賃貸不動産経営管理士の過去問
平成27年度(2015年)
問22
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問題
賃貸不動産経営管理士試験 平成27年度(2015年) 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
借主の退去及び残置物の所有権の放棄に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 賃貸借契約書に「借主が契約終了後1ヵ月以内に退去しない場合には、貸主は鍵を交換することができる。」という規定がある場合、貸主は、借主が契約終了後1ヵ月以内に退去しないときは、鍵を交換することができる。
- 借主から退去前に取得した「借主は退去後の残置物については所有権を放棄する。」という念書がある場合、貸主は、借主が粗大ゴミを残して退去したときは、これを処分することができる。
- 賃貸借契約書に「借主が賃料を滞納した場合には、貸主は鍵を交換することができる。」という規定がある場合、貸主は、借主が賃料を滞納したときは、鍵を交換することができる。
- 賃貸借契約書に「借主が無断で1ヵ月以上不在のときは、契約が解除され、借主は室内の遺留品について所有権を放棄する。」という規定がある場合、貸主は、借主が長期不在となったときは、室内の遺留品を処分することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
そもそも「借主が契約終了後1ヶ月以内に退去しない場合には、貸主が鍵を交換することができる」という文言が公序良俗に反して無効とされる可能性がありますので、必ずしも鍵を交換できるとは限りません。
2 . 正しい。
粗大ゴミについては借主に任意の承諾があるといえる為、貸主はこれを処分することができます。
3 . 誤り。
「借主が賃料を滞納した場合には、貸主は鍵を交換することができる」という文言が公序良俗に反して無効となる可能性が高い為、必ずしも鍵を交換できる訳ではありません。
4 . 誤り。
粗大ゴミと違い、室内の遺留品の処分については、例え契約書に規定があったとしても、貸主が勝手に処分することはできません。
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02
本問は、法が原則として禁止する自力救済に関する理解を問う問題です。
賃借人が賃料を滞納する等した場合、法治国家のもとでは、まずは裁判所に訴えを起こしたうえで、勝訴判決を得て執行・残置物の処分を行う必要があります。しかし、実際には時間や費用のかかる法的手続によらず、契約書に自力救済条項を設けて私的執行を試みる場合も見られます。たとえ契約書に自力救済条項を盛り込んでおいたとしても、認められない自力救済が行われれば貸主が不法行為責任(民法第709条)を負うことになります。判例では、賃借人が既に退去しており、残置物の占有侵害を伴わない場合と、賃借人がまだ居室に残っており、残置物の占有侵害を伴う場合に分けたうえで、前者については私的執行を許容する傾向にあるといわれています。
肢1 最も適切とはいえない
「借主が契約終了後1ヶ月以内に退去しない場合、貸主は鍵を交換できる」という条項は、認められない自力救済条項です。貸主は鍵を交換することはできません。
肢2 最も適切
借主退去後の残置物について、あらかじめ所有権を放棄する旨の念書を得ていた場合、残置物を処分したとしても借主の占有侵害を伴いませんから、貸主は借主が残していった粗大ごみを処分することができます。
肢3 最も適切とはいえない
「借主が賃料を滞納した場合、貸主は鍵を交換できる」という条項がある場合において、実際に鍵交換が行われれば、借主は依然として賃貸借契約が存続中であるにもかかわらず、事実上、居室への出入りができなくなってしまいます。かかる条項は認められない自力救済条項であり、貸主は同条項に基づいて鍵を交換することはできません。
肢4 最も適切とはいえない
「借主が無断で1ヶ月以上不在のときは、契約は解除され、借主は室内の遺留品について所有権を放棄する」との条項も、一定の事由の発生により借主による所有権放棄を導くという意味で、認められない自力救済条項です。遺留品の処分はできません。
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03
2.残置物などの撤去を行うことは賃貸物件の良好な管理の観点からも不法行為にはあたりません。
3.借主の了解なくカギを交換する行為は上記1.と同じく不法行為となります。
4.どのような特約を設定したにしても、借主に無断で室内に入ることは不法行為にあたります。
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