保育士の過去問
平成28年(2016年)後期
保育の心理学 問97

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問題

保育士試験 平成28年(2016年)後期 保育の心理学 問97 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文は、ストレンジシチュエーション法を用いた、アタッチメント(愛着)のアセスメントに関する記述である。【実験場面】を読んで、【設問】に答えなさい。

【実験場面】
月齢15か月の子どもが母親と一緒にいる。その後、母親が部屋を出て、子どもが一人残った(分離場面)。その3分後に母親が部屋に戻り、子どもに再会した(再会場面)。

【設問】
次の文のうち、この再会場面におけるアセスメントについて適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A  再会場面では母親に駆け寄ったが、接触する前に踵を返して、もと居た位置に駆け戻った。この子どもの母親に対するアタッチメント(愛着)には、不安定な部分があると考える。
B  分離場面で泣いていたが、再会場面で母親に駆け寄りぴったりと抱き付いた。まもなく泣き止み、母親から離れて遊びだした。この子どもは、安定したアタッチメント(愛着)を持っていると考える。
C  分離場面でまったく泣かずにおもちゃで遊んでいたが、母親と再会すると3分間大声で泣き続けた。この子どものアタッチメント(愛着)には、不安定な部分があると考える。
D  分離場面では立ったまま泣き続けていた。再会場面では、泣き止みその場に座り、おもちゃで少しの間遊んだが、再び泣き出し、泣きながら仰向けに倒れた。この子どものアタッチメント(愛着)には、不安定な部分があると考える。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

ストレンジシチュエーション法とはエインズワース博士らによって開発された母子の愛着の発達や種類を観察することにより評価する実験法です。

A 母親に会っても、泣いたり抱きつきに行くなどの行動が見られないなど、対して関心があまりないように見えます。『不安定型(回避型)』である可能性があります。

B 愛着を寄せる相手(母親)が離れたり再会すると泣く反応が見られても、しばらくすると落ち着いて遊ぶことができるのは愛着関係が安定している証拠だと言えます。

C ”分離場面でまったく泣かずおもちゃで遊んでいた”という部分はAと似ていますが、”母親と再会すると3分間大声で泣き続けた”ということから『不安定(葛藤型)』である可能性が高いです。

D 分離場面で立ったまま泣き続けていたり、再会場面では、泣き止んだかと思えば再び泣き出し、泣きながら仰向けに倒れるなど不安定な部分が見られます。この子どもの情緒が不安定な状態は『無秩序型』である可能性が高いです。

参考になった数30

02

正解:1

ストレンジシチュエーション法とは、母子の愛着の発達や種類を評価する観察法です。

方法は、見知らぬ場所に連れてこられた赤ちゃん・子どもが、①ママと一緒、②ママと見知らぬ人が一緒、②見知らぬ人と一緒の状況においてどのような行動をするか観察・記録します。


その観察結果により、愛着の種類は以下の4つに分類されます。

■安定型
■不安定型(回避型)
■不安定型(葛藤型・両価型)
■無秩序型


設問中の子どもの愛着の種類は、
Aは『不安定型(回避型)』、Bは『安定型』、Cは『不安定型(葛藤型)』、Dは『無秩序型』と考えられます。

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03

Aの記述は適切○です。
記述の内容はアタッチメントの考え方において『回避型』の傾向にあると考えられます。このような親子関係は、子供の働きかけに親がきちんと相手をしていなかったり、子供が泣いている時に慰めるのではなくしかったり避けたりしてしまっていた傾向が強い場合に起きる、と考えられています。

Bの記述は適切○です。
記述の内容の親子は『安定型』のアタッチメントが築けていると考えられます。子どもの出すサインにきちんと反応したり、双方のやりとりができている安定した親子関係です。

Cの記述は適切○です。記述の様子は、アタッチメントの考え方であてはめると、『無秩序型』に分類されます。いわゆる子ども虐待がおこなわれていたり、親子関係に強い緊張が続いているときに起きてくるパターンです。

Dの記述は適切○です。
記述の様子の親子関係は、アタッチメントの考え方において『アンビバレント型』に分類されます。例えば親が自分の気分の都合で子供と関わっていて、子供の様子に敏感に反応することができていなかったりすると、子供側は不安定になって、一貫性のない行動をとることが多くなります。

よって正解の組み合わせは1となります。

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