保育士の過去問
平成28年(2016年)後期
子どもの保健 問114

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問題

保育士試験 平成28年(2016年)後期 子どもの保健 問114 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
K君(2歳1か月、男児)は、2か月前から保育所に通所している。K君は、保育所で明るい表情をほとんど見せず、どの保育士が関わろうとしても、拒絶するか、無視をしていた。K君のこれらの様子から、保育所は児童相談所に連絡した。その後の児童相談所の調査によると、K君は少なくとも10か月前から重度のネグレクトを受けており、食事は与えられ、清潔は維持されていたものの、日中、夜間ともにほとんど子ども部屋に一人で閉じ込められていた。

【設問】
この子どもで最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:反応性愛着障害

<用語解説>

■脱抑制性愛着障害

5歳までに発症し、周囲の環境が著しく変化しても持続する傾向を示します。例えば、誰にでも無差別に愛着行動を示したり、注意を引こうとして見境なく親しげな振舞いをするが、仲間と協調した対人交流は乏しく、環境によっては情動障害や行動障害を伴ったりします。

■反応性愛着障害

5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものです。例えば、恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性など。

この症候群は、両親によるネグレクト、虐待、または深刻な養育過誤の直接的な結果として起こるとみなされています。

■選択性緘黙

発症は5歳以前が多く、有病率は1%以下で、全児童の0・2%前後といわれています。

言語理解、発語などの言語能力は正常であるのに、一部の生活場面(学校や友だちとの遊びの場面など)で沈黙を続けることにあります。

発症となるきっかけが明らかでないことが多く、入園や入学などにより気づくことが多いものです。

しかし、家庭では普通にしゃべっていることと、学校では周囲に迷惑を及ぼすことがほとんどないために、問題視されずにいることも少なくないようです。

■反抗挑戦性障害

親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかけるなどの挑戦的な行動をおこしてしまいます。

発達期を通じて何年間も続く場合、両親・教師・監督者などの目上の人だけではなく、同年代の友人、恋人ともトラブルを起こしてしまい日常生活に様々な障害が発生します。

■哺育障害

適切な養育者や十分な食べ物があるにもかかわらず、十分に食べられない状態が続き、体重が1ヶ月以上増加しないこと。

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02

正解は「反応性愛着障害」です。

反応性愛着障害とは、ネグレクトなどの虐待が原因で引き起こされる愛着障害で、養育者に近づいたり離れたり、目を合わせないなど、甘え方が不安定な状態になります。

その他の用語の解説です。

・脱抑制性愛着障害とは、誰にでも無差別に愛着行動を示したり、注意を引こうとし、親しげな振舞いをするが、仲間と協調した対人関係が乏しくなる状態を言います。

・選択性緘黙とは、言語理解、発語などの言語能力は正常であるのに、学校や友だちとの遊びの場などの一部の生活場面で緘黙を続ける状態のことを言います。家庭では普通に喋ることができるなどのことから「おとなしい子」と判断されその問題が見つけにくいこともあります。

・反抗挑戦性障害とは、親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度を取る状態を言います。

この状態が続いた場合、両親や教師だけではなく、同年代の友人、恋人ともトラブルを起こしてしまう可能性もあります。

・哺育障害とは、特定の養育者がおり、十分な食べ物があるにもかかわらず、十分に食べられない状態が続き、体重が1ヶ月以上増加しないことを言います。

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03

この事例で疑われるのは「反応性愛着障害」です。

反応性愛着障害とは、長期にわたる虐待やネグレクトなど、不適切な環境で育った子どもが、正常な場合にはみられない極度に不安定で複雑な行動を示す場合に用いられます。

脱抑制性愛着障害とは、誰にでも見境なく愛着行動を示す障害で、ほとんど初対面の人に対しても、自分から積極的に近づき、べったりとくっついたり、しがみついたりします。 養育をする人が何度も変わることで、特定の人への愛着を発達させる機会が失われることが原因と考えられています。

選択性緘黙とは、言語能力は正常であるのに、選択された特定の場面や人に対して、話すことができないという状態です。場面緘黙症とも言います。

反抗挑戦性障害とは、親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかけるなどの挑戦的な行動を起こしてしまう疾患です。

哺育障害とは、適切な養育者がいて十分に食事が与えられ、身体の病気がないにもかかわらず、食べることを拒否したり、極端な偏食があったりする障害です。

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