行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問40
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問題
行政書士試験 令和5年度 法令等 問40 (訂正依頼・報告はこちら)
会計参与と会計監査人の差異に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 大会社、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、会計監査人の設置が義務付けられているのに対して、当該いずれの会社形態においても、会計参与は任意に設置される機関である。
- 会計参与は会社法上「役員」に位置づけられるが、会計監査人は「役員」に含まれない。
- 会計参与は定時株主総会において選任決議が必要であるのに対して、会計監査人については、定時株主総会において別段の決議がなされなかったときは、再任されたものとみなす。
- 会計参与は、取締役または執行役と共同して計算関係書類を作成するが、会計監査人は計算関係書類の監査を行う。
- 会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為等を発見したときは、遅滞なく、これを監査役等に報告しなければならないが、会計参与にはこのような報告義務はない。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題のポイントは、会社法326条2項、327条5項、328条1項と2項、329条1項、338条2項、374条1項と6項、375条1項、396条1項、397条1項との理解です。
まず会社法326条2項は株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができるとされています。
会社法327条5項は監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならないとされています。
会社法328条1項は大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならないとされています。
328条2項は公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならないとされています。
会社法329条1項は役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任するとされています。
会社法338条2項は会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなすとされています。
374条1項は会計参与は、取締役と共同して、計算書類(第四百三十五条第二項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)及びその附属明細書、臨時計算書類(第四百四十一条第一項に規定する臨時計算書類をいう。以下この章において同じ。)並びに連結計算書類(第四百四十四条第一項に規定する連結計算書類をいう。第三百九十六条第一項において同じ。)を作成する。この場合において、会計参与は、法務省令で定めるところにより、会計参与報告を作成しなければならないとされています。
その6項は指名委員会等設置会社における第一項及び第二項の規定の適用については、第一項中「取締役」とあるのは「執行役」と、第二項中「取締役及び」とあるのは「執行役及び取締役並びに」とするとされています。
会社法375条1項は会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならないとされています。
会社法396条1項は会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならないとされています。
最後に会社法397条1項は会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査役に報告しなければならないとされています。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならないとされており、株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができるとされています。
よって、大会社、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、会計監査人の設置が義務付けられているのに対して、当該いずれの会社形態においても、会計参与は任意に設置される機関であるとされています。
解説の冒頭より、役員は取締役、会計参与及び監査役をいうとされています。
よって、会計参与は会社法上「役員」に位置づけられるが、会計監査人は「役員」に含まれないとなります。
解説の冒頭より、役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任するとされており、会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなすとされています。
よって、会計参与は定時株主総会において選任決議が必要であるのに対して、会計監査人については、定時株主総会において別段の決議がなされなかったときは、再任されたものとみなすとされています。
解説の冒頭より、会計参与は、取締役と共同して、計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を作成し、会計監査人は株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査するとされています。
よって、会計参与は、取締役または執行役と共同して計算関係書類を作成するが、会計監査人は計算関係書類の監査を行うとなります。
解説の冒頭より、会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査役に報告しなければならないとされ、会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならないとされています。
よって、会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為等を発見したときは、遅滞なく、これを監査役等に報告しなければならなく、会計参与にもこのような報告義務はあるとなります。
この問題のように、条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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02
会計参与と会計監査人の差異に関する問題です。
1・・・正しい
監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、必ず会計監査人を置かなければなりません(会社法327条5項)。一方、会計参与の設置は、原則として任意です。よって、妥当です。
2・・・正しい
役員(取締役、会計参与及び監査役)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項)。つまり、会計参与は会社法上「役員」に位置づけられていますが、会計監査人は「役員」に含まれません。よって、妥当です。
3・・・正しい
会計参与は、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項)。一方、会計監査人は、別段の決議がされなかったときは、定時株主総会において再任されたものとみなされます(会社法338条2項)。よって、妥当です。
4・・・正しい
会計参与は、取締役または執行役と共同して、計算書類等の作成をし、会計参与報告を作成しなければなりません(会社法374条1項、6項)。一方、会計監査人は、株式会社の計算書類等を監査し、会計監査報告を作成しなければなりません(会社法396条1項)。よって、妥当です。
5・・・誤り
会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査役に報告しなければなりません(会社法397条1項)。
会計参与は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを株主(監查役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければなりません(会社法375条1項)。つまり、会計監査人、会計参与ともに報告義務があるので誤りです。
出題率の高い分野ですのでしっかり押さえておきましょう。
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