通関士 過去問
第58回(令和6年)
問98 (通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問8)
問題文
1 本邦の輸入者M(買手)は、A国の輸出者X(売手)との間において、加工食品20,000個に係る売買契約を締結し、当該売買契約により当該加工食品の全量を輸入する。
2 MとXとの間の当該売買契約における当該加工食品20,000個の価格(FOB価格)は、4,000,000円である。
3 Mは、本邦の原材料下処理工場Yから当該加工食品の原材料を2,000,000円で取得し、Xに無償で提供する。また、Mは、当該原材料をXに提供するために要する運賃100,000円及び保険料30,000円を負担する。Xは、A国の調味料メーカーZから400,000円で調味料を取得する。なお、XはMから提供を受けた原材料及び自ら取得した調味料をすべて使用して、当該契約に係る加工食品20,000個を生産するものとする。
4 Mは、上記費用等とは別に当該加工食品の輸入に関し、次に掲げる費用を負担する。
イ 輸出国における船積み前の一時的な保管に要する費用……… 10,000円
ロ 輸出港から輸入港に到着するまでの運送に要する運賃……… 50,000円
ハ 当該加工食品をA国から本邦に輸出するための包装に要する費用……… 44,000円
ニ 輸入港到着日の翌日以降のコンテナー賃借料……… 33,000円
ホ 輸入港から本邦所在のMの倉庫までの運送に要する運賃……… 22,000円
5 M、X、Y及びZの間には、それぞれ特殊関係はない。
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問題
通関士試験 第58回(令和6年) 問98(通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
1 本邦の輸入者M(買手)は、A国の輸出者X(売手)との間において、加工食品20,000個に係る売買契約を締結し、当該売買契約により当該加工食品の全量を輸入する。
2 MとXとの間の当該売買契約における当該加工食品20,000個の価格(FOB価格)は、4,000,000円である。
3 Mは、本邦の原材料下処理工場Yから当該加工食品の原材料を2,000,000円で取得し、Xに無償で提供する。また、Mは、当該原材料をXに提供するために要する運賃100,000円及び保険料30,000円を負担する。Xは、A国の調味料メーカーZから400,000円で調味料を取得する。なお、XはMから提供を受けた原材料及び自ら取得した調味料をすべて使用して、当該契約に係る加工食品20,000個を生産するものとする。
4 Mは、上記費用等とは別に当該加工食品の輸入に関し、次に掲げる費用を負担する。
イ 輸出国における船積み前の一時的な保管に要する費用……… 10,000円
ロ 輸出港から輸入港に到着するまでの運送に要する運賃……… 50,000円
ハ 当該加工食品をA国から本邦に輸出するための包装に要する費用……… 44,000円
ニ 輸入港到着日の翌日以降のコンテナー賃借料……… 33,000円
ホ 輸入港から本邦所在のMの倉庫までの運送に要する運賃……… 22,000円
5 M、X、Y及びZの間には、それぞれ特殊関係はない。
- 5325000
- 6128000
- 6234000
- 6271000
- 6432000
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この過去問の解説 (3件)
01
課税価格の問題は加算、非加算のルールの基礎を定着させ、問題数を解く事で素早く正確に解けるようになります。たくさん問題を解いただけパターンを学習でき、スピードもついてくるのでお勧めです。
誤りです。
誤りです。
加算要素は下記になります。
・MとXとの売買契約におけるFOB価格→¥4,000,000
・MがXに無償提供した加工食品の原材料→¥2,000,000
・原材料を提供するための運賃→¥100,000
・原材料を提供するための保険料→¥30,000
・輸出国における船積み前の一時的な保管に要する費用→¥10,000
・輸出港から輸入港に到着するまでの運送に要する運賃→¥50,000
・当該加工食品をA国から本邦に輸出するための包装に要する費用→¥44,000
合計は¥6,234,000 です。
XがA国の調味料メーカーZから取得した¥400,000は輸出し者が負担する金額の為加算しません。また、輸入港到着日翌日以降のコンテナ賃借料、輸入港から本邦所在の倉庫に関する運賃は国内費用になるので加算しません。
誤りです。
誤りです。
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02
