保育士の過去問
令和2年(2020年)後期
子どもの保健 問110

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問題

保育士試験 令和2年(2020年)後期 子どもの保健 問110 (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
自閉スペクトラム症と診断されている5歳のSくん。保育所で制作の時間に突然保育室を飛び出してしまった。担当保育士が後を追いかけると、水場のところでびしょ濡れになってひとりで遊んでいた。

【設問】
担当保育士による、Sくんに対する配慮として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A あまりに楽しそうに遊んでいたので、制作は中止にして、みんなで一緒に遊ぶことにした。
B 今、何をする時間なのかがわかっていなかった可能性を考え、Sくんがわかるように絵を使って教えるようにした。
C 水遊び以外にSくんが興味を持てる電車やくるまを制作に取り入れる工夫をした。
D 今は制作の時間であることを口頭で強く伝えた。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は4です。

A 不適切です。制作を中止し、クラス全員の活動を変更するのではなく、Sくんの特性を踏まえたうえでクラスの活動に参加できるよう配慮することが大切です。

B 適切です。自閉症スペクトラム症の特性の一つとして、先のことに対して見通しを持つことが苦手、耳で聴くよりも視覚的な情報の方が理解しやすいというものがあります。「今、何をする時間なのかがわかっていなかった可能性を考え、Sくんがわかるように絵を使って教えるようにした。」という対応をとるのも大切です。

C 適切です。水遊び以外にSくんが興味を持てる電車やくるまを制作に取り入れる工夫をすることにより、Sくんが制作に意欲をもって取り組める可能性があります。

D 不適切です。『今は制作の時間であることを口頭で強く伝えた』とありますが、そのようなことをしても子どもによっては「なぜ注意されたのか」わからず、怒られたと思い自己肯定感が低くなる可能性があります。強く伝えるのではなく、子どもの思いなども汲み取りながら、Sくんに合った保育をすることが大切です。

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02

正解は4です。

A × 不適切です。
Sくんの気持ちを受け止めることは必要です。
しかしS君だけを優先するのではなく、みんなと一緒に活動できるよう声掛けや工夫をすることが大切です。

B 〇 適切です。
自閉症スペクトラムの子どもは言い聞かせなどの聴覚よりも絵によって視覚的に示すほうが理解しやすいです。

C 〇 適切です。
自閉症スペクトラム症は強いこだわりを示すので興味を持っていることを積極的に取り入れていきます。

D × 不適切です。
口頭による指示は理解しづらく、絵やイラストを用いて視覚的に情報を伝達します。

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03

解答. 4
自閉スペクトラム症は、対人関係が苦手、強いこだわりを持っている、といった特徴を持つ、発達障害の一つです。
男性に多く見られ、その数は、女性の2〜4倍という、調査結果もあります。

A ×です。
Sくんの気持ちを受け止め行動することは必要ですが、
集団生活の中で、Sくんが活動できるよう配慮することが求められます。

B ○です。
Sくんが理解しやすいよう、工夫してコミュニケーションを図ることは、
適切な対応です。

C ○です。
自閉スペクトラム症の子どもには、興味の範囲が非常に狭いという特徴もあります。
興味を惹くものを取り入れ、うまく集団活動への参加を促すというのは適切な対応です。

D ×です。
頭ごなしに怒るのは、逆効果です。
Sくんは、なぜ怒られたかわからず、困惑してしまう可能性もあります。
Sくんが上手く集団活動に参加できる方法を考えましょう。

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04

Aは×です。不適切な記述です。
自閉スペクトラム症と診断されている子どもであっても、なんでも好きにさせるのではなく、今何をすべき時間であるかということは伝えていかなければなりません。本人にわかりやすいような工夫をしながら、集団生活のルールについて理解ができるよう援助していく必要があります。

Bは○です。適切な記述です。
自閉スペクトラム症と診断されている子どもにとって、聴覚だけに頼る指示は入りにくい場合があります。併せて絵やカードや文字を用いて、視覚に訴えるような指示を提示することで、本人が理解しやすい場合もあります。

Cは○です。適切な記述です。
Sくんが何になら興味を持って一緒に楽しめるか、保育に工夫を凝らすことが必要です。

Dは×です。不適切な記述です。
Sくんにとっては口頭で言葉で伝えられる指示がわかりにくいのかもしれません。強く伝えることでより拒否反応が強まってしまうこともあります。Sくんにとってどんな伝え方がわかりやすいのかを考えていく必要があります。

よって正解の組み合わせは4となります。

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