賃貸不動産経営管理士の過去問
令和5年度(2023年)
問18

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

賃貸不動産経営管理士試験 令和5年度(2023年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

賃貸住宅管理業法における登録を受けた賃貸住宅管理業者の財産の分別管理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、管理受託契約に基づいて受領する家賃等を管理する口座を「家賃等管理口座」、賃貸住宅管理業者の固有の財産を管理する口座を「固有財産管理口座」とする。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、賃貸住宅管理業法における財産の分別管理に関する知識を問うものです。


金銭の分別管理などの賃貸住宅管理業法上の業務の規律について例年テーマを変えて出題されています。正確に理解しておくことが肝要です。

賃貸住宅管理業者は、管理業務で受領した家賃や敷金、共益費等の金銭(家賃等管理口座)と自己の固有財産(固有財産管理口座)は口座を分けて管理する義務があります(管理業法16条)。家賃等管理口座は、貸主ごとに口座を分ける必要はありませんが、会計ソフト等を用いて帳簿(会計)上で振り分けて管理します。つまり、家賃等管理口座と固有財産管理口座を分けることが基本ですが、帳簿上での管理方法や一時的な取り扱いにも注意が必要です。

特に、家賃等管理口座の運用方法、管理戸数による取り扱いの違い、賃貸人への金銭の交付タイミング、帳簿上での管理方法について正確に理解することが重要です。

 

(参考文献)

〇賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(管理業法)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502AC0000000060_20220617_504AC0000000068
〇賃貸住宅管理業法 FAQ集(令和6年6月11日時点版) 
https://www.zennichi.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/641d2fedbe72728459ec0a9d2f362778.pdf
〇賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方(令和5年3月31日施行)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001474894.pdf

選択肢1. 賃借人から受領した家賃等から管理報酬分を支払うものとしている場合には、あらかじめ賃貸人に引き渡す家賃等と管理報酬相当額とを分けて、前者のみを家賃等管理口座に入金させなければならない。

【不適切です】
この選択肢は、「家賃等管理口座と固有財産管理口座は口座を分別管理は原則だが、一時的な混同管理は認められる」ことがポイントです。

 

賃貸住宅管理業者は、家賃等管理口座と固有財産管理口座は口座を分別管理する義務があります(管理業法第16条)。しかし、実務上難しい面もあるので、賃貸住宅管理業者は、賃借人から家賃と管理報酬をまとめて振込させて家賃等から管理報酬分を受け取る場合、賃借人に振込手数料を負担させないため、全額を一旦管理業者の口座のどちらか一方の口座に入金させ、その後速やかに家賃等の金額を家賃等管理口座に、管理報酬分を固有財産管理口座に移す方法が認められています(解釈運用の考え方-第16条関係)。

 

したがって、この選択肢は不適切な記述です。

選択肢2. 管理戸数が 20 戸以下の賃貸住宅管理業者は、家賃等管理口座と固有財産管理口座を一つの口座とし、家賃等と自己の固有の財産とを、帳簿により勘定上直ちに判別できる状態で管理することができる。

【不適切です】
この選択肢は、「賃貸住宅管理業者は、管理戸数に関わらず、家賃等管理口座と固有財産管理口座を分別管理する」ことがポイントです。

 

賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受ける必要がありますが、管理戸数が200戸未満であるときは登録を受けなくても良いとされています。ただし200戸未満であっても登録を受けることは可能で、登録を受ける場合は賃貸住宅管理業法の規制の対象となります。このため、登録を受けた賃貸住宅管理業者は、管理戸数に関わらず、賃貸住宅管理業者は家賃等管理口座と固有財産管理口座を分ける必要があります。

 

したがって、この選択肢は不適切な記述です。

選択肢3. 家賃等管理口座に預入された金銭は、その全額を直ちに賃貸人に交付しなければならず、賃貸住宅管理業者の固有財産に属する金銭のうちの一定額を、家賃等管理口座に残したままにしておくことはできない。

【不適切です】

この選択肢は、「賃貸人への確実な家賃等の引き渡しを目的として管理業者の固有財産の一部を家賃等管理口座に残すことは許容される」ことがポイントです。

 

