賃貸不動産経営管理士の過去問
令和5年度(2023年)
問8

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問題

賃貸不動産経営管理士試験 令和5年度(2023年) 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

管理受託契約における委託者への賃貸住宅管理業法に基づく定期報告に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約を同法施行後に更新した場合は、期間の延長のみの形式的な更新であっても、更新後の契約においては報告を行うべきである。
  • 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約が更新される前に、契約期間中に当該管理受託契約の形式的な変更とは認められない変更を同法施行後に行った場合は、変更後の契約においては報告義務が生じる。
  • 賃貸住宅管理業法上、書面による定期報告が義務付けられている事項は、「管理業務の実施状況」、「入居者からの苦情の発生状況」、「家賃等金銭の収受状況」の3つである。
  • 管理業務報告書の交付方法は書面だけではなく、メール等の電磁的方法によることも可能だが、賃貸人が報告書の内容を理解したことを確認する必要がある。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、賃貸住宅管理業法に基づく管理受託契約における定期報告の義務について問うものです。

 

賃貸住宅管理業法、及び、同施行規則では、適正な管理業務の実施を確保し委託者を保護するため、管理業者に対し、委託者への定期報告を義務付けています。今回の問題では、定期報告の内容や説明方法のみならず、法施行前の契約に対する契約の更新時や変更時の経過措置まで理解しておく必要があります。

 

報告内容や報告時期など、法令上の規定を正しく整理しておく必要があります。

1)定期報告の時期と内容、説明方法
2)賃貸住宅管理業法施工前に結ばれた管理受託契約に対する定期報告義務の経過措置

 

(参考文献)
〇賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、「賃貸住宅管理業法」と称します。)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502AC0000000060_20220617_504AC0000000068
〇賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則(以下、「施行規則」と称します。)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502M60000800083

〇賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方(令和5年3月31日施行)(以下、「法律の解釈・運用の考え方」と称します
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001474894.pdf
〇賃貸住宅管理業法 FAQ集(令和6年6月11日時点版)(以下、「FAQ集」と称します)
https://www.zennichi.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/641d2fedbe72728459ec0a9d2f362778.pdf
〇賃貸住宅管理業法施行規則(以下、「施行規則」と称します。)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502M60000800083

選択肢1. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約を同法施行後に更新した場合は、期間の延長のみの形式的な更新であっても、更新後の契約においては報告を行うべきである。

【適切です】
この選択肢は、「管理業法の施行前の管理受託契約の変更の報告を行うべきである」ことがポイントです。

 

管理業法施行前に締結された管理受託契約については、管理受託契約の締結時の書面の交付と定期報告義務の適用がありません(賃貸住宅管理業法附則第三条)。ただし、形式的な変更と認められる場合であっても、更新された後においては、賃貸人に対して定期報告を行うべきとされています(法律の解釈・運用の考え方-第20条関係)。

 

したがって、この選択肢は適切です。

選択肢2. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約が更新される前に、契約期間中に当該管理受託契約の形式的な変更とは認められない変更を同法施行後に行った場合は、変更後の契約においては報告義務が生じる。

【適切です】
この選択肢は、「形式的でない変更を行った場合は、新たな契約を結ぶことになる」ことがポイントです。

 

一般の契約においては、契約期間中に形式的でない変更を行った場合、実質的に新しい契約を結ぶことに等しいと解釈されます。また、FAQ集-3.事業関連(受託管理)(3)-Np.15)に「形式的な変更とは認められない変更を行った場合は、通常の契約と同様に定期報告を行う必要がある」と記載があります。このため、賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約が更新される前に、形式的でない変更を行った場合も賃貸住宅管理業法施行後の規定に従う必要があります。

 

したがって、この選択肢は適切です。

選択肢3. 賃貸住宅管理業法上、書面による定期報告が義務付けられている事項は、「管理業務の実施状況」、「入居者からの苦情の発生状況」、「家賃等金銭の収受状況」の3つである。

