二級ボイラー技士の過去問
令和3年10月公表
ボイラーの構造に関する知識 問9
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問題
二級ボイラー技士試験 令和3年10月公表 ボイラーの構造に関する知識 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
ボイラーの自動制御について、誤っているものは次のうちどれか。
- オンオフ動作による蒸気圧力制御は、蒸気圧力の変動によって、燃焼又は燃焼停止のいずれかの状態をとる。
- ハイ・ロー・オフ動作による蒸気圧力制御は、蒸気圧力の変動によって、高燃焼、低燃焼又は燃焼停止のいずれかの状態をとる。
- 比例動作による制御は、オフセットが現れた場合にオフセットがなくなるように動作する制御である。
- 積分動作による制御は、偏差の時間積分値に比例して操作量を増減するように動作する制御である。
- 微分動作による制御は、偏差が変化する速度に比例して操作量を増減するように動作する制御である。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は、3です。
誤っているものを選択する問題です。
1.正しいです。
オンオフ動作による制御は、設定圧力の上限で燃焼をオフにし、下限でオンにします。
2.正しいです。
ハイ・ロー・オフ動作による制御は、設定圧力よりかなり低い場合は高燃焼(ハイ)、やや低い場合は低燃焼(ロー)、設定圧力に達すればオフになります。
3.誤っています。
比例動作による制御は、設定値からの偏差に比例して操作量が大きくなります。(あくまでイメージですが、水洗トイレを流した時に、初めは水量が多く、目標水位に近づけば近づくほど水の量が少なり、最後は雫になって止まる感じです。)
問題となるのは、比例動作だけの制御では、設定値とのズレが残ってしまい、なくならないという点です。この解消されないズレをオフセットといます。「比例動作による制御は、オフセットが現れた場合に、オフセットはなくならない」が正しいです。
4.正しいです。
オフセットをなくすために、積分動作による制御が使われます。比例動作による制御では、設定値に近づくとそれ以上細かくは制御できない状態で安定してしまう結果、ズレが生じるのですが、積分動作による制御は、その細かい偏差を時間的に蓄積し(積分)、制御できるようにします。
5.正しいです。
微分動作による制御は、偏差の変化する度合い・変化のスピード(微分)に応じ、将来どれくらいの偏差が生じるか前もって予測し、操作量を決めます。偏差の少ないうちに大きな修正動作を加えることができるので、外部からの動乱にすばやく対応できます。
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02
正解は, 3です。
ボイラーのフィードバック制御に関する問題です。
1.正しいです。
・オンオフ動作は2位置動作と呼ばれ,オン=燃焼・オフ=停止を行います。
この制御は燃焼の安定性がやや悪く,圧力の維持には不向きでです。
2.正しいです。
・ハイ・ロー・オフ動作は3位置動作と呼ばれ,オンオフ動作に中間部を設けたものです。ハイ=高燃焼・ロー=低燃焼・オフ=停止を行います。
オンオフ制御に比べ,中間部があることから,燃焼の安定性が増します。
3.誤りです。(誤:オフセットを無くす➡正:オフセットが必ず発生する)
・比例(Proportional)動作はP動作と呼ばれ,偏差の大きさに対して操作量を増減するように動作を行います。この動作では操作量が変化したときに,オフセット(設定値と異なった値で平衡)が必ず発生します。
設定値の上限幅を比例帯といい,この帯域を大きくとることで操作の安定性が増しますがオフセットが大きくなるというデメリットがあります。
オフセットを無くすには,I動作およびD動作を組合わせる必要があります。
4.正しいです。
・積分(Integral)動作はI動作と呼ばれ,制御偏差(オフセット)の積分値に比例して操作量を増減する動作を行います。
P動作と組合せることで,操作量を大きく変化させることができ,制御の訂正をより高精度で実施できます。
5.正しいです。
・微分(Differential)動作はD動作と呼ばれ,制御偏差(オフセット)の微分値に比例して操作量を調節する動作を行います。
オフセットの変化速度を判断し操作量を増減させますので,P動作より早く操作量を動かせ,P動作単体と比較し安定性が良くなります。
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03
正解は、 3 です。
記述は、いずれもフィードバック制御の説明です。
フィードバックとは、出力側の信号を入力側に戻す制御の事をいい、現在の測定値と目標値を比較して、その都度フィードバックによって目標値に近づける制御の事です。
1.正しい記述です。
On-Off 制御の説明です。出力するかしないかという制御方法になります。 よって実際の蒸気圧力の値は、目標の数値を挟んで、ジグザグするような値をとります。
2.正しい記述です。
Hi、Low、Offの3位置動作による制御方法の説明です。On-Off 制御より、実際の蒸気圧の値がより目標値に近づきやすい、やや滑らかな値を示します。
3.誤った記述です。
PID制御のP(Proportional:比例)動作の説明として誤っています。
比例動作とは、実際の測定値と目標値との差(偏差)の大きさに比例した出力をする動作です。目標値と実際値との差が大きければ大きい程、強く(On-Off に近い)動作します。
オフセットというのは、比例動作だけでは最終的に目標値に一致させる事が出来ない目標値と実際値の差の事です。オフセットを無くす動作は、I(Integral:積分)動作となります。
4.正しい記述です。
問題文の説明は、I(Integral:積分)動作の説明で、理解が難しい内容となっています。
積分動作は、比例動作によって目標値と一致できない最終的な平衡状態(オフセット)を無くす動作となります。厳密には異なりますが、「Iの数値の大小は、オフセットを無くすための時間の長さ」と理解すると分かりやすいと思います。
5.正しい記述です。
問題文の説明は、D(differential:微分)動作の説明で、理解が難しい内容となっています。
微分動作は、比例動作と積分動作だけでは目標値に近づくのにより時間がよりかかってしまう場合に有効な動作となります。外乱(現在値が、何らかの要因によって大きく変化する事)を受けて大きく目標値とずれた場合に、より早く目標値に近づける働きをします。
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