検査の通知に関する問題です。
誤った内容です。
通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属又は課税価格の相違その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該関税の額の増加が計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因するものである場合は、この限りでないと規定されております。
(通関業法第15条)
誤った内容です。
通関業者が他人の依頼に応じて税関官署に対してした納税の申告について、更正をすべき場合において、当該更正が、当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属又は課税価格の相違その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違に基因して、納付すべき関税の額を増加するものであるときは、税関長は、当該通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該関税の額の増加が計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因するものである場合は、この限りでないと規定されております。
(通関業法第15条)
誤った内容です。
当該更正が当該申告に係る貨物の課税価格の相違に基因して納付すべき関税の額を減少するものであるときは、当該相違に関し意見を述べる機会を与える必要はありません。
(通関業法第15条)
正しい内容です。
増額更正に関する意見の聴取は、通関士が設置されている場合にあっては、原則として通関士から行い、その他の場合にあっては、営業所の責任者又はこれに準ずる者から行う。
なお、意見の陳述は、文書又は口頭のいずれによっても差し支えないものとし、意見を聴取したときは、日付、聴取した相手方の氏名、その他特記すべき事項を輸入(納税)申告書等原本の裏面に記載して認印しておく。
(通関業法基本通達15-1)
正しい内容です。
税関長は、通関業者の行なう通関手続に関し、関税に関する法律の規定に基づく検査で政令で定めるものをさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない。
(通関業法第16条)
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03
本問は、更正に際して意見聴取の機会を保障しなくてはならない場合と、検査の立ち会いの手続きについて問う問題です。
誤り
「当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属の相違」により「納付すべき関税の額を増加する」更正について「意見を述べる機会を与えることを要しない」としているところが誤りです。
通関業法15条本文で、「当該申告に係る貨物の関税率表の適用上の所属」「その他関税に関する法令の適用上の解釈の相違」によって「納付すべき関税の額を増加する」場合、通関業者に「意見を述べる機会を与えなければならない」と規定されています。
納付すべき関税の額を増加するという、通関業者の依頼者に不利益が生ずる場合、更正が恣意的に、不意打ちでなされることを防ぐため、原則として意見聴取の機会が与えられます。例外的に、意見聴取の機会を保障しなくてもよいとされている(通関業法15条但書)のは、更正が恣意的になされる余地が少ない、計算や転記の誤りなど「客観的に明らかな誤り」による更正の場合のみです。
誤り
「計算の誤り」による更正について「意見を述べる機会を与えなければならない」としているところが誤りです。
通関業法15条で、納付すべき関税の額を増加する更正に際して意見聴取の機会を保障すべきことが規定されていますが、同条但書では、「当該関税の額の増加が計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因するものである場合は、この限りでない」と規定されています。
納付すべき関税の額を増加するという、通関業者の依頼者に不利益が生ずる場合、更正が恣意的に、不意打ちでなされることを防ぐため、原則として意見聴取の機会が与えられます。しかし、更正が恣意的になされる余地が少ない「客観的に明らかな誤り」による更正の場合には意見聴取の機会を与えなくてもよいとされているのです。
誤り
「納付すべき関税の額を減少する」場合に、「意見を述べる機会を与えなければならない」としているところが誤りです。
通関業法15条で更正に際して意見聴取の機会を保障すべきことが規定されていますが、これは「納付すべき関税の額を増加するものであるとき」(通関業法15条本文)についてです。納付すべき関税の額の増加という、通関業者の依頼者に不利益が生ずる場合に、更正が恣意的に、不意打ちでなされることを防ぎ、通関業者の依頼者を保護するのが本条の趣旨ですが、不利益が生じない場合には、保護の必要がないと考えられます。
正しい
通関業法基本通達15-1によると、通関業法15条に規定する「意見の聴取は、通関士が設置されている場合にあっては、原則として通関士から行い、その他の場合にあっては、営業所の責任者又はこれに準ずる者から行う」とされています。
意見聴取の機会が保障されているのは、通関手続きの主体である通関業者ですが※、実際の聴取は人に対して行われるので、通関士、通関士が置かれていない場合は営業所の責任者又はこれに準ずる者が対象になるということです。
※「通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない」(通関業法15条)
正しい
通関業法16条で「通関業者の行なう通関手続に関し、税関職員に(中略)関税に関する法律の規定に基づく検査で政令で定めるものをさせるときは、当該通関業者又はその従業者の立会いを求めるため、その旨を当該通関業者に通知しなければならない」と規定されています。
そして、「政令で定めるもの」とあるところ、通関業法施行令7条2号によると、関税法43条の4第1項の「保税蔵置場に外国貨物を置くことの承認の際の検査」は通知の必要な検査とされています。
●意見聴取の手続きが必要な理由を押さえておきましょう。
通関業者の依頼者に、納付すべき関税の額の増加という不利益が生ずる場合に、更正が恣意的に、不意打ちでなされることを防ぎ、通関業者の依頼者を保護するため、ということです。
●手続きの主体と、実際に聴取されたり検査に立ち会ったりする主体の区別をしましょう。
・意見聴取などの手続きが保障されているのは、通関手続きの主体である通関業者
(通知がなされるのも通関業者)
・実際の聴取がされたり立ち会ったりするのは人
(意見聴取の対象は通関士、通関士が置かれていない場合は営業所の責任者又はこれに準ずる者)
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