通関士の過去問
第57回(令和5年)
通関業法 問30

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

通関士試験 第57回(令和5年) 通関業法 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、通関業法に規定する罰則に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選びなさい。
  • 通関業法第3条第2項の規定により通関業の許可に付された条件に違反して、当該条件により限定された種類以外の貨物につき、通関業を営んだ者は、同法の規定に基づき懲役又は罰金に処せられることがある。
  • 通関業法第33条の規定に違反して自らの通関士の名義を他人に通関業務のため使用させた者は、同法の規定に基づき罰金に処せられることがある。
  • 通関業法第40条第2項の規定に違反して通関士という名称を使用した通関士でない者は、同法の規定に基づき罰せられることはない。
  • 通関業者である法人の従業者が、その法人の業務に関し、通関業法第38条第1項の規定に基づく税関職員による質問に偽りの答弁をしたときは、同法の規定に基づき、当該従業者が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。
  • 通関業者である法人の役員が、その法人の業務に関し、正当な理由がなくて、その通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたときは、当該役員が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

本問は、通関業法に規定されている罰則が適用される場合と罰則の内容について問う問題です。

選択肢1. 通関業法第3条第2項の規定により通関業の許可に付された条件に違反して、当該条件により限定された種類以外の貨物につき、通関業を営んだ者は、同法の規定に基づき懲役又は罰金に処せられることがある。

正しい

通関業法3条2項により通関業の許可に付された条件に違反し、条件により限定された種類以外の貨物につき、通関業を営んだ者は、「1年以下の懲役又は百万円以下の罰金」という刑に処せられます(通関業法41条1項2号)。

選択肢2. 通関業法第33条の規定に違反して自らの通関士の名義を他人に通関業務のため使用させた者は、同法の規定に基づき罰金に処せられることがある。

正しい

通関業法33条に違反し、名義貸しをした通関士は、「30万円以下の罰金」という刑に処せられます(通関業法44条2号)。

選択肢3. 通関業法第40条第2項の規定に違反して通関士という名称を使用した通関士でない者は、同法の規定に基づき罰せられることはない。

誤り

通関業法40条2項に違反して、通関士でないのに通関士という名称を使用した者は、「30万円以下の罰金」という刑に処せられます(通関業法44条3号)。

選択肢4. 通関業者である法人の従業者が、その法人の業務に関し、通関業法第38条第1項の規定に基づく税関職員による質問に偽りの答弁をしたときは、同法の規定に基づき、当該従業者が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

正しい

法人の従業者が、その法人の業務に関し、通関業法38条1項による税関職員からの質問に偽りの答弁をしたときは、その従業者と通関業者双方が刑に処せられます。

 

通関業法38条1項に基づいて、税関職員から通関業者に対して質問がなされた際に、「職員の質問に答弁せず、若しくは偽りの答弁をし」た者は、「50万円以下の罰金」という刑に処せられます(通関業法43条2号)。

また、本条の違反が、法人である通関業者の業務に関して、法人の従業者等によって行われた場合、「行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する」(通関業法45条)と規定されており、通関業者も「50万円以下の罰金」という刑に処せられます(通関業法45条、43条2号)。

選択肢5. 通関業者である法人の役員が、その法人の業務に関し、正当な理由がなくて、その通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたときは、当該役員が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

誤り

本肢の場合、法人の役員は罰せられますが、法人は刑罰の対象とはなりません。

 

通関業者である法人の役員が、その法人の業務に関し、正当な理由がなくて、その通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたとき、その役員は「1年以下の懲役又は百万円以下の罰金」という刑に処せられます(通関業法41条3号、19条)。

一方、法人の役員や従業者等の行為について罰則が適用されると法人も刑罰が科される場合については通関業法45条に規定されていますが、通関業法19条への違反の場合は該当しません。

まとめ

罰則をまとめます。

 

・1年以下の懲役又は百万円以下の罰金

★偽りその他不正の手段により通関業の許可または営業所の新設の許可を受けた者

★通関業の許可を受けずに通関業を営んだ者

通関業の許可において付された条件に違反した者

●秘密を守る義務に違反して、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用した者

★通関業務の全部又は一部の停止の処分に違反して通関業務を行つた者

・6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

★偽りその他不正の手段により通関士の確認を受けた者

●懲戒処分によって通関業務に従事することを停止または禁止されたのに通関業務に従事した通関士

 

