賃貸不動産経営管理士の過去問
令和4年度(2022年)
問20

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 令和4年度(2022年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

賃料に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
  • 貸主が支払期限を知っている通常の場合、賃料債権は、5年の消滅時効に服する。
  • 建物賃貸借契約における賃料は、建物使用の対価であるので、貸主は、借主が使用する敷地の対価を当然に別途請求することができる。
  • 貸主が死亡し、その共同相続人が賃貸住宅を相続した場合、遺産分割までの賃料債権は、金銭債権として、相続財産となる。
  • 借主が滞納賃料の一部を支払う場合であって、弁済充当の合意がないときは、支払時に貸主が指定した債務に充当され、借主はこれに従わなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

まず問題文を見た時にどの分野の問題なのかを押さえておきましょう。

実務に関する法令における賃料についてですね。

選択肢1. 貸主が支払期限を知っている通常の場合、賃料債権は、5年の消滅時効に服する。

「適切」:貸主が支払期限を知っている通常の場合、賃料債権は、5年で時効により消滅します。本来貸主が賃料を請求できることを知らないのはほぼありえないので、5年の方が適用されます。

選択肢2. 建物賃貸借契約における賃料は、建物使用の対価であるので、貸主は、借主が使用する敷地の対価を当然に別途請求することができる。

「不適切」:賃料には使用する敷地の対価も含まれます

選択肢3. 貸主が死亡し、その共同相続人が賃貸住宅を相続した場合、遺産分割までの賃料債権は、金銭債権として、相続財産となる。

「不適切」:遺産分割までの賃料は金銭債権としての相続財産ではなく確定的に相続されます。例えば1000万円の遺産がある状態で、複数名の間で遺産分割協議が難航し、その間に賃料が300万発生した場合は、協議の対象にならず、相続分に応じて確定的に配分されます。

選択肢4. 借主が滞納賃料の一部を支払う場合であって、弁済充当の合意がないときは、支払時に貸主が指定した債務に充当され、借主はこれに従わなければならない。

「不適切」:弁済充当の合意がない場合は貸主より借主の指定内容のほうが優先されるため、支払い自体は必要ですが、どこに充当するかについては従う必要がないです。

まとめ

法令実務の場合は民法・借地借家法が絡むため、法律系資格取得者(特に宅建等不動産資格取得者)の得点源になりやすいです。一方初心者の場合は用語が難しい上に内容が深くわかりづらいため差が付きやすいです。暗記と言うより落ち着いて根底の仕組みを理解する姿勢が大切です。

出題形式は代表的な3パターンの「正誤問題」「組み合わせ問題」「個数問題」の中では比較的難易度の易しい「正誤問題」です。

問題を解く際に「適切なもの」のあたりに◯印をつけておき、選択肢に左側に◯✕を合わせて書いておくと、転記ミス等を減らせます。

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02

「賃料」に関する問題です。

選択肢1. 貸主が支払期限を知っている通常の場合、賃料債権は、5年の消滅時効に服する。

〇(適切)

貸主が通常、支払期限を知っている場合、賃料債権は、「5年」の消滅時効に服することになります。

選択肢2. 建物賃貸借契約における賃料は、建物使用の対価であるので、貸主は、借主が使用する敷地の対価を当然に別途請求することができる。

✕(不適切)

建物賃貸借契約における賃料には、建物使用の対価のほかに、建物の使用に必要な範囲で、その敷地の使用の対価も含まれています。すなわち、借主が使用する敷地の対価を別途請求することは当然にはできないのです。

選択肢3. 貸主が死亡し、その共同相続人が賃貸住宅を相続した場合、遺産分割までの賃料債権は、金銭債権として、相続財産となる。

✕(不適切)

貸主が死亡し、その共同相続人が賃貸住宅を相続した場合、遺産分割までの賃料債権は、相続財産とはなりません。各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得します。

選択肢4. 借主が滞納賃料の一部を支払う場合であって、弁済充当の合意がないときは、支払時に貸主が指定した債務に充当され、借主はこれに従わなければならない。

✕(不適切)

 借主が滞納賃料の一部を支払う場合であり、弁済充当の合意がなく、かつ、借主による充当債務の指定がないときは、貸主は受領時に充当債務の指定をすることができます。貸主がした充当債務の指定に対して、借主は異議を述べることができるのです

記述の「借主はこれに従わなければならない」となっている部分が誤りになります。

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03

民法に関する問題になります。

選択肢1. 貸主が支払期限を知っている通常の場合、賃料債権は、5年の消滅時効に服する。

〇適切

消滅時効は以下の期間経過で権利が消滅します。

①権利を行使できるときから10年間

②権利を行使できると知った時から5年間

以上①②どちらか早い方で消滅します。

貸主は通常、支払い期限を設けていますので、賃料債権は5年間の消滅時効となります。

選択肢2. 建物賃貸借契約における賃料は、建物使用の対価であるので、貸主は、借主が使用する敷地の対価を当然に別途請求することができる。

×不適切

建物賃貸借契約における賃料は、建物使用ができる対価の為、敷地も使用できる対価が含まれているとされるので、別途請求することはできません。

選択肢3. 貸主が死亡し、その共同相続人が賃貸住宅を相続した場合、遺産分割までの賃料債権は、金銭債権として、相続財産となる。

〇不適切

共同相続人が複数いる場合、貸主が死亡し、相続開始から遺産分割までの賃料債権は、一時的に共有になっている財産から出てきた金銭債権になり、分割することができるため、相続分に応じて各相続人が取得します。遺産分割後の賃料債権は、その物件を相続した相続人が相続財産として取得します。

選択肢4. 借主が滞納賃料の一部を支払う場合であって、弁済充当の合意がないときは、支払時に貸主が指定した債務に充当され、借主はこれに従わなければならない。

〇不適切

滞納賃料は以下の順に従って、充当されることになっています。

①当事者間の合意で決めた債務に充当(特約等)

②①が無いときは、借主が支払い時に指定した債務に充当

③②も無いときは、貸主が指定した債務に充当

④②③も無いときは、民法で定める債務に充当(費用→利息→元本)

滞納家賃の場合、④の法定充当をしてしまうと、元本(家賃)は一番後に充当されることになりますが、元本(家賃)は利息(遅延損害金)を生み出すものの為、借主にとって少ない金額になる方が良いので、古い家賃から充当することが一般的かと思われます。 

まとめ

家賃滞納や個人オーナーが亡くなるケースは多くあるため、賃貸不動産経営管理では、民法もよく扱うことになります。

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