保育士の過去問
平成26年(2014年)
保育の心理学 問100

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問題

保育士試験 平成26年(2014年) 保育の心理学 問100 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
10歳の男児。決して成績が悪いわけではないが、以前から忘れ物が多く、不注意な失敗や授業中の離席が目立っていた。担任と両親との面談では、父親は「自分の幼い頃に良く似ているので、心配はしていない」と言っており、母親は、「幼児期は常に手を繋いでいないとどこかへ行ってしまい、よく迷子になっていた」という。男児に対し、母親は育てにくさを感じており、厳しく躾をしてきたという。

【設問】
この子どもで最も疑われる精神医学的問題について、適切な記述を選びなさい。

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この過去問の解説 (3件)

01

 事例の状況から、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の可能性が疑われます。

 1 適切 協調運動が苦手で、いわゆる不器用な子が多く見られます。

 2 適切 ADHDの男女差については、諸説ありますが、児童では男児が多く見られます。男児は8歳ころから、女児は12歳ころからの診断が多いとされています。

 3 適切 子どもの行動に対して周囲の対応が適切でないと、二次的に情緒や行動の問題が起こり、心理的な問題が深刻化したり社会的な不適応につながる場合があるので、注意が必要です。

参考:「DSM―IV 精神疾患の分類と診断の手引き」による注意欠陥・多動性障害の診断基準は、以下の通りです。

A.(1)か(2)どちらか
 (1)以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの:
 不注意
  (a)学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
  (b)課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
  (c)直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
  (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)。
  (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
  (f)(学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
  (g)(例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
  (h)しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
  (i)しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

 (2)以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:
 多動性
  (a)学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
  (b)しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
  (c)しばしば、不適応な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない。)
  (d)しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
  (e)しばしば“じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。
  (f)しばしばしゃべりすぎる。
衝動性
  (g)しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
  (h)しばしば順番を待つことが困難である。
  (i)しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)。

B.多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。

C.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校[または仕事]と家庭)存在する。

D.社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない

E.その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。

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02

精神学的ソフトサインとは、病巣の局在を明らかに表さない微候のことをいいます。

ADHD などの発達障害の可能性があるでしょう。

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03

正解は1,2,3です。

A 〇 適切です。
精神学的ソフトサインとは、病を明らかに表さない微候のことをいいます。

B 〇 適切です。
子どもの頃は、女児よりも男児のほうが多いようです。

C 〇 適切です。
周りからの適切な理解が得られないことにより、抑うつ、心身症、依存症、引きこもりなど反抗挑戦性障害、行為障害などがあらわれることを二次的障がいといいます。

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