行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問37

ア.誤
52条1項の規定により発起人または設立時取締役の負う義務は、総株主の同意がなければ免除することができない（55条）とあり、総株主の同意があることを条件に免除を認めます。

イ.誤
52条の2第1項の規定により発起人または設立時取締役の負う義務は、総株主の同意がなければ免除することができない（55条）とあり、総株主の同意があることを条件に免除を認めます。

ウ.正
53条1項の規定により、発起人、設立時取締役または設立時監査役の負う責任は、総株主の同意がなければ、免除することができません（55条）。

エ.正
その通りです。（53条2項）

オ.正
その通りです。（56条）

正解は１
会社法55条を引用します。「（責任の免除）第五十五条　第五十二条第一項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務、第五十二条の二第一項の規定により発起人の負う義務、同条第二項の規定により発起人又は設立時取締役の負う義務及び第五十三条第一項の規定により発起人、設立時取締役又は設立時監査役の負う責任は、総株主の同意がなければ、免除することができない。」

ア×　同法52条1項は、「株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額（定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額）に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。」と規定しており、同法55条の責任免除不可の対象となっているため、誤りです。

イ×　同法52条の2第1項は、「発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。　一　第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合　払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払　二　第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合　給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付（株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払）」と規定しており、同法55条の責任免除不可の対象となっているため、誤りです。

ウ〇　同法53条1項は、「発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しており、同法55条の責任免除不可の対象となっているため、正しい記載です。

エ〇　同法53条2項の通りです。「発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」

オ〇　同法56条の通りです。「（株式会社不成立の場合の責任）第五十六条　株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。」

ア：誤り
会社法55条は、責任の免除について規定しています。
この場合、総株主の同意を得て、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を免れることができます。

イ：誤り
この場合、総株主の同意を得て、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払う義務を免れることができます。

ウ：正しい
この場合、総株主の同意を得なければ、発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。

エ：正しい
会社法53条2項に規定されています。

オ：正しい
会社法56条に規定されています。

したがって、ア・イが誤りで、①が正解です。