行政書士の過去問
平成29年度
一般知識等 問53

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

行政書士試験 平成29年度 一般知識等 問53 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、社会の様々な問題を題材に取り上げた小説家・山崎豊子の著作として、妥当なものはどれか。
  • 『官僚たちの夏』では、政権交代によって政治主導の政策形成が強まるなかで、筋を通した大蔵省官僚が、官邸の政治力の前に挫折する姿を描いた。
  • 『苦海浄土』では、原子力発電所事故による放射能汚染によって故郷を追われた避難者の姿を通して、原子力安全神話の問題性を告発した。
  • 『白い巨塔』では、国立大学医学部における教授選挙を巡る闘争や、外科手術に関連する医療過誤訴訟を描いた。
  • 『蟹工船』では、日本とソ連崩壊後のロシアとの間の北方領土と北洋の「共同開発」を巡る利権争いを、労働者の視点から描き出した。
  • 『複合汚染』では、全国各地の湾岸の埋立地が、様々な物質によって汚染されている実態を明らかにした。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (4件)

01

本問は、まさしく一般教養を問う問題といえます。

行政書士に社会問題に広く関心を持つ姿勢や、
日々読書に励むことを求める
出題者の意図を感じます。

肢1
妥当でない。
『官僚たちの夏』の著者は城山三郎です。

本作の主人公のモデルとされる佐橋滋は、
1950年代から1960年代にかけて
当時の通産省(現経産省)の政府主導の産業政策を
主張し続けた元通産次官です。

当時自民党長期政権が継続していましたので、
この点で「政権交代によって・・・(中略)・・・官邸の政治力の前に挫折する」という記述が
実際と不整合です。

なお、佐橋以降、戦前の商工省の時代以降
政府が産業政策を立案し、
企業がこれに従う政策スタイルはすたれてきます。

肢2
妥当でない。
『苦楽浄土』の著書は、石牟礼道子です。

『苦楽浄土』は、熊本県出身の石牟礼が、
公害としての水俣病に苦しむ人々を描いた
ルポルタージュ作品である点も、
本肢の記述と不整合です。

なお水俣病は、チッソ水俣工場が
アセトアルデヒド製造の排水の無機水銀が原因。1959年に熊本大学らがチッソの排水が
水俣病の原因と結論付けると、
チッソはこの説に真っ向から反論し、
政府も1968年まで水俣病と工場排水の
因果関係を認めませんでした。

肢3
妥当である。
『白い巨塔』は山崎豊子の代表作です。

『白い巨塔』というと大学病院での権力争いを
描くドラマとのイメージが強いですが、
本書の主題はむしろ医療過誤問題にあります。

肢4
妥当でない。
『蟹工船』は、
プロレタリア文学者小林多喜二の代表作です。

本書は、戦前北洋漁業に出た「蟹工船」内での
監督による労働者の酷使と、
これに対する労働者のストライキ闘争を描いた
戦前プロレタリア文学の代表作です。

肢5
妥当でない。
『複合汚染』の著書は、有吉佐和子です。

また本書は、化学物質の工業的使用が
自然環境の破壊を来すことを指摘した作品です。

よって、本問の正答は3となります。

参考になった数11

02

1 ×
「官僚たちの夏」の作者は城山三郎です。
高度経済成長期、通産省の官庁たちが、政策や人事をめぐって奮闘する姿を描いた作品です。

2 ×
「苦海浄土」の作者は石牟礼道子です。
水俣病患者と、その家族の苦しみを描いた作品です。

3 〇
正しい内容です。

4 ×
「蟹工船」の作者は小林多喜二です。
昭和初期、蟹工船内で劣悪な労働環境に苦しむ労働者たちが団結し、ストライキに立ち上がる姿を描いた作品です。

5 ×
「複合汚染」の作者は有吉佐和子です。
環境汚染をテーマにした小説で、毒性物質の複合による汚染の実態などについて描いた作品です。

よって正解は③です。

参考になった数4

03

正解は3
社会問題を題材とした文学に関する設問です。

1× 『官僚たちの夏』は、城山三郎の著作で、官僚佐橋滋をモデルに、高度経済成長を促した通算官僚の姿を描いた作品です。

2× 『苦海浄土』は、石牟礼道子の著作で、水俣病の実体を被害者からの証言を元に記した作品です。

3〇 記載の通りです。なお、『白い巨塔』は、山崎豊子の著作です。

4× 『蟹工船』は小林多喜二の著作で、プロレタリア文学(虐げられた労働者の厳しい現実を描いた文学作品)の代表作です。

5× 『複合汚染』は有吉佐和子の著作で、環境汚染による毒性物質の複合がもたらす自然と生命の危機を訴えた作品です。

参考になった数0

04

①妥当でない
『官僚たちの夏』の作者は、城山三郎です。

②妥当でない
「苦海浄土」の作者は、石牟礼道子です。

③妥当
「白い巨塔」の作者は、山崎豊子です。

④妥当でない
「蟹工船」の作者は、小林多喜二です。

⑤妥当でない
「複合汚染」の作者は、有吉佐和子です。

したがって、③が正解です。

参考になった数0