1級土木施工管理技士 過去問
平成28年度 択一式
問44 (選択問題 問44)

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問題

1級土木施工管理技士試験 平成28年度 択一式 問44(選択問題 問44) (訂正依頼・報告はこちら)

泥水式シールド工法の施工管理に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 泥水の管理圧力については、下限値として地表面の沈下を極力抑止する目的で「静止土圧」+「水圧」+「変動圧」を用いる考え方を基本とする場合が多い。
  • 切羽の安定を保持するには、地山の条件に応じて泥水品質を調整して切羽面に十分な泥膜を形成するとともに、切羽泥水圧と掘削土量の管理を行わなければならない。
  • 泥水式シールド工法は、掘削、切羽の安定、泥水処理が一体化したシステムとして運用されるので、構成する設備の特徴、能力を十分把握して計画しなければならない。
  • 泥水の処理については、土砂を分離した余剰泥水は水や粘土、ベントナイト、増粘剤などを加えて比重、濃度、粘性などを調整して切羽へ再循環される。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤りです。トンネル標準示方書では管理圧力の下限値は「切羽の安定を保つ目的」で、主働土圧+水圧+変動圧から決められ、上限値は静止土圧+水圧+変動圧から決められます。
2.設問の通りです。切羽の安定は①泥水圧により土圧および水圧に対抗する。②泥水が切羽面に不透水性の泥膜を作り、泥水圧を有効に作用させる。③泥水が切羽面からある程度の範囲の地盤に浸透して切羽に粘着性を与える。という3つの作用によるものです。
3.設問の通りです。泥水式シールド工法は、地上のプラントで調整された泥水を送泥管からシールド機前面のチャンバーに送り、圧力をかけて地山の土水圧に対抗させて切羽の安定を図ります。
4.設問の通りです。掘削された土砂は、泥水と一緒に排泥管を流体輸送されて地上に搬出されます。

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02

まずは泥水式シールド工法についておさえておきましょう。

「泥水式シールド工法」は所定の圧力をかけた泥水をシールド機械のチャンバー内に送ることにより切羽の安定を図り、同時に掘削された土砂はチャンバー内の泥水に取り込まれ、攪拌された後、泥水と共に流体輸送して地上搬出する掘削工法です。

1.適当ではありません。

 泥水の管理圧力は上限値が「静止土圧」+「水圧」+「変動圧」です。

 下限値は切羽の安定を保つ目的で、「主動土圧」+「変動圧」です。

2.適当です。

 本文の通りです。

3.適当です。

 本文の通りです。

4.適当です。

 本文の通りです。  

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03

適当でないのは、泥水の管理圧力の下限を「静止土圧+水圧+変動圧」とする記述です。一般に、基準圧=静止土圧+水圧を中心に管理帯を設け、下限は基準圧−変動分、上限は基準圧+変動分とします。下限に「+変動圧」を足してしまうと、本来の上限側の考えになってしまいます。

選択肢1. 泥水の管理圧力については、下限値として地表面の沈下を極力抑止する目的で「静止土圧」+「水圧」+「変動圧」を用いる考え方を基本とする場合が多い。

地表面沈下を抑えるには、切羽で地山の側圧(静止土圧)と地下水圧につり合う圧力を基本にし、施工による圧力の揺れ(変動圧)を見込んだ上下の管理幅をとります。したがって下限=(静止土圧+水圧)−変動圧上限=(静止土圧+水圧)+変動圧という考え方が一般的です。設問のように下限へ“+変動圧”とするのは整合しません。

選択肢2. 切羽の安定を保持するには、地山の条件に応じて泥水品質を調整して切羽面に十分な泥膜を形成するとともに、切羽泥水圧と掘削土量の管理を行わなければならない。

地山条件に応じた泥水性状(比重・粘性・ゲル強度など)の調整泥膜(フィルターケーキ)を形成し、泥水圧と掘削土量を合わせて管理します。これにより湧土・流動・沈下のリスクを抑えます。適切です。

選択肢3. 泥水式シールド工法は、掘削、切羽の安定、泥水処理が一体化したシステムとして運用されるので、構成する設備の特徴、能力を十分把握して計画しなければならない。

泥水式は掘削・切羽安定・泥水処理循環一体で動きます。よって、設備の性能・能力(処理量、固液分離能力、ポンプ圧・流量など)を把握して計画する必要があります。適切です。

選択肢4. 泥水の処理については、土砂を分離した余剰泥水は水や粘土、ベントナイト、増粘剤などを加えて比重、濃度、粘性などを調整して切羽へ再循環される。

処理設備で土砂を分離し、余剰泥水に水・粘土・ベントナイト・増粘剤等を添加して比重・濃度・粘性を調整し、切羽へ再循環します。性状管理が要で、記述は妥当です。

まとめ

泥水式シールドの要点は、(静止土圧+水圧)を基準に変動分で上下管理する圧力設定、泥膜形成と土量・圧の両輪管理装置能力に見合った計画処理・再循環での性状維持です。特に下限圧の扱いを取り違えないことが、沈下抑制と切羽安定の基本になります。

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