建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第51回(令和3年度(2021年))
問76 (空気環境の調整 問76)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第51回(令和3年度(2021年)) 問76(空気環境の調整 問76) (訂正依頼・報告はこちら)

空気調和設備のポンプ・配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • ポンプの損失水頭は、管内流速の2乗に比例する。
  • 片吸込み渦巻きポンプは、ターボ型ポンプに分類される。
  • 歯車ポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。
  • ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。
  • キャビテーションとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

正解は、「キャビテーションとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。」です。

 

この問題は、空気調和設備のポンプ・配管に関するものです。

空気調和設備におけるポンプと配管は、

冷温水や冷媒の循環に不可欠な要素であり、

流体力学や機械特性に基づいた設計が求められます。

ポンプの種類や作動原理、配管内の流速・損失水頭・水撃作用などの理解は、

安定した運転と設備保護に直結します。

選択肢1. ポンプの損失水頭は、管内流速の2乗に比例する。

正しいです。損失水頭とは、配管内で流体が摩擦などにより失うエネルギーのことであり、

流速の2乗に比例します。これは「ダーシー・ワイスバッハの式」などの、

流体力学的原理に基づいており、流速が2倍になると損失水頭は4倍になります。

よって、流速の管理は、エネルギー効率やポンプ選定において重要な要素です。

選択肢2. 片吸込み渦巻きポンプは、ターボ型ポンプに分類される。

正しいです。渦巻きポンプは、羽根車の回転によって流体に遠心力を与え、

圧力を高めて移送するターボ型ポンプの一種です。

片吸込みとは、羽根車の一側面から流体を吸い込む構造を指し、

構造が簡易で小型設備に適しています。

ターボ型ポンプは連続的な流れを得られるため、

空調設備の冷温水循環などに広く用いられます。

選択肢3. 歯車ポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。

正しいです。歯車ポンプは、2つの歯車の回転によって液体を閉じ込めて、

移送する容積型ポンプであり、高粘度液体の輸送に適しています。

油類やグリース、化学薬品などの粘性の高い流体を安定して送ることができ、

圧力変動が少なく定量性に優れます。空調設備ではあまり使われませんが、

産業用途では広く利用されています。

選択肢4. ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。

正しいです。水撃作用(ウォーターハンマー)は、

ポンプの急停止や弁の急閉によって流体の運動エネルギーが、

瞬間的に圧力波となり、配管に衝撃を与える現象です。

これを防ぐために、流体の逆流をゆっくりと遮断する、

「緩閉式逆止め弁」が用いられます。

急激な圧力変動を抑えることで、配管や機器の損傷を防止できます。

選択肢5. キャビテーションとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。

不適当です。キャビテーションとは、ポンプ内部で液体の圧力が蒸気圧以下になることで、

液体が蒸発し、気泡が発生・崩壊する現象です。

これにより衝撃的な圧力変動が生じ、羽根車などを損傷する原因になります。

「流量と圧力の周期的な変動」は、

キャビテーションが起きた結果であり、定義ではありません。

参考になった数5