賃貸不動産経営管理士の過去問 令和4年度(2022年) 問23
この過去問の解説 (3件)
まず問題文を見た時にどの分野の問題なのかを押さえておきましょう。
実務に関する法令における賃貸借契約の借主の義務についてですね。
「不適切」:契約が自然に終了するのではなく、契約解除が可能になります。
「不適切」:減額請求をする必要がなく、当然に減額されます。
「不適切」:貸主に支払いができなくなるだけで、差押債権者に通知しても支払い義務はなくなりません。
「適切」:賃料債権は消滅時効を援用(使う)しないと消滅しないので適切です。
法令実務の場合は民法・借地借家法・賃貸借契約等が絡むため、法律系資格取得者(特に宅建等不動産資格取得者)の得点源になりやすいです。一方初心者の場合は用語が難しい上に内容が深くわかりづらいため差が付きやすいです。暗記と言うより落ち着いて根底の仕組みを理解する姿勢が大切です。
出題形式は代表的な3パターンの「正誤問題」「組み合わせ問題」「個数問題」の中では比較的難易度の易しい「正誤問題」です。
問題を解く際に「適切なもの」のあたりに◯印をつけておき、選択肢に左側に◯✕を合わせて書いておくと、転記ミス等を減らせます。
借地借家法や民法で借主が行う必要があることについての問題です。
×不適切
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができます。自動的に契約が終了するわけではありません。(民法611条2項)
×不適切
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されます。借主が減額請求をしていなくても、当然に減額されます。(民法611条1項)
×不適切
賃料債権が差し押さえられた場合、借主は賃料を差押債権者に支払う必要があります。
貸主に支払うことは禁止されるので、差押債権者からの支払いを免れることはできません。
(民法481条)
〇適切
賃料債権には時効があります。時効は期間が経過して、消滅したことを援用する旨の意思表示が無ければ消滅しません。(民法145条)
この問題は2020年に民法が大きく改正された内容が含まれています。
試験対策では、民法改正部分も確認しておく必要があります。
「借主の義務」に関する問題です。
✕(不適切)
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができるのです。
したがって、賃貸住宅の一部が倒壊し、契約の目的を達することができなくなった場合、当然に賃貸借契約は終了するわけではなく、また賃料支払義務が消滅するわけでもないのです。
✕(不適切)
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されます。これは、減額請求がなくても、法律上当然に減額されるのです。
記述にある、「借主が賃料の減額請求をすることで」となっている部分が間違えです。
✕(不適切)
賃料債権が差し押さえられた場合、借主は、賃料を貸主に支払うことが禁止されます。賃料債権が差し押さえられた後に賃料を貸主に支払った場合において、差押債権者から取立てがあったときは、借主は、その取立てに応じなければならないのです。
〇(適切)
債権は、時効期間が経過しても消滅時効を援用する旨の意思表示がなければ消滅しないのです。
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