【不適切です】

この選択肢は、「報告が義務付けられている具体的な項目」がポイントです。


施行規則第40条第1項では、報告書に記載する事項は、
①報告対象となる期間(管理受託契約を締結した日から1年を超えない期間ごと)
②管理業務の実施状況(家賃等の金銭収受状況、維持保全の実施状況等)
③管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の発生状況及び対応状況
の3つが国土交通省令で定める事項となっています。

 

このため、「家賃等金銭の収受状況」は、「管理業務の実施状況」に含まれ、一方で、「報告対象となる期間」が選択肢の中に含まれていません。

 

したがって、この選択肢は不適切です。

選択肢4. 管理業務報告書の交付方法は書面だけではなく、メール等の電磁的方法によることも可能だが、賃貸人が報告書の内容を理解したことを確認する必要がある。

【適切です】

この選択肢は、「報告書の交付方法と賃貸人の内容理解の確認」がポイントです。

 

管理業務報告書の交付方法について、書面だけでなく賃貸人の承諾を得てメール、Web、磁気ディスクやCD-ROM等の電磁的方法によることも可能です(施行規則第40条第2項及び第4項)。ただし、「管理業務報告書に係る説明方法は問わないが、賃貸人と説明方法について協議の上、双方向でやりとりできる環境を整え、賃貸人が管理業務報告書の内容を理解したことを確認すること。 」と記載があります(「解釈・運用の考え方」-第20条関係4)。つまり、賃貸人が報告書の内容を理解したことを確認する必要がります。

 

したがって、この選択肢は適切です。

まとめ

管理受託契約における定期報告の内容や説明方法は、賃貸住宅管理業法の規定に基づいて適切に実施する必要があります。特に、賃貸住宅管理業法は施行からの経過が短いため、法施行前の契約に対する契約の更新時や変更時の経過措置に注意が必要です。

 

以下の点に注意しましょう:
・契約の更新や変更が行われた場合、委託者保護の観点から報告義務が生じる。
・報告の内容は多岐にわたり、法令に基づいて判断する必要がある。
・報告書の交付方法は書面だけでなく、電磁的方法によることも可能であるが、賃貸人が内容を理解したことを確認する必要がある。

 

これらのポイントを押さえておくことで、管理受託契約における定期報告の適切な実施方法を理解し、実務に活かすことができます。また、類似の問題にも対応できるようになります。
 

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02

賃貸住宅管理業法に基づく管理受託契約における定期報告の義務について確認しておきましょう。

選択肢1. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約を同法施行後に更新した場合は、期間の延長のみの形式的な更新であっても、更新後の契約においては報告を行うべきである。

【正】

賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約を同法施行後に更新した場合は、期間の延長のみの形式的な更新であっても、更新後の契約においては報告を行うべきとされます。
 

選択肢2. 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約が更新される前に、契約期間中に当該管理受託契約の形式的な変更とは認められない変更を同法施行後に行った場合は、変更後の契約においては報告義務が生じる。

【正】

賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約が更新される前に、契約期間中に当該管理受託契約の形式的な変更とは認められない変更を同法施行後に行った場合は、変更後の契約においては報告義務が生じるとされています。
 

選択肢3. 賃貸住宅管理業法上、書面による定期報告が義務付けられている事項は、「管理業務の実施状況」、「入居者からの苦情の発生状況」、「家賃等金銭の収受状況」の3つである。

【誤】

賃貸住宅管理業法上、書面による定期報告が義務付けられている事項は、「報告の対象となる期間」、「管理業務の実施状況」、「入居者からの苦情の発生状況及び対応状況」の3つです。

選択肢4. 管理業務報告書の交付方法は書面だけではなく、メール等の電磁的方法によることも可能だが、賃貸人が報告書の内容を理解したことを確認する必要がある。

【正】

管理業務報告書の交付方法は書面だけではなく、メール等の電磁的方法によることも可能です。

この場合、賃貸人が報告書の内容を理解したことを確認する必要があります。
 

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