・50万円以下の罰金

★業務改善命令に違反した者

★通関業法38条1項による報告をしない、もしくは偽りの報告をした者

通関業法38条1項による税関職員からの質問に答弁しない、もしくは偽りの答弁をした者

通関業法38条1項による検査を拒み、妨げ、もしくは忌避した者

 

・30万円以下の罰金

★通関業者の名義貸しを行った者

●名義貸しを行った通関士

★通関業者または通関士ではないのに通関業者または通関士という名称を使用した者

 

・両罰規定

 行為者だけでなく、法人にも罰金刑(行為者への処罰の規定中の罰金刑)※懲役等の自由刑は法人には不可能なため

上のうち★のもの。

参考になった数32

02

通関業法に規定する罰則に関する問題です。

通関業法の適正な運用を確保するのための規定です。

細かい内容ですので、ポイントやキーワードで覚えましょう。

選択肢1. 通関業法第3条第2項の規定により通関業の許可に付された条件に違反して、当該条件により限定された種類以外の貨物につき、通関業を営んだ者は、同法の規定に基づき懲役又は罰金に処せられることがある。

正しい記述です。

キーワード:条件→懲役or罰金

選択肢2. 通関業法第33条の規定に違反して自らの通関士の名義を他人に通関業務のため使用させた者は、同法の規定に基づき罰金に処せられることがある。

通関士の名義貸出禁止義務に関連する内容です。

😃名義→罰金

選択肢3. 通関業法第40条第2項の規定に違反して通関士という名称を使用した通関士でない者は、同法の規定に基づき罰せられることはない。

通関士という名称を使用した通関士でない者は、30万以下の罰金に処すると規定されております。

😃名義→罰金

選択肢4. 通関業者である法人の従業者が、その法人の業務に関し、通関業法第38条第1項の規定に基づく税関職員による質問に偽りの答弁をしたときは、同法の規定に基づき、当該従業者が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

正しい記述です。

両罰規定の対象です。

😃誤りの答弁→両方(従業者、通関業者)に罰金

 

選択肢5. 通関業者である法人の役員が、その法人の業務に関し、正当な理由がなくて、その通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたときは、当該役員が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

守秘義務に違反した行為は、両罰規定の対象外ですので、「その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。」という記述が誤っています。法人に、罰金刑が科せられることはないです。

 

 

参考になった数9

03

通関業法に規定されている、罰則に関する問題です。

選択肢1. 通関業法第3条第2項の規定により通関業の許可に付された条件に違反して、当該条件により限定された種類以外の貨物につき、通関業を営んだ者は、同法の規定に基づき懲役又は罰金に処せられることがある。

正しい内容です。

通関業の許可に付された条件に違反して、当該条件により限定された種類以外の貨物につき、通関業を営んだ者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すると規定されております。

(通関業法第41条第1項第2号)

選択肢2. 通関業法第33条の規定に違反して自らの通関士の名義を他人に通関業務のため使用させた者は、同法の規定に基づき罰金に処せられることがある。

正しい内容です。

通関業者の名義貸しの禁止の規定に違反してその名義を他人に使用させた者、通関士の名義貸しの禁止の規定に違反してその名義を他人に使用させた者、通関業者でない者が、通関業者という名称を使用する規定に違反して通関業者又は通関士という名称を使用した者、は三十万円以下の罰金に処すると規定されております。

(通関業法第44条第1項)

選択肢3. 通関業法第40条第2項の規定に違反して通関士という名称を使用した通関士でない者は、同法の規定に基づき罰せられることはない。

誤った内容です。

通関業者という名称を使用する規定に違反して通関業者又は通関士という名称を使用した者、は三十万円以下の罰金に処すると規定されております。

(通関業法第44条第1項)

選択肢4. 通関業者である法人の従業者が、その法人の業務に関し、通関業法第38条第1項の規定に基づく税関職員による質問に偽りの答弁をしたときは、同法の規定に基づき、当該従業者が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

正しい内容です。

第三十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは偽りの報告をし、若しくは同項の規定による職員の質問に答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、五十万円以下の罰金に処すると規定されております。

(通関業法第43条第1項第2号)

選択肢5. 通関業者である法人の役員が、その法人の業務に関し、正当な理由がなくて、その通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたときは、当該役員が罰せられることがあるほか、その法人に対しても罰金刑が科せられることがある。

誤った内容です。

通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らしたときにおいては当該役員が罰せられることはあるが、その法人に対しては罰金刑が科せられることはない。

(通関業法第41条第1項第3号、同法第45条)

参考になった数4