保育士の過去問
平成28年(2016年)前期
保育原理 問10
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問題
保育士試験 平成28年(2016年)前期 保育原理 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
次の保育所での3歳児クラスの【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
昼食後、思い思いに遊んでいるときに、S君は一人で図鑑を見ている。T君とU君は段ボールや椅子を使い、いつも遊んでいる家を作り始める。つぶれた段ボールを見つけた二人が「これ屋根にするか!」と言いながら、その段ボールを持って家に戻ると、いつの間にか家の中にいたS君が「それはそこじゃない!」と強い口調で言う。T君とU君は少し不満そうであったが何も言わずにいる。S君が「そうだ!これを屋根にすればいい」と床に敷いていたマットを持ち上げる。T君は「そうだ。それを屋根にするか」と一緒に作り始める。そのそばで、ままごと遊びを始めたU君がままごとの机を動かしていると、S君が「机を動かさないで!」と言う。
【設問】
「保育所保育指針」第1章「総則」の(2)「保育の方法」、第2章「子どもの発達」、第3章「保育の内容」の2「保育の実施上の配慮事項」に基づいた保育士の対応として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 「お昼寝の前だから、おうちなんかを作ったりしないで、絵本を読んで静かに待っていようね」と3人に声をかける。
B S君はわがままだと思うので、「S君、いつも自分の思うようにばかりしないで、仲よく遊ぼうよ」と声をかける。
C T君にはもっと強く自分の意思を持ってほしいので、S君の提案を受け入れて一緒に遊んでいるT君に「自分たちが作っていたのに、それでいいの?」と声をかける。
D U君にはもっと強く自分の意思を持ってほしいので、「U君、どうして、おうち作りをやめてしまうの?」と声をかける。
E 最近、3人は一緒になったり離れたりしながら遊んでいるので、もう少し様子を見ることにする。
【事例】
昼食後、思い思いに遊んでいるときに、S君は一人で図鑑を見ている。T君とU君は段ボールや椅子を使い、いつも遊んでいる家を作り始める。つぶれた段ボールを見つけた二人が「これ屋根にするか!」と言いながら、その段ボールを持って家に戻ると、いつの間にか家の中にいたS君が「それはそこじゃない!」と強い口調で言う。T君とU君は少し不満そうであったが何も言わずにいる。S君が「そうだ!これを屋根にすればいい」と床に敷いていたマットを持ち上げる。T君は「そうだ。それを屋根にするか」と一緒に作り始める。そのそばで、ままごと遊びを始めたU君がままごとの机を動かしていると、S君が「机を動かさないで!」と言う。
【設問】
「保育所保育指針」第1章「総則」の(2)「保育の方法」、第2章「子どもの発達」、第3章「保育の内容」の2「保育の実施上の配慮事項」に基づいた保育士の対応として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 「お昼寝の前だから、おうちなんかを作ったりしないで、絵本を読んで静かに待っていようね」と3人に声をかける。
B S君はわがままだと思うので、「S君、いつも自分の思うようにばかりしないで、仲よく遊ぼうよ」と声をかける。
C T君にはもっと強く自分の意思を持ってほしいので、S君の提案を受け入れて一緒に遊んでいるT君に「自分たちが作っていたのに、それでいいの?」と声をかける。
D U君にはもっと強く自分の意思を持ってほしいので、「U君、どうして、おうち作りをやめてしまうの?」と声をかける。
E 最近、3人は一緒になったり離れたりしながら遊んでいるので、もう少し様子を見ることにする。
- (A)○ (B)○ (C)× (D)× (E)×
- (A)○ (B)× (C)× (D)× (E)○
- (A)× (B)○ (C)○ (D)○ (E)×
- (A)× (B)× (C)○ (D)○ (E)×
- (A)× (B)× (C)× (D)× (E)○
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この過去問の解説 (3件)
01
3歳は好きな友達と遊ぶようになり、相手の存在や気持ちに気づき始める時期です。
互いに考えを共有し、試行錯誤しながら主体的に遊びを展開できるよう、見守りながら援助することが大切です。
各選択肢については、以下の通りです。
A.
お昼寝の直前なら静かな遊びをしたり絵本を読んだりして気持ちを落ち着かせることが望ましいですが、
設問には「昼食後、思い思いに遊んでいるときに」とあるため、遊びを絵本に限定する必要はありません。
いつも遊んでいる遊びが続いたり発展したりすることは、3歳にとって大切に見ていきたいことです。よって【×】
B.C.
S君のことをわがままだと決めつけた対応はよくありません。
S君は図鑑を読んでいて一見T君やU君とは違う遊びのようでも、二人の会話を聞いていて仲間として遊びに加わっています。
S君の意見をT君も受け入れながら遊んでおり仲良く遊んでいないわけではないので、
3人のやりとりを大切にします。
D.
U君はおうち作りを完全にやめてしまったわけではなく、
そのおうちからイメージが膨らんで、ままごと遊びを始めています。
おうちを作ったりままごとをしたりしながら遊びを続けているので、選択肢にあるような言葉で問いただすことは適切ではありません。
よって【×】
E.
3歳は友達と一緒に遊べるようになってきますが、時には離れたり、お互いの自己主張がぶつかってしまうこともあります。
相手の気持ちに気づけるような言葉掛けをしながら見守ります。【○】
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02
第1章「総則」の(2)「保育の方法」によると
・ア 一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。
・イ 子どもの生活リズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。
・ウ 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。
・エ 子ども相互の関係作りや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。
・オ 子どもが自発的、意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。
・カ 一人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、様々な機会をとらえ、適切に援助すること。
と定義されています。
また、第2章「子どもの発達」では 「子どもは、様々な環境との相互作用により発達していく。すなわち、子どもの発達は、子どもがそれまでの体験を基にして、環境に働きかけ、環境との相互作用を通して、豊かな心情、意欲及び態度を身に付け、新たな能力を獲得していく過程である。特に大切なのは、人との関わりであり、愛情豊かで思慮深い大人による保護や世話などを通して、大人と子どもの相互の関わりが十分に行われることが重要である。この関係を起点として、次第に他の子どもとの間でも相互に働きかけ、関わりを深め、人への信頼感と自己の主体性を形成していくのである。
これらのことを踏まえ、保育士等は、次に示す子どもの発達の特性や発達過程を理解し、発達及び生活の連続性に配慮して保育しなければならない。その
際、保育士等は、子どもと生活や遊びを共にする中で、一人一人の子どもの心身の状態を把握しながら、その発達の援助を行うことが必要である。 」と定義されています。
第3章の2では「保育士等は一人一人の子どもの発達過程やその連続性を踏まえ、ねらいや内容を柔軟に取り扱うとともに、特に、次の事項に配慮して保育しなければならない」と定義されています。
これらの定義を踏まえたうえで、適切な対応はEの対応であると言えます。一方、A~Dの対応ですが、子どもの発達や思いに沿った言葉掛けになっていないので、不適切であると言えます。
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03
A × 不適切です。
保育士には子どもの主体としての思いや願いを受け止めることが求められています。遊びを絵本に限定するのは不適切です。
B × 不適切です。
S君をわがままと判断するのは固定的な見方です。S君の考えや思いを受け止める必要があります。
C × 不適切です。
T君とS君の関係を決めつけず、関わり方を注意深く見守ることが大切です。
D × 不適切です。
保育士にはU君が自発的に行う活動を見守りながら適切に援助することが求められます。U君が自分の力で行う活動を見守ることができていないので不適切です。
E ○ 適切です。
子どもの自らの働きかけを大切にしようとする姿勢があり、適切です。
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