家賃等管理口座に預入された金銭は、管理受託契約に定める期日に賃貸人に交付すれば良く、また、「賃貸人への確実な家賃等の引き渡しを目的として、適切な範囲内で管理業者の固有財産の一部を家賃等管理口座に残すことは許容される。」とされています(解釈運用の考え方-第16条関係)。

 

したがって、この選択肢は不適切な記述です。

選択肢4. 家賃等管理口座に預入された金銭は、現金預金や管理手数料収入、修繕費などの勘定科目に、物件名や顧客名を入れた補助科目を付して仕分けを行うことにより、他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃等との分別管理とすることができる。

【適切です】

この選択肢は、「家賃等管理口座の金銭は、帳簿上で適切に仕分けする分別管理が可能である」ことがポイントです。

 

家賃等管理口座の金銭は、取引ごとに現金預金や管理手数料収入、修繕費などの勘定科目と、物件名や顧客名を入れた詳細な内訳を記した補助科目をつけて金銭の出入りを区別した帳簿を作成して勘定上での分別管理しなければなりません(管理業法第36条)。このように取引ごとにグループかすることで、他の管理受託契約に基づく管理業務との分別管理が可能です。

 

したがって、この選択肢は適切な記述です。

まとめ

賃貸住宅管理業における財産の分別管理は、顧客の保護と業界の信頼性を維持するために非常に重要です。特に、管理報酬や口座残高の取り扱いについては、法令の解釈を誤ると重大な違反につながる可能性があります。

 

賃貸住宅管理業者の財産の分別管理については、以下の点を理解することが重要です:
・家賃等と管理報酬は一時的に同じ口座に入金しても問題ありませんが、速やかに分別する必要があります。
・管理戸数に関わらず、家賃等管理口座と固有財産管理口座は分ける必要があります。
・家賃等管理口座の金銭は、契約に定める期日に賃貸人に交付すれば良く、適切な範囲で一定額を残しておくことも可能です。
・帳簿上で適切に仕分けすることで、同一口座内でも他の管理受託契約との分別管理が可能です。

 

これらのポイントを押さえることで、賃貸住宅管理業法に基づく適切な財産管理が可能となります。また、実務上の判断や類似の問題への対応にも役立ちます。

参考になった数1

02

賃貸住宅管理業者の財産の分別管理について学習しておきましょう。

選択肢1. 賃借人から受領した家賃等から管理報酬分を支払うものとしている場合には、あらかじめ賃貸人に引き渡す家賃等と管理報酬相当額とを分けて、前者のみを家賃等管理口座に入金させなければならない。

【誤】

一時的に家賃などの全額を家賃等管理口座に入金させ、その後、管理報酬分を固有財産管理口座へ移し替える方法をとっても差し支えありません。

選択肢2. 管理戸数が 20 戸以下の賃貸住宅管理業者は、家賃等管理口座と固有財産管理口座を一つの口座とし、家賃等と自己の固有の財産とを、帳簿により勘定上直ちに判別できる状態で管理することができる。

【誤】

管理戸数が 20 戸以下であろうとも、家賃等管理口座と固有財産管理口座を一つの口座とすることはできません。

選択肢3. 家賃等管理口座に預入された金銭は、その全額を直ちに賃貸人に交付しなければならず、賃貸住宅管理業者の固有財産に属する金銭のうちの一定額を、家賃等管理口座に残したままにしておくことはできない。

【誤】

家賃等管理口座に預入された金銭は、その全額を直ちに賃貸人に交付しなければなりませんが、賃貸人に家賃等を確実に引き渡すことを目的として、適切な範囲であれば、固有財産に属する金銭のうちの一定額を、家賃等管理口座に残したままにしておいても差し支えないとされています。

選択肢4. 家賃等管理口座に預入された金銭は、現金預金や管理手数料収入、修繕費などの勘定科目に、物件名や顧客名を入れた補助科目を付して仕分けを行うことにより、他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃等との分別管理とすることができる。

【正】

家賃等管理口座に預入された金銭は、現金預金や管理手数料収入、修繕費などの勘定科目に、物件名や顧客名を入れた補助科目を付して仕分けを行うことにより、他の管理受託契約に基づく管理業務において受領する家賃等との分別管理とすることができます。

参考になった数0