技術士の過去問
令和元年度(2019年)
適性科目 問38
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問題
技術士 第一次試験 令和元年度(2019年) 適性科目 問38 (訂正依頼・報告はこちら)
平成24年12月2日、中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故が発生した。このような事故を二度と起こさないよう、国土交通省では、平成25年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付け、取組を進めている。平成26年5月には、国土交通省が管理・所管する道路・鉄道・河川・ダム・港湾等のあらゆるインフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中長期的な取組を明らかにする計画として、「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」を策定した。この計画の具体的な取組の方向性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 全点検対象施設において点検・診断を実施し、その結果に基づき、必要な対策を適切な時期に、着実かつ効率的・効果的に実施するとともに、これらの取組を通じて得られた施設の状態や情報を記録し、次の点検・診断に活用するという「メンテナンスサイクル」を構築する。
- 将来にわたって持続可能なメンテナンスを実施するために、点検の頻度や内容等は全国一律とする。
- 点検・診断、修繕・更新等のメンテナンスサイクルの取組を通じて、順次、最新の劣化・損傷の状況や、過去に蓄積されていない構造諸元等の情報収集を図る。
- メンテナンスサイクルの重要な構成要素である点検・診断については、点検等を支援するロボット等による機械化、非破壊・微破壊での検査技術、ICTを活用した変状計測等新技術による高度化、効率化に重点的に取組む。
- 点検・診断等の業務を実施する際に必要となる能力や技術を、国が施設分野・業務分野ごとに明確化するとともに、関連する民間資格について評価し、当該資格を必要な能力や技術を有するものとして認定する仕組みを構築する。
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この過去問の解説 (3件)
01
インフラの管理についての問題も技術士試験では頻出です。今回は、「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」についての問題ですが、全文が国土交通省のサイト
https://www.mlit.go.jp/common/001040664.pdf
から参照できますので、ここをよく見ながらポイントを押さえていきましょう。
1. 18ページを参照。「点検未実施のものも含めた全対象施設において点検・診断を実施し、その結果に基づき、必要な対策を適切な時期に、着実かつ効率的・効果的に実施するとともに、これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し、次の点検・診断等に活用するという、「メンテナンスサイクル」を構築する。」との記載があります。
2. 16ページを参照。「将来にわたって持続可能なメンテナンスを実現するためには、上述した課題への対応方策を検討するとともに、それらを体系的に整理し、必要な制度を構築していく必要がある。厳しい財政制約下において、人口減少、少子高齢化が進展する将来を見据え、施設や管理者の実情に応じた実現可能な制度を如何に構築していくかが課題である。」との記載があります。すなわち、点検の頻度や内容等は全国一律ではない、ということになります。
3. 55ページを参照。「点検・診断、修繕・更新等のメンテナンスサイクルの取組を通じて、 順次、最新の劣化・損傷の状況や、過去に蓄積されていない構造諸元等の情報収集を図る。」との記載があります。
4. 76ページを参照。「メンテナンスサイクルの重要な構成要素である点検・診断については、点検等を支援するロボット等による機 械化、非破壊・微破壊での検査技術、ICT を活用した変状計測等の新技術による高度化、効率化に重点的に取り組む。」との記載があります。
5. 93ページを参照。「点検・診断等の業務を実施する際に必要となる能力や技術を、国が施設分野・業務分野毎に明確化するとともに、関連する民間資格について評価し、当該資格を必要な能力や技術を有するものとして認定する仕組みを構築する。」との記載があります。
以上、正解選択肢は2.となります。
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02
<正解>2
[解説]
「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」に関する正誤の問題です。
なお、全文は、https://www.mlit.go.jp/common/001040664.pdf から確認することができます。
1から5の記述内容の正否は以下のとおりとなります。
1 適切な内容です。
行動計画P18において
「点検未実施のものも含めた全対象施設において点検・診断を実施し、
その結果に基づき、必要な対策を適切な時期に、
着実かつ効率的・効果的に実施するとともに、
これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し、
次の点検・診断等に活用するという、
「メンテナンスサイクル」を構築する。」とあります。
よって、適切な内容です。
2 不適切な内容です。
財政面の制約の中で、
各インフラの地理的条件や利用状況などを踏まえると
点検の頻度や内容を一律にすることはできないと考えられます。
また、行動計画P16においても
「将来にわたって持続可能なメンテナンスを実現するためには、
上述した課題への対応方策を検討するとともに、
それらを体系的に整理し、必要な制度を構築していく必要がある。
厳しい財政制約下において、
人口減少、少子高齢化が進展する将来を見据え、
施設や管理者の実情に応じた実現可能な制度を如何に構築していくかが課題である。」
とあります。
よって、不適切な内容です。
3 適切な内容です。
メンテナンスサイクルを通じて、
最新の劣化・損傷の状況の情報収取を図ることは可能ですが、
各インフラ施設の構造諸元等も把握し、
情報として収集することもできます。
行動計画P55においても
「点検・診断、修繕・更新等のメンテナンスサイクルの取組を通じて、
順次、最新の劣化・損傷の状況や、
過去に蓄積されていない構造諸元等の情報収集を図る。」
とあります。
よって、適切な内容です。
4 適切な内容です。
点検・診断については、人だけではなく、
ロボットやICTを活用することで、
高度化や効率化を図ることができます。
行動計画P76においても
「メンテナンスサイクルの重要な構成要素である点検・診断については、
点検等を支援するロボット等による機械化、非破壊・微破壊での検査技術、
ICTを活用した変状計測等の新技術による高度化、効率化に重点的に取り組む。」
とあります。
よって、適切な内容です。
5 適切な内容です。
点検や診断の能力や技術を施工等の実績だけではなく、
国が民間資格の評価や認定を行うことで、
民間資格を客観的な指標として活用することが可能となります。
行動計画P93においても
「点検・診断等の業務を実施する際に必要となる能力や技術を、
国が施設分野・業務分野毎に明確化するとともに、
関連する民間資格について評価し、
当該資格を必要な能力や技術を有するものとして認定する仕組みを構築する。」
とあります。
よって、適切な内容です。
以上のことから、2が正解となります。
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03
2.点検の頻度や内容等は全国一律とすることは難しいため基準を設けると記載されています。
3.正しい
4.正しい
5.正しい
<https://www.mlit.go.jp/common/001040664.pdf>
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