賃貸不動産経営管理士の過去問
平成27年度(2015年)
問21

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 平成27年度(2015年) 問21 (訂正依頼・報告はこちら)

賃貸借契約の更新拒絶に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • 貸主は、自ら建物の使用を必要とする事情が一切なくとも、立退料さえ支払えば、正当事由があるものとして、更新拒絶することができる。
  • 更新拒絶の通知時点では正当事由が存在しなくとも、通知後に事情が変わり正当事由が具備され、正当事由が具備された状態が事情変更時点から6ヵ月間持続した場合、解約の効果が生じる。
  • 建物の老朽化が著しく、隣家に損傷を及ぼしている場合、貸主は当面自己使用の必要性がなくても、立退料を提供することなく更新拒絶することができる。
  • 建物にはあたらない駐車場施設の利用契約について貸主が更新拒絶するためには、貸主に施設の使用を必要とする事情のほか、立退料の支払により正当事由が認められなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1 . 誤り。
正当事由は、貸主が自身が使用する目的や建物の老朽化、立退料の支払いなどを総合的に考慮して判断されますので、立退料の支払いだけでは正当事由があるとは言えません。

2 . 正しい。
正当事由が具備されてから6ヶ月持続した場合に、解約の効果が生じます。

3 . 誤り。
建物の老朽化は一要素に過ぎない為、更新を拒絶することができるとは限りません。

4 . 誤り。
建物賃貸借と違い、駐車場施設には借地借家法の適用がありませんので、貸主の施設使用の必要性や立退料の支払いは必要なく、正当事由の有無も不要です。

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02

 本問は、賃貸人側からの更新拒絶に必要な正当事由についての理解を問う問題です。

 期間の定めのある建物賃貸借契約の当事者が、期間満了の1年前から6月前までの間に、更新しない旨又は条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなければ、従前と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(借地借家法第26条第1項)。そして、賃貸人側からの更新拒絶・解約申入れには正当事由が必要となります(同法第28条)。

肢1 最も適切とはいえない

 正当事由の有無は、建物の賃貸人及び賃借人の建物使用の必要性、従前の経緯、利用状況、建物の現況並びに立退き料の有無・金額といった要素を考慮して判断されるのであり、立退き料さえ支払えば正当事由が具備されるというわけではありません。

肢2 最も適切

 正当事由は、本来であれば更新拒絶の通知又は解約申入れの時点で具備されている必要があります。しかし、当初の通知・解約申入れの時点では正当事由が具備されているとはいえない場合であっても、その後の事情変更によってこれが具備されるに至り、かつ、その状態が6ヶ月間継続した場合は解約可能と解されています。

肢3 最も適切とはいえない

 賃貸借契約当事者の建物使用の必要性は正当事由の有無を判断する際の考慮要素とはなりますが、これのみで立退き料如何に関わらず正当事由が具備されると断定することはできません。

肢4 最も適切とはいえない

 借地借家法は、「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権」に適用されます(同法第1条)。ゆえに、建物にあたらない駐車場施設の利用契約には同法は適用されず、同契約は民法上の賃貸借契約の規律に従うことになりますので、使用の必要性や立退き料といった正当事由の検討は不要です。

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03

1.貸主が借主に更新拒絶できる正当事由は立退料の支払だけで可能になるものではありません。

2.更新拒絶の通知は更新6か月までに通知しなくてはなりません。

3.立退料の支払いは建物の老朽化とは関係なく提供する必要があります。

4.駐車場施設は建物にはあたらず、借地借家法にはあたらないため、更新拒絶に関して正当事由は求められません。

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