行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問12

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問題

行政書士試験 平成30年度 法令等 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

法令に違反する行為の是正を求める行政指導を国の行政機関が担当する場合に関する次の記述のうち、行政手続法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
  • 不利益処分を行う権限を有する行政機関は、法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、その相手方に対し、緊急を要する場合を除き、あらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならない。
  • 行政指導が既に文書により相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導である場合、行政機関はその内容を記載した書面を求められても、これを交付する必要はない。
  • 同一の行政目的を実現するために複数の者に対し行政指導をする場合、行政機関はあらかじめ当該行政指導の共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限りそれを公表しなければならない。
  • 行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が法律所定の要件に適合しないと思料する場合、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止を求めることができる。
  • 地方公共団体の機関が国の行政機関から委任を受けて行政指導を行う場合、行政手続法の定める行政指導手続に関する規定は、この行政指導の手続には適用されない。

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この過去問の解説 (4件)

01


1
誤り。

行政手続法第32条1項は、
行政指導は「あくまでも相手方のの任意の協力によってのみ実現される」とし、
法第32条2項は行政指導に従わなかったために、
「不利益な取扱いをしてはならない。」
と定めています。

従って、行政指導は、不利益処分の前置手続として
行う類の行為ではありません。

2
正しい。

法第35条3項には、
行政指導の相手方から行政指導の内容及び趣旨等について、
口頭で伝えられた場合において、相手方から
「書面の交付を求められたときは・・(中略)・・
行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。」としています。
しかし、法第35条4項2号に
「既に文書によりその相手方に通知されている事項
と同一の内容を求めるもの」は
法第35条3項に適用しないとしています。

つまり2の場合には、
行政庁はかかる書面を交付する必要はありません。

3
正しい。

本肢は、法第36条に定められている内容です。
要綱を定めこれに基づき行政指導を行う場合や、
個々の企業に対してではなく業界を通じた行政指導を行う場合を想定し、
行政指導の相手方が複数の場合、原則公表する趣旨です。(塩野行政法Ⅰ・336頁)

4
正しい。

本肢は、法第36条の2に定められている内容です。
原則行政指導に処分性は認められないために、
行政事件訴訟法に基づく取消の訴えはできません。
しかし、行政指導の実際上の効果に鑑みて、
行政指導した行政機関に申出を行い
行政指導の中止を求める手続が新設されました。

5
正しい。

法第3条(適用除外)第3項は、
「地方公共団体の機関がする・・(中略)・・の行政指導」については、
法第2章から第6章の規定を適用しないと規定しています。

以上より、本問は1が正解となります。

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02

正解は1
行政指導に関する設問です。

1× 不利益処分を行う際にあらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならないという規定はありません。

2〇 行政手続法35条4項の通りです。「前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。 一 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの 二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの」なお、「前項」とは同条3項(「行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前二項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない」)を指します。

3〇 同法36条の通りです。「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。」

4〇 同法36条の2第1項本文の通りです。「法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」

5× 同法3条3項の通りです。「第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。」行政指導は4章に規定されていますので、適用されないことになります。

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03

1 ×
不利益処分時に行政指導の前置を義務付ける規定はありません。

2 〇
正しい記述です。(行政手続法35条4項2号)

3 〇
正しい記述です。(行政手続法36条)

4 〇
正しい記述です。(行政手続法36条の2第1項)

5 〇
正しい記述です。(行政手続法3条3項)

よって正解は①です。

参考になった数2

04

行政指導とは、行政が名宛人に対し、作為・不作為を求めたり、助言・勧告したりするもので、名宛人の任意の協力によって行われます。したがって、行政指導には法律上の根拠は必要なく、拘束力もありませんので、それに従わなかったからといって、不利益を被ることはありません。

①不利益処分の前に行政指導をしなければならないわけではありません。行政指導の実施の有無の判断についても行政に裁量が認められています。また、市民側から行政に対して行政指導を求めることもできます。

②正しい記述です。

③正しい記述です。

④正しい記述です。

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