建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第51回(令和3年度(2021年))
問94 (建築物の構造概論 問94)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第51回(令和3年度(2021年)) 問94(建築物の構造概論 問94) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 降伏比の大きい鋼材は、靭性に優れる。
  • 建築構造用鋼材は、降伏点又は耐力の上限と下限が規定されている。
  • 鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1,000°Cではほとんど零となる。
  • 軟鋼の炭素量は0.12〜0.30%である。
  • 高力ボルト接合の締め付け時の余長は、ねじ山3以上とする。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は、「降伏比の大きい鋼材は、靭性に優れる。」です。

 

この問題は、鉄骨構造とその材料に関するものです。

鉄骨構造は、鋼材の強度・靭性・接合方法などにより性能が左右されます。

鋼材には降伏点や耐力の規定があり、

温度上昇による強度低下や炭素量による性質の違いも重要です。

特に「降伏比」は、降伏点と引張強さの比率であり、

これが高い鋼材は靭性に劣ります。

高力ボルト接合の施工管理も含め、構造安全性を確保するため重要です。

選択肢1. 降伏比の大きい鋼材は、靭性に優れる。

不適当です。降伏比とは、降伏点と引張強さの比率であり、

降伏比が高い鋼材は、塑性変形の余裕が少なく、靭性に劣ります。

靭性とは、破壊に至るまでのエネルギー吸収能力であり、

地震時などの極限状態で重要な性能指標です。

降伏比が低い鋼材の方が、変形能力に優れ、

破壊に至る前に警告的な挙動を示すため、靭性に優れています。

選択肢2. 建築構造用鋼材は、降伏点又は耐力の上限と下限が規定されている。

正しいです。建築構造用鋼材には、JIS規格などにより、

降伏点(または耐力)の上限値と下限値が規定されており、

品質のばらつきを抑えることで構造安全性を確保しています。

特に溶接構造では、鋼材の強度が過剰に高いと脆性破壊のリスクがあるため、

上限値の設定が重要になります。

選択肢3. 鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1,000°Cではほとんど零となる。

正しいです。鋼材は高温にさらされると、強度が急激に低下します。

一般的に500〜600°Cを超えると構造的な支持力が著しく低下し、

1,000°Cではほぼ強度を失います。

火災時の構造安全性を確保するためには、

耐火被覆や断熱材による保護が不可欠です。

建築物の防火設計では、鋼材の高温特性を踏まえた対策が必要です。

選択肢4. 軟鋼の炭素量は0.12〜0.30%である。

正しいです。軟鋼(低炭素鋼)は、炭素量が0.12〜0.30%程度であり、

加工性や溶接性に優れます。炭素量が増えると硬度は上がるが、

靭性や延性が低下するため、建築構造用鋼材ではこの範囲の炭素量が適しています。

軟鋼は、柱・梁・ブレースなどの主要構造部材に広く使用されており、

構造設計において基本的な材料です。

選択肢5. 高力ボルト接合の締め付け時の余長は、ねじ山3以上とする。

正しいです。高力ボルト接合では、締め付け後にナットから突出する、

ねじ部(余長)をねじ山3つ以上確保することが、

施工管理上の基準とされています。

これは、締め付けの確認や緩み防止、施工精度の確保に必要な寸法です。

建築鉄骨工事標準仕様書などでも明記されており、

現場施工における品質管理の重要なポイントです。

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