本問は、課税価格の計算方法、特に委託加工貿易の場合と「輸入港までの運賃等」に含まれるか、について知識を問う問題です。
正しいです。
課税価格は、原則として、「現実に支払われた又は支払われるべき価格」に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格(取引価格)とすることが規定されています(関税定率法4条1項柱書)。
そして、本問のように、本邦にある委託者から委託を受けた受託者が、委託者から提供された材料を外国において加工等して、委託者ができた製品を取得することを内容とする取引(委託加工契約)に基づき当該製品が本邦に到着することとなる場合について、
当該加工等の対価として現実に支払われた又は支払われるべき額を輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格とみなすことが規定されています(関税定率法4条3項)。
1. 本問のM、X、YおよびZの間には特殊関係がない(問題文5より)ので、関税定率法4条3項、1項により課税価格を決定します。
2. 現実支払価格は4,000,000円です。
(関税定率法4条3項、MによりXに対し支払われる金額、問題文2より)
3. 次に、本問に挙げられた各費用が加算要素に該当するか検討します。
問題文3
・Yからの原材料取得費用2,000,000円 → 加算要素に該当
「輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの」(関税定率法4条1項3号イ)に該当
・Mが原材料をXに提供するために要する運賃100,000円、保険料30,000円合計130,000円 → 加算要素に該当
「買手が当該物品を取得するために通常要する費用」(関税定率法4条1項3号イ、関税定率法施行令1条の5第2項2号)に該当
問題文4
イ 輸出国における船積み前の一時的な保管に要する費用10,000円 → 加算要素に該当
「輸出国における積込み前の一時的保管料」として「その他当該運送に関連する費用」(関税定率法4条1項柱書)に含まれるとされています(関税定率法基本通達4-8(5)イ)。
ロ 輸出港から輸入港に到着するまでの運送に要する運賃50,000円 → 加算要素に該当
「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃(中略)保険料」(関税定率法4条1項1号)に該当
ハ 当該加工食品をA国から本邦に輸出するための包装に要する費用44,000円 → 加算要素に該当
「輸入貨物の包装に要する費用については、当該費用が輸入取引に関し買手により負担される場合」には「当該輸入貨物の包装に要する費用」(関税定率法4条1項2号ハ)に該当(関税定率法基本通達4-11)
ニ 輸入港到着日の翌日以降のコンテナー賃借料33,000円 → 加算要素に該当しない
「輸入港到着日の翌日以降の期間に対応する額を含まない」とされています(関税定率法基本通達4-8(3)イ(ハ))。
ホ 輸入港から本邦所在のMの倉庫までの運送に要する運賃22,000円 → 加算要素に該当しない
「輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まない」とされています(関税定率法基本通達4-8(7)柱書)。
以上より、加算要素に該当する費用の合計額は、
2,000,000+130,000+10,000+50,000+44,000=2,234,000円
3. 課税価格は現実支払価格+加算要素に該当する費用の合計額なので、
4,000,000+2,234,000=6,234,000円となります。
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03
輸入貨物の課税価格について算出する問題です。
正しい内容です。
加算要素は以下となります。
①¥4,000,000 … 商品価格(FOB価格)
②¥2,000,000 … 無償提供した原材料
③¥100,000 … 原材料の運賃
④¥30,000 … 材料の保険料
⑤¥10,000 … イ.輸出国における船積み前の一時的な保管に要する費用
⑥¥50,000 … ロ.輸出港から輸入港に到着するまでの運送に要する運賃
⑦¥44,000 … ハ.当該加工食品をA国から本邦に輸出するための包装に要する費用
合計¥6,234,000
※輸出者XがA国の調味料メーカーZから仕入れた400,000円の調味料については、売り手が負担している費用ではないため加算しません。
このような、輸出者Xによる調達分については、既にFOB価格に含まれていると考えると理解がしやすいです。
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