賃貸不動産経営管理士の過去問
平成27年度(2015年)
問16
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問題
賃貸不動産経営管理士試験 平成27年度(2015年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
AがBに対してマンションの一室を賃貸している場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- AはBに対して賃料の値上げを求めており、Bがこれに応じない場合に、Bが賃貸借契約で定められた賃料を支払ったところ、Aが受領を拒絶した場合、Bの賃料支払義務は消滅する。
- AはBに対して賃料の値上げを求めており、Bがこれに応じない場合に、BはAの親戚から、Aは値上げ後の賃料でなければ以後受領しないかもしれないと考えているようであることを聞いた。この場合、Bは賃料の支払をせずとも、債務不履行責任を免れることができる。
- AB間で賃料に関する紛争が生じており、Bが賃料を供託した場合において、Aは、Bの承諾を得たときに限り、供託された賃料相当額を受領することができる。
- Aが死亡し、CがAの相続人と称してBに対して賃料を請求した場合、Bは、Cが相続人であるかどうか明らかでないことを理由に賃料を供託することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
2.借主は実際に提示されていない判断材料をもって、賃料支払義務を免れることはありません。
3.供託金の受け取りには借主の承諾を得る必要はありません。
4.賃貸人の相続人が不明な場合は、賃料を供託することにより賃料支払義務を免れることができます。
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02
賃料の受領を拒絶したことをもって支払義務が消滅する訳ではありません。
但し、債務不履行責任については免れることができます。
尚、借主は法務局に供託することで賃料の支払いをしたとみなす仕組みはあります。
2 . 誤り。
Aから直接話をされた訳ではないので、実際に賃料の支払いをしないことには債務不履行責任を免れることはできません。
3 . 誤り。
この場合AはBの承諾を得ることなく、いつでも供託された賃料相当額を受領することができます。
4 . 正しい。
この場合、債務者であるBが債権者が誰であるかを過失なく確知できない為、このことを理由として賃料を供託することができます。
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03
本問は、賃貸借契約において貸主に賃料の受領拒絶があった際の法律関係を問う問題です。
賃貸借契約に限らず、債務者は債務の本旨に従った弁済の提供(民法第493条)をすれば、それ以降、債務不履行責任を負いません(同法第492条)。ただ、債務不履行責任を負わないことと、既に自ら負っている債務を消滅させることは別問題です。債務不履行責任から解放されるだけでなく、より積極的に債務消滅の効果まで得たい場合、債務者としては供託という手段が考えられます(同法第494条)。
肢1 最も適切とはいえない
Aが賃料の値上げを求めていたとしても、Bとしては契約で定められた賃料を提供したのであれば債務の本旨に従った履行となり、これ以降、債務不履行責任を問われません。ただ、Bの賃料債務を消滅させるためには、別途、供託が必要となります(同法第494条)。
肢2 最も適切とはいえない
Aが賃料の値上げを求めており、値上げ後の賃料でなければ受領しないかもしれないと考えていることをBが聞いていた場合、「債権者があらかじめその受領を拒み」(同法第493条但書)に該当する余地があります。弁済は債務者の提供行為だけでなく、債権者による受領行為があってはじめて可能であるところ、あらかじめ債権者が受領を拒絶している場合にまで債務者は現実の提供を強いられるというのは不公平です。そこで、弁済の提供として債務者にどこまでの行為が求められるかは債権者の受領拒絶の程度との相関によって決すべく、このような場合、債務者としては弁済の準備ができていることを通知すれば足ります(いわゆる、口頭の提供)。ただ、本肢がこの場合に該当すると考えたとしても、Aの親戚からAの意思を聞いただけで債務不履行責任から解放されるわけではなく、解放されるためには口頭の提供が必要です。
肢3 最も適切とはいえない
債権者が供託金の還付を受ける際、債務者から承諾を得る必要はありません。
肢4 最も適切
債務者は、①債権者による受領拒絶、②受領不能及び③過失なく債権者を確知できない場合に供託によって債務を消滅させることができます(民法第494条)。そして、Cが債権者Aの相続人を自称して賃料請求してきたとしても、本当にCがAの債権を相続したのかはBの側からは判然としませんから、③過失なく債権者を確知できないことを理由として賃料を供託することができます。
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