行政書士の過去問
平成27年度
法令等 問34

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問題

行政書士試験 平成27年度 法令等 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

A ( 3歳 ) は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢かれて死亡した。CがAに対して負うべき損害賠償額 ( 以下、「 本件損害賠償額 」という。) に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
  • 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。
  • 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。
  • 本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。
  • 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。
  • 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解5 
 
1 × 最大判昭和39年6月24日
未成年者の過失をしんしゃくする場合、事理弁識能力は必要であり、責任能力までは必要ありません。
事理弁識能力とはものの善し悪し判断できる能力をいいます。
責任能力とは自己の行為が違法なものとして法律上非難されるものであることを弁識しうる能力をいいます。

2 × 上記判例参照
事理弁識能力が必要になります。

3 × 最判昭和42年6月27日参照 
過失相殺を規定した民法722条2項の趣旨は当事者間の公平にあり、損害賠償額の算定にあたって、被害者と身分関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失を斟酌することが公平であるとしています。

4 × 最判平成4年6月25日参照
過失相殺の趣旨は公平にあり、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、被害者の当該疾患をしんしゃくすることができます。

5 〇 最判昭和53年10月20日参照
養育費と幼児の将来得べかりし収入との間には控除すべき損失と利得との同質性がなく、将来得べかりし収入額から養育費を控除すべきものではない、とています。

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02

1:妥当でない。 事理弁識能力があれば過失相殺は可能です。


2:妥当でない。 過失を斟酌するためには、Bには事理を弁識する能力が必要です。


3:妥当でない。 判例は、被害者の過失とは、単に被害者本人の過失だけではなく、広く被害者側の過失をも包含するとしています。従って、監督者であるBについての過失も斟酌し得ます。


4:妥当でない。 当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、被害者の疾患を斟酌することができます。


5:妥当である。 判例は、養育費と幼児の得べかりし利益との間には同質性がないとして損益相殺を認めないとしています。

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03

1,2 妥当でない
 過失相殺をするには当事者の事理弁識能力が必要とされています。

3妥当でない
 過失の判断の対象となるものは広く被害者側であり、被害者と身分関係上一体となすものも含まれると解されています。

4妥当でない
 公平の観点から諸般を考慮して被害者の疾患を斟酌します。

5妥当
 子供にかかる養育費と幼児の得べかりし利益には同質性がないため、控除の対象となりません。

参考になった数3