二級ボイラー技士の過去問
令和2年10月公表
燃料及び燃焼に関する知識 問23

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問題

二級ボイラー技士試験 令和2年10月公表 燃料及び燃焼に関する知識 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。
  • 硫黄分の少ない重油を選択する。
  • 燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。
  • 蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。
  • 燃焼ガス中の酸素濃度を上げる。
  • 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「4」です。

設問は、重油燃焼によるボイラ及び附属設備の低温腐食の抑制方法について問われています。

低温腐食とは、燃焼ガス中に含まれる硫黄酸化物が冷却され、露点に達することによって凝縮され酸となり、ボイラ本体等を腐食する現象のことです。

以下に、選択肢ごとに説明します。

 1.硫黄分の少ない重油を選択すると、硫黄酸化物の絶対量が減少するため、低温腐食を抑制することになります。

 2.燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐと、重油中の硫黄分が酸素と接触する機会を減らすため、低温腐食を抑制することになります。

 3.蒸気式空気予熱器を用いてガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにすると、燃焼ガスの冷却を抑制することになり、低温腐食を抑制することになります。

 4.燃焼ガス中の酸素濃度を上げると、重油中の硫黄が酸素と接触する機会が増え、硫黄酸化物の生成が増加します。
   硫黄酸化物の生成を抑制するには、空気量を適切に保ち、燃焼ガス中の酸素濃度をできる限り減少させることが肝要です。

 5.重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げると、酸の生成が抑制されるため、低温腐食を抑制することになります。

以上の説明により、選択肢4が誤っていることがわかります。

正答は「4」です。

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02

硫黄分を含む燃料を燃焼するとSO2が生成し、さらにその一部は酸化され、SO3となります。このガスが水と反応すると、H2SO4(硫酸)が生成し、低温(160℃程度)になると凝縮し始め、配管を腐食します。これが低温腐食です。

SO2 → 酸化によりSO3 → 水と反応してH2SO4 → 低温になると凝縮(この温度を「露点」といいます)

したがって、

・そもそも硫黄分の少ない燃料を使用する

・SO3へ酸化しないように、燃焼ガスの酸素濃度を下げる

・煙道ガスの温度を低温にしない

が対策となります。

1. 正しい。上述の通りです。

2. 正しい。上述の通りです。

3. 正しい。低温腐食の抑制には、伝熱面を低温にしないことが重要です。

4. 誤り。酸素濃度の増加は、低温腐食の促進につながります。

5. 正しい。露点を下げることで、H2SO4を凝縮させにくくします。

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03

正解は「4」です。

低温腐食の抑制に関する問題です。

低温腐食とは,エコノマイザや空気予熱器の低温部で結露した硫黄分が硫酸(H2SO4)となり,エコノマイザや空気予熱器を腐食させる現象の事です。

1.正しいです。

低温腐食の主要因である硫黄分を少なくすることで,低温腐食を抑制できます。

2.正しいです。

脱硫装置までは硫黄分を多く含んだ排ガスが流れるため,燃焼室~煙道までの空気漏入を防ぐこで,低温腐食を抑制できます。

3.正しいです。

温度を上昇させる事で硫黄分が結露しにくくなり,低温腐食を抑制できます。

4.誤りです。

酸素濃度を下げる事で,硫黄と酸素の反応がしにくくなり,SO3およびH2SO4の発生を抑制できます。よって,記述は誤りです。

5.正しいです。

露点が低くなると結露しにくくなり,低温腐食の抑制に繋がります。

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