保育士の過去問
平成28年(2016年)前期
社会的養護 問32
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問題
保育士試験 平成28年(2016年)前期 社会的養護 問32 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文は、社会的養護と子どもの権利に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 社会的養護の下にある子どもの権利は、与えられる権利、保護される権利といった受動的権利の擁護という側面と、子どもが主体的に参画するという権利行使の主体としての能動的権利の保障の双方から捉える必要がある。
B 子どもの権利を保障する取り組みとして、子どもの人権救済申し立て、代弁、権利が正しく行使されているかを監視する等のアドボカシー機能を果たす具体的で実効性の高い仕組みづくりが大切である。
C 虐待等により権利侵害を受けてきた子どもたちが権利意識を持てるようになるためには、愛着関係を基盤として「自分を大切にしたい」という自尊感情を抱き、自己及び他者を大切にする意識を育むことが重要である。
D 子どもの権利を侵害する施設内虐待は、施設の構造的要因は考えられず、個人の資質的要因によるため、施設管理者の権威的運営による日常的な職員個人への監視機能が求められる。
A 社会的養護の下にある子どもの権利は、与えられる権利、保護される権利といった受動的権利の擁護という側面と、子どもが主体的に参画するという権利行使の主体としての能動的権利の保障の双方から捉える必要がある。
B 子どもの権利を保障する取り組みとして、子どもの人権救済申し立て、代弁、権利が正しく行使されているかを監視する等のアドボカシー機能を果たす具体的で実効性の高い仕組みづくりが大切である。
C 虐待等により権利侵害を受けてきた子どもたちが権利意識を持てるようになるためには、愛着関係を基盤として「自分を大切にしたい」という自尊感情を抱き、自己及び他者を大切にする意識を育むことが重要である。
D 子どもの権利を侵害する施設内虐待は、施設の構造的要因は考えられず、個人の資質的要因によるため、施設管理者の権威的運営による日常的な職員個人への監視機能が求められる。
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この過去問の解説 (3件)
01
子どもの権利とそれを守るための
取り組みについては、条約や法律に伴い、
社会や行政、施設等でどのように活用されるのか
確認しておきましょう。
各記述については、以下の通りです。
A.児童の権利に関する条約には、
「子どもは権利を享有する主体であると同時に、
子ども自身の意思や意見を表明する権利行使の
主体である」ことが明記されています。【○】
B.
施設によってはオンブズマン(監視する機関)を
自主的に設置し、サービスの改善に努めています。
また、各地でアドボカシー機能(権利擁護)の
設置に向けての取り組みがあります。
さらには、権利が保障されているか監視する
だけでなく、子ども自身が声を上げられるな
環境を整備することも求められています。【○】
C.
虐待等を受けてきた子どもは、
一番身近で愛されるべき親などとの間に
信頼関係をうまく築けず、他者ととの関わりに
困難を抱えていることがあります。
まずは子どもの自己を受け止め、
愛着関係を築くことが大切です。
それが基盤となって自己肯定感が生まれ、
自分や他者のことを大切にできるようになります。
【○】
D.
児童福祉法の改正に伴い、
2009年に施行されたものに「施設内虐待の防止」が
あります。
施設内で虐待を発見した場合は通告義務があり、
通告によって解雇等の不利益な取り扱いを受けないという規定も含まれました。
選択肢の文中にあるような管理者が監視する
ということではなく、
施設全体として虐待の早期発見や
構造を見直す必要があります。よって【×】
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02
A 適切な記述です。子どもの権利条約には「守られる権利」「与えられる権利」と言った受動的権利の擁護、「生きる権利」「参加する権利」と言った能動的保障の両方があります。
B 適切な記述です。子どもの人権救済申し立て、代弁、権利が正しく行使されているかを監視する等のアドボカシー機能を果たす具体的で実効性の高い仕組みづくりの他、子どもが自分で声を上げられる環境を整えることが大切であると考えられています。
C 適切な記述です。虐待等を受けてきた子どもは身近な大人との信頼関係が築けなかったり、愛着障害を抱えてしまう傾向にあり、そのため自己肯定感が低く他者との適切な関係を築くことが難しくなってしまいます。子どもと適切な愛着関係を築き、信頼関係を結ぶことで子ども自身が「生まれてきてよかった」「自分は大切にされている」という自己肯定感、自尊感情を持てるようにすることが大切です。
D 施設内虐待の問題解決、対応は個人の要因だけが原因ではありません。施設管理者の監視だけでなく、職員同士の話し合いなど施設全体で問題解決、予防を努めていくことが大切です。
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03
1989年に国際連合が採択した「児童の権利に関する条約」に、児童の受動的権利と能動的権利について述べられています。
日本は1994年に批准し発効しています。
B→正しいです。
子どもは十分に意思表示ができないので、周りの大人が子どもの気持ちを代弁してあげることが大切です。
それがアドボカシー機能です。
C→正しいです。
児童虐待については2000年に「児童虐待防止法」が制定されました。
身体的虐待だけでなく、性的虐待やネグレクト、心理的虐待も児童虐待に含まれます。
D→誤りです。
施設内虐待は、職員と利用者の上下関係性や、施設の閉鎖性など構造的要因も大いに考えられるので設問は誤りです。
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