賃貸不動産経営管理士の過去問
平成30年度(2018年)
問22

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この過去問の解説 (3件)

01

 本問では、観念的な権利を実際に実現していくための強制執行手続の知識が問われています。我が国は法治国家ですから、たとえ権利があったとしても、それを自力で実現することは許されず、あくまでも、自らが真に権利を有していることを国家に示した上で、国家から判決等という形でお墨付きを得た上で実現しなければならないのです。

肢1 正しいとはいえない
 債務名義とは、強制執行の根拠となる文書のことです。債務名義は裁判所が下した判決書に限られるわけではなく、裁判上の和解調書も債務名義となります(民事執行法22条)。

肢2 正しいとはいえない
 強制執行を申し立てるためには、債務名義に加えて執行文も必要です(民事執行法25条)。

肢3 正しいとはいえない
 建物明渡しを求める強制執行において債務名義となるのは、建物明渡請求訴訟の認容判決です。賃料支払請求訴訟の認容判決を流用することはできません。

肢4 正しい
 賃借人が賃料を滞納した場合に、賃貸人あるいは管理業者が鍵を交換することは、たとえ賃貸人が賃貸建物の真の所有者であっても自力救済として許されません。賃貸人としては、訴訟を通じて建物からの退去や未払賃料の請求をしなければならず、賃借人に無断で鍵を交換して同人が居住し続けられなくすることは、賃借人との関係で不法行為責任(民法709条)が生じる場合があります。

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02

正解4

肢1→✕
裁判上の和解調停は、確定判決と同一の効力を有します。明け渡しの強制執行を行うための債務名義となるのは、判決書のみでなく、和解調停も債務名義となります。裁判上の和解調書は債務名義とならないという部分が間違いになります。

肢2→✕
強制執行を申し立てるためには、債務名義と執行文の付与が必要になります。債務名義のみという部分が間違いになります。

肢3→✕
未払い賃金を支払うことを内容とする判決書は未払い賃金の支払いを求めるもので建物明け渡しを求める強制執行の債務名義とはなりません。建物明渡しを求める強制執行の債務名義となるという部分が間違いになります。


肢4→○
肢の通りで、賃貸契約書に約定があって借主保護の観点から無断で鍵の交換は認められません。

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03

正解は4です。

1→誤り。
 債務名義には確定判決、和解調書、調停証書などがあります。

2→誤り。
 強制執行のためには債務名義、執行文、債務名義が送達されている文書が必要です。

3→誤り。
 未払賃料を支払うことを内容とする判決書では、建物明渡しを求めるものにはなりません。

4→正しい。
 例え約定があったとしても、無断で鍵交換をすることは法的責任を問われることがあります。

参考